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第08話 本拠地世界の真の姿

 レジーナとの会話を終えたローウェが去り、レジーナは改めて自分の能力の確認を始める。


 ローウェが去り際に何やらルウェルと親子っぽい会話をしていたようだったが、レジーナは努めて聞かないようにしていたので、何を話していたのかは分からなかった。


 ルウェルとローウェの方に意識を向けないように、メニューウインドウに意識を集中していたおかげで、ローウェが去った時にはレジーナはメニューウインドウについては完全に調べ終わっていた。


(さっきのどさくさでスキルを咄嗟に使ったから、スキルの使用法に関しては問題無いな。どうやら使おうと思うと僕の脳裏にスキルリストが浮かんで、それを選択すればスキルを使えるみたいだ)


 元々『UPN』でもスキルの使用法は思考による思念操作だった。そうでなければ近接戦闘中にスキルなどを使用する事など出来ないし、宇宙空間でも冒険する必要のある『UPN』では、詠唱などの方法にも問題がある。一応、詠唱やメニューウインドウからの直接操作でも発動は出来るのだが、わざわざその方法で発動させるメリットが『UPN』には存在しなかった。

 なので、スキルの使用感はゲームの時とほぼ同一と言ってよかった。

 それが原因なのか、この世界ではメニューウインドウのスキルの項目が黒くなっていて選択出来なくなっていた。だが、レジーナはそれが大した問題には思えなかったので、そのままスルーしていた。


 同じような問題として、装備変更の項目も何故か黒くなっていて、選択出来なくなっている。しかし、これも実際に着替える事で何の問題も無く装備が変更できる事から、大した問題では無いと判断された。


 また、ストレージの使い方もスキルと同様に中身に意識を向けると収納されているアイテムが脳内にリスト表示され、その中で意識したアイテムが小さな物ならば手のひらに収まり、大きな物ならば目の前の任意の場所に出現すると言う方法で取り出す事が可能だ。

 逆にアイテムをしまう場合は、手で触れて『しまう』と意識すれば収納する事が出来るようだった。意識するのは収納すると言う意味の言語ならば何でもいいようだったが、他人の触れている物や自分が身に着けている物はしまう事が出来ない。

 レジーナは、『UPN』においてかなりの額の課金をしていたので、当然ストレージも課金によって最大まで拡張を行っていた。その中身である課金アイテムを含む膨大な数のアイテムが、無事に手元に残っていた事が確認出来たのは、レジーナにとっても実に大きな収穫だったと言えるだろう。


 しかし、残念ながらレジーナにとって一番重要な項目だと言えるフレンドの項目は、選択こそ出来たものの、レジーナのフレンドの名前は全員ログアウト状態を示す灰色の表示となっていた。しかも、なぜかフレンドを個別で選択する事が出来なくなっていて、ダイレクトメールやメッセージを送る事も不可能だった。

 その事にがっかりしたレジーナだったが、まだ、この本拠地世界が閉鎖されている事が原因である可能性もあると考えて、気を取り直して自分の体の能力確認に戻る事にする。


(さて、ローウェもいなくなった事だし、いよいよこの体の能力を確認しないとね。『UPN』時代はみんなからは負けない事に特化した非常に厄介なプレイヤーって評価だったけど、それがどこまで反映されているのかは気になる。わくわくするな)


 そんな事を考えながらレジーナは、改めて自分のステータスを確認してみる。




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 名前:レジーナ・アラーネア


 種族:拘束の超越者(バインドトランセンダー)


 元素:次元・虚無

 性質:拘束

 要素:蟲・蜘蛛・魔人・神

 帰属:虚空


 レベル:1000


 戦闘位階        サブ位階        非戦闘位階

  虚空奏者  Lv99  無窮遍星師 Lv99  神域の縛り手Lv99


 特殊位階

  拘束の超越神 創造神 機械神 三神一体 全能神


 HP (生命力) :2353610  MP (魔力)  :2583489

 STR(筋力)  : 182856  VIT(耐久力) : 188324

 INT(知力)  : 224587  MND(精神力) : 199340

 DEX(器用)  : 196541  AGI(敏捷力) : 190625

 LUK(幸運)  : 192460  CHR(魅力)  : 198479


 スキル熟達数/習得数 65536/65536

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 これに進化を重ねた事で獲得した種族による特性などが加わる。

 さらに装備による能力値の上昇こそ僅かだが、スキルではまかなえない効果を持った装備を着用する事で、『UPN』で最強クラスの能力を誇ったレジーナと言うキャラクターは完成する。


 そのステータスの高さは、一般的なレベル千のプレイヤーと比べれば、はっきりと分かるだろう。一般的なレベル千に到達したばかりのプレイヤーのステータスは、苦手な能力で約五千、普通の能力で約一万、得意な能力でも約一万五千と言った程度である。

 これが廃人と呼ばれるような上位プレイヤーになって行くと、錬金術によって製作されるステータス永続アップ効果のある消費アイテムや課金アイテムによって各ステータスをカンスト値の九九九九九まで上昇させる者すら存在するようになる。

 また、HP(生命力)やMP(魔力)は他の能力の十倍くらいの数値になるので、当然、カンスト値も十倍程度になる。

 しかし、錬金術によるステータスの永続アップアイテムは、希少素材と多額のゲーム内通貨が必要なので、それのみでステータスをカンストさせようと思えば途方もない時間がかかる事になる。

 さらに、カンスト値以上にステータスを上げようと思えば、スキルのレベルを最大まで上げて極める事で僅かに上昇するステータスボーナスを利用する他無い。だが、このステータスボーナスはあくまでカンストの補助としての意味合いが強く、ステータスをカンスト以上にする意味はあまりない。

 そもそも、HP(生命力)とMP(魔力)以外の能力値は、カンスト値以上に上昇させても、カンスト値である九九九九九と同じ数値として扱われるので、飾り以上の意味が全く無いのだ。


 なので、レジーナのように全ステータスをカンストさせ、その上でスキルによるボーナスまで加えているプレイヤーはごく少数と言える。

 そんな無駄な事をしているプレイヤーの中でも、レジーナのステータスはトップクラスに高かった。具体的にどれくらいの差があるのかと言えば、レジーナ以外の廃人プレイヤーのおおよその平均ステータスが、大体十二~三万程度であるので、その差は大体1.5倍程になる。


 それ故に、戦闘や攻略などを目指す上位プレイヤーになればなる程、プレイヤー本人のプレイスキルとキャラクタービルドによるステータス以外の要素の性能差が重要になって来る。


 当然、スキルや位階(クラス)の習得条件や能力、種族の進化方法や能力に関する情報は、プレイヤーの優位性に直結する程に重要な情報だった。その為に、当初その多くは発見したプレイヤーの仲間内で独占され、秘匿されていた。しかし、『UPN』にはそう言った事の検証や、探求を生きがいにしているプレイヤーも数多く存在した為に、かなりの数のスキルや位階(クラス)の習得方法がコスモス上の攻略情報に共有され、ライトプレイヤーの知る所となって行った。

 ただし、一部のレアスキルや特殊位階(クラス)、隠し種族の情報は、そんな彼らでも見つけ出す事が容易では無かった為に、確かな情報として共有されているモノはごく僅かだった。

 また、《世界超越珠》を始めとした超越級(トランセンド)アイテムの入手法や所有者に関する情報も、大半の所有者本人がひた隠しにしていた為に、ほとんど露見していなかった。

 レジーナも《世界超越珠》の一つを入手した当初は、その事実を秘密にしていたのだが、とある事件によってその事が露見し、多くのプレイヤーから狙われていた時期があった。

 その過程で返り討ちにした相手の中に《世界超越珠》の所有者が存在した事などが、レジーナが複数の《世界超越珠》を所有するきっかけになったのは、何とも皮肉な話だが。


(さてと、まずは魔法の軽い試し打ちかな)


 自分の能力や装備、その他もろもろの確認を終えたレジーナは、ゆっくりと二本の右手の内の主腕の方の手――主右手を前に突き出して、頭の中でスキルリストを参照する。選んだのは最も低レベルの魔法、下級魔法の一つ、<火矢(ファイアーアロー)>。炎で形作られた普通の大きさの矢が一本、大体百メートルくらいの距離を飛んでいく魔法だ。威力は低いが速度があり、連射も容易なので魔法使いが最初期に最も重宝する攻撃魔法の一つだ。

 それでも用心の為に、主右手を少し斜め上に向けたレジーナは、取り敢えず感覚に従って軽く魔力を込めながら魔法を発動する。


(すごい、これが魔力、これが魔法。魔法が構築されて行くのが手に取るように分かる。これなら、練習すればスキルとして使わなくても魔法を自由自在に使う事だって出来そうだ)


 そんな風に若干の興奮と共に放たれたレジーナの魔法。

 しかし、それは結果的に、迂闊としか言いようの無い行為だった。


 ――ゴオッ!!


 と言う凄まじい爆音と共に放たれたレジーナの<火矢(ファイアーアロー)>は、まるでロケットの打ち上げと見紛うばかりの速さと巨大さで、視界の彼方へとあっという間に消えて行く。

 そして、<火矢(ファイアーアロー)>は通過した場所の大気に大穴を開けながら直進して行ったようで、それを埋めるかのように大気が動き、レジーナの周囲に暴風が吹き荒れる。

 それが収まった後には、<火矢(ファイアーアロー)>が通過した箇所にぽっかりと雲の無くなった空間が出来上がっており、その影響の大きさがありありと浮かび上がっていた。

 幸い、レジーナ自身は高いステータスのおかげで、暴風に巻き込まれても平気だったのだが、<火矢(ファイアーアロー)>がかすめたこの人工浮遊島は、その熱によって若干表面が融解しているありさまであり、いまだに赤熱した金属とマグマの混合物が少々熱を放っていた。


(ななな、何あれーー!? 『UPN』の時の<火矢(ファイアーアロー)>と全然違うんだけど!? もっと普通のエフェクトで大きさも普通の矢と同じくらいだった筈なのに!?)


 予想外の惨事にレジーナが内心で絶叫していると、すぐ傍らに立っていたルウェルがレジーナの前に素早く跪き、謝罪の言葉を口にした。


「申し訳ありません。レジーナ様。どうやら、わたくしの想定が甘かったようです。私見ですが、レジーナ様は以前よりも魔力が異常に高まっています。今のレジーナ様の魔法には、たとえ下級といえどもこの闘技場は耐えられないでしょう」


 そう言って平伏しているルウェルを見て、ようやく思考が落ち着きを取り戻したレジーナは、慌ててルウェルを起き上がらせるとその責任を否定する。


「い、いや、ルウェルのせいじゃないから! 僕が加減を間違えたのがいけないんだよ。だから頭を上げて。ね?」


「……しかし」


「お願い!」


「レジーナ様がそうおっしゃられるのでしたら」


 レジーナの言葉に、不承不承ながらも納得したルウェルを見て、レジーナは安堵のため息を吐く。


(それにしても、一体どうしてこんなに魔法の威力が上がったんだろう? 考えられる理由としては、『UPN』が現実となった事で、魔法の効果が変化したとかだろうか?)


 先ほどの惨状を生み出した原因を考察して行くレジーナは、色々と可能性を思い浮かべては検証して行く。

 その過程でルウェルの言葉を思い出したレジーナは、その事に付いてルウェルに問いかける。


「ねえルウェル。さっき僕の魔力が上がってるって言ってたけど、それっていつから?」


「はい、レジーナ様がお目覚めになってからです。おそらく、以前と比べても倍以上の強さに上昇しているのではないでしょうか?」


「倍……、それって魔力だけ? それ以外の能力はどう言う風に感じられるの?」


「全て同じです。レジーナ様はお目覚めになられてから全てのお力が元の倍以上に上昇なされたように感じられます。レジーナ様がお倒れになられた事も、この事が原因ではないかと愚考いたします」


 いきなり能力が全て倍になった。そう言われてレジーナは、とある可能性に思い至る。この世界は『UPN』が現実化したモノだったので、レジーナは今までステータスについても『UPN』の頃と扱いは変わっていないと思っていた。しかし、ルウェルの話を聞いたレジーナの考えは変わっていた。

 つまり、ステータスもそのままの数値で現実のモノとなってしまった、と言う風に。そう考えれば、レジーナの能力がいきなり倍になった事も容易に説明が付く。

 その結果、レジーナが撃った魔法も思わぬ威力になってしまったのだろう。

 そして、そのレジーナの考えは当っていた。この世界が現実となった際に、ステータスの扱いはその数値通りのモノへと変化していたのだ。

 だが、現実化による変化はそれだけでは無かった。

 ゲームの時にはステータスの扱いは、プレイヤー間の平等を期する為に、ステータスの数字が同じであればゲーム上での扱いも同じであった。

 しかし、この世界で現実となった法則の下では、そこに種族が大きく影響を与えるように変化していた。つまり、同じレベルで同じステータスだったとしても、より存在格の高い種族の方がより強くなる。例えば上位のドラゴンとただのゴブリンとではその強さが全く異なるのだ。

 無論、種族としての存在格が同程度であれば、ステータス上の扱いも同程度にはなる。


 ルウェルが指摘したように、レジーナがこの世界が現実化する際に倒れたのはこれにも原因がある。


 現状、この世界は誕生したばかりであり、その一部はまだまだ不安定なのだ。

 その証拠の一つが、孤高の帝国(アルーフエンパイア)の出入口の世界間転移門が通行不能になっていると言う事実であったりする。


 魔法の威力に付いての疑問がある程度解決したレジーナは、そこでふと、今の状況にもう一つの疑問を抱く。


(あれ? そう言えばなんで<火矢(ファイアーアロー)>は空の彼方に消えて行ったんだ? ここは本拠地世界の第七階層世界だから、移動可能なのはこの星の上だけの筈だ。だからゲームの時は空に侵入不可能な見えない壁があったはずなのに)


 その疑問に至った事で、レジーナはまだまだ自分がこの世界について勘違いしていた事に気が付く。

 虚空帝宮城塞プレアデスの移動不可能エリアが現実となっていたのだから、各階層世界の外、つまり宇宙空間までもが現実になっていても何の不思議も無いのだ。

 しかし、レジーナは今まで、『UPN』での常識に引っ張られて現状を認識していた為に、流石にそこまではと思ってしまっていたのだ。


 その事実を確認する為に、レジーナは一度、本当に軽くジャンプする。

 それでも自分の身長を超えるくらいの高さにまで飛び上がってしまったレジーナは、まるで見えない地面に着地するように何も無い空中に着地する。

 その際、レジーナの巨大な胸が大きく弾んだが、レジーナは大して気にしなかった。


(うん、虚空踏法も問題無く使える)


 壁であろうと天上であろうと何も無い空中であろうとも関係無く踏みしめる事の出来るレジーナの種族特性、虚空踏法の効果を確認したレジーナは、ルウェルに一声かけてからこの世界の本来の姿を確認する為に飛び上がる。

 その際、ルウェルが慌ててレジーナを呼び止めていた気がしたが、レジーナは気にせず大気を突っ切りながら上昇して行く。

 虚空踏法を何度も用いて空気を蹴飛ばしあっという間に第二宇宙速度を突破したレジーナは、その勢いのままに第七階層世界の惑星から飛び出し、宇宙空間へと躍り出る。

 そこで器用に体を方向転換して虚空に着地する。

 着地の際に虚空踏法を使用した際の蜘蛛の巣状の独自のエフェクトが大きくレジーナの足もとに広がり、まるでレジーナと言う蜘蛛が宇宙に巣を張ったかのような光景が描かれる。


 レジーナの目に映ったのは、本来月と同程度の大きさしか無い筈の第七階層世界の惑星が、まるで木星のように巨大なガス惑星へと変貌し、その公転軌道の中心となる恒星にはいくつかの惑星が付き従っている、という生まれ変わった第七階層世界の姿だった。

 いや、もはやここは第七階層宇宙と呼ぶべきかもしれない。

 なぜなら、レジーナの人外の知覚能力は、その恒星系すら世界の一部でしか無く、その外、つまり恒星系が所属する銀河系までもが第七階層世界の現実となっている事までをも認識してしまっていたからだ。


(これはちょっと、想定外だな。『UPN』の世界が現実になったって規模の話で済みそうにない。ここがそうなら他の階層世界も同様だと考えるべきだ。つまり、僕が支配している孤高の帝国(アルーフエンパイア)は、文字通り八つの宇宙が融合した世界になってしまったと言う事か。まあ、その中で僕が実際に支配しているのは各惑星一つずつと恒星一つでしかないんだけど)


 レジーナが若干の感動と共にこの新生した世界に関する考察を深めていると、ゆっくりと、いや、視覚的にはゆっくりに見えるが、それはスケール感からくる錯覚であり、実際にはかなりの速度でレジーナに近づいて来る巨大な影があった。


『レジーナ様。あまり無茶はおやめください。いきなり世界の外に出るなど、危険すぎます』


 やって来たのは、先ほどのローウェと良く似た白銀に輝く機械の竜。ただしこちらは西洋竜のような手足や巨大な翼の生えた姿をしている。説明するまでも無いが、この竜の正体はルウェルだ。

 ルウェルには飛行手段がいくつか存在していたが、レジーナの速度に追いつける程に高速で宇宙空間までやって来られる手段が、真の姿となって本気で追いかける以外に無かったのだ。


「ああ、ごめんね。でも、僕のこの体はこれくらいの極限環境にも余裕で耐えられるんだから、心配のし過ぎだよ」


 宇宙空間であるにもかかわらず、当たり前のように声を発しながらレジーナはルウェルに答える。

 実際、レジーナの種族特性による環境適応能力は、『UPN』でも最高クラスだった。いくつかの弱点属性による例外こそあれど、ちょっと宇宙空間で真空と放射線に晒されたくらいではびくともしないのだ。ただ少し、寒さをやせ我慢してはいるが。


「他の世界も調査が必要だね」


『レジーナ様がお望みであればすぐにでも手配いたします。しかし、世界の外を調査するには航宙船が不可欠ですが、現状航宙船を第八階層世界の外へと運び出す手段がありません』


「え? そうなの? 原因は何?」


『はい。航宙船は大きく、階層間転移門を通過出来ないのです』


 ルウェルの言う航宙船とは、『UPN』に存在した宇宙空間での移動手段だ。ファンタジー技術で作られたその船は帆船のような形をしており、航宙船を中心にして一定範囲を生存可能な空間にすると言う機能がある。それによってプレイヤーは宇宙に存在するモンスターと戦いながら宇宙空間を探索したりする。

 レジーナのように生身で宇宙空間に出ても平気な種族は、アンデッドや自動人形、ゴーレム、スライム、機械族などの『UPN』でも魔族のごく一部だった為に、上位のプレイヤーでもこれのお世話になっていた者は多い。プレイヤーはストレージに入れて持ち運んでいた為に、ゲーム時は各世界を繋ぐ世界間転移門や階層間転移門の大きさや場所を気にする必要は無かった。しかし、ストレージを持たないルウェルたちNPCにはこれが大きな問題になるらしい。


「ああ、それは気が付かなかった。そのあたりの解決策は考えておくから、それが済んだら改めて恒星系内だけでいいから各世界の調査をお願いね」


『はい。お任せください』


 特に当ての有る訳でも無いレジーナの言葉だったが、ルウェルは律儀に従って調査の計画を練り始める。

 一通り新たな世界の姿を眺めて満足したレジーナも、再び自分の能力把握に努める為に人工浮遊島の闘技場へと戻るのだった。

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