第06話 女帝蜘蛛の決意
辿り着いた玉座の間は、レジーナが思い浮かべていた何も無い部屋では無かった。
その名に偽りなく玉座の間と言うに相応しい、豪奢で威厳に満ちた空間がレジーナの目の前には広がっていた。
レジーナがルウェルに促されるままに腰かけた玉座は言うに及ばず、部屋自体も、部屋を彩る装飾の数々も、一つの例外無く『UPN』における希少素材をふんだんに用いた芸術品と言っていい代物だったのだ。
その広さも、軽く数百人が余裕を持って入れるほどに広く、天井は体長五十メートルクラスのドラゴンが直立しても頭がぶつからないだろう程に高い。
この絢爛豪華にして威風堂々とした玉座の間を目の当たりにすれば、たとえどのような愚か者であったとしても、この部屋の支配者の実力と財力を理解しない訳にはいかないだろう。
まあ、今まさにその支配者本人であるレジーナが、それを理解出来すに混乱してしまっているのだが。
そんなレジーナの前では、レジーナが友人たちと共に必死に考えて創り上げた三十九人の特殊本拠地防衛NPCたちが一堂に会して跪いていた。
その後ろには、特殊本拠地防衛NPCたちの部下である通常の本拠地防衛NPCの中から厳選された者たちが、整然と整列して跪いている。
そして、レジーナの座る玉座の傍らにはルウェルが控え、玉座のななめ後にはレジーナには見覚えの無い人間型のNPCらしき者たちがまるで近衛兵のように立っていた。よく見ると同じように謁見の間の壁沿いに立っている見覚えの無い人間型NPCが何人もいた。
その造形は特定のパターンを組み合わせてしか創る事の出来ない通常の本拠地防衛NPCとは明らかに異なっていたが、レジーナには彼らを創った記憶も無ければ、そんな立ち位置に立つような存在が設定されていたと言う記憶も無かった。
しかし、レジーナはそんな些細な疑問を考えられるような状況では無かった。
ルウェルを筆頭とした特殊本拠地防衛NPCたち。その種族はルウェルを含めて全員が魔族――『UPN』におけるモンスター系の種族の総称――だ。
当然、その中にはルウェルのように本来の姿が巨大過ぎる為に謁見の間に収まりきらなかったり、その業務上人族の姿の方が好都合だったりするなど、それぞれの理由で人化している者も何人か見受けられる。
しかし、その多くは人外の姿を取って各々の方法でレジーナへと敬意を表しながら跪いていた。
人化には多くのペナルティがあり、その能力を大きく制限されてしまうので、体の大きな者以外は好き好んで行ったりしないのだ。
逆に、この場に集まっている魔族で人化出来ない者は誰一人としていない。
人化は上級魔族にとっては容易に習得出来るスキルである為、習得していない者の方が稀なのだ。
そして、特殊本拠地防衛NPCたちの本来の姿も人化した姿も全て、レジーナがその友人たちと共に趣味とこだわりを全力で込めて創り上げた結晶であった。
なので、その姿は、美しさや可愛さ、カッコよさなどその方向性の違いこそあるものの、いずれも素晴らしい出来のモノとなっている。
そんな、様々な姿をした、いずれもが素晴らしい造形のNPCたち。それがその序列に従って並び、跪いている。その光景はレジーナに、ある意味壮観とも言える印象を与えていた。
しかし、そんなNPCたちを見下ろすように玉座に腰かけているレジーナは、実は内心でかなりの焦りを感じていた。
(な、何これ!? って言うかここ何処!? こんな部屋僕は知らないよ? 玉座の間って言うからてっきり宝物殿の最終防衛ラインの部屋に行くのかと思っていたのに、こんな本格的な玉座の間なんて作る予定しか無かったよ。あれ……? それって……まさか!?)
事ここに至って、レジーナはこの本拠地世界が現実のモノとなった事で、今まで設定だけが存在し、侵入不可能だった背景の中までもが現実となっている可能性に気が付いた。
これまで巡って来た場所は、全て予定や設定のみが存在していて、実際にはレジーナたちが創らなかった場所ばかりだ。それが、この本拠地世界が現実となる際に辻褄を合わせる為に現実となったのではないか? そんな考えがレジーナの脳裏に浮かぶ。
(と、言う事はもしかして、この虚空帝宮城塞プレアデスを構成しているダイソンスフィアそのものが現実になっているって事? いや、それどころか、この本拠地世界の最下層の場合、僕たちが設定したスバルツヴァイ恒星系そのものまで現実になっている可能性が高いんじゃないかな?)
レジーナの知識にあったゲームの世界が現実となる物語や異世界に転生する物語は、大抵その舞台がファンタジーな世界観だった。なので、レジーナは無意識にこの世界もそれらと同じように、箱庭型の閉鎖的世界であると思い込んでいたのだ。
しかし、少なくともこの世界は、レジーナが知る『UPN』の世界よりも遥かに広い可能性が捨てきれない。最低でも、『UPN』の時にあった移動制限の多くは無くなっているだろう。
それなりに世界に付いての考察を重ねたレジーナは、しかし、その行為が現実逃避にすぎないと言う事実に気が付いた。
今まさに問題となっているのは、玉座に座っている自分が何かアクションを起こさなければ、決してこの特殊本拠地防衛NPCたちが自分に対して跪いていると言う状況が、進展しないと言う事だからだ。
(そもそもこういう時ってどうすればいいんだっけ? やっぱり僕が何か言わなきゃいけないんだろうけど、なんて言えばいいのかが分からない)
ずっと『UPN』ばかりやっていたレジーナには、こういった場面でどういった対応をすればいいのかすぐに思い付く事が出来なかった。取り敢えず偉そうにすればいいのかと思ったが、だからと言っていきなり威厳を持って振る舞う事など出来る筈も無い。
一応、『UPN』をプレイしていた頃に練習を重ねたので、レジーナの異形の姿で女性っぽい優雅な所作を演じる事は出来る。しかし、上位者として威厳を持って振る舞うと言う演技は、一朝一夕には身に付きそうに無かった。
なので、レジーナは仕方なくいつもの調子で、レジーナとしてのロールで振る舞う事にする他無かった。
「えーと、みんなよく集まってくれたね。僕が急に倒れちゃったから心配をかけちゃったけど、この通り元気になったからもう心配はいらないよ」
そんなレジーナの放った言葉が、玉座の間に響き渡る。
しかし、それに反応を示す者は誰もいない。
(あれ? もしかして何か失敗した?)
その様子に、レジーナは背中に冷たい汗が流れるような感覚を覚える。
自我を持った事で、NPCたちがレジーナに反抗的な態度を取る可能性は考えていたつもりだった。しかし、こんな風に無視されるのは想定していなかったのだ。
もし、ここでいきなり特殊本拠地防衛NPCたち全員に襲いかかられでもしようものなら、今のレジーナには勝てる見込みが全く無かった。
特殊本拠地防衛NPCたちは、いずれも負けず劣らずの戦闘能力を持っている。その中でも特に戦闘に特化しているNPCの数こそ僅かだが、生産系位階や支援系位階をメインにキャラビルドしているNPCなどのそうでないNPCですら十分に強いのだ。
そんな相手を四十人近くも――ルウェルは大丈夫だと思うが――同時に相手に出来る程に、レジーナはまだこの現実化したレジーナの身体を使いこなす自信が無かった。
もし、ゲームと同じ状況で、全盛期のプレイヤースキルがあれば、何とか対応して逃げるくらいは出来ると思うのだが、いかんせんレジーナは、実際に自分の身体がレジーナの身体になってしまった事で生じている数々の違和感と問題を抱えていた。それらを解決するまでは、是が非でも不用意な戦闘は控えなければいけないのだ。
そんなレジーナの心配をよそに、玉座の間は相変わらずの沈黙が支配していた。
その状況にいよいよ覚悟を決めないといけないかとレジーナが思い始めた頃、ようやくレジーナの座る玉座の傍らに控えていたルウェルが、レジーナの耳元に顔を寄せ、小声で助け舟を出してくれる。
「レジーナ様。皆にご尊顔を拝する事と直接奏上する事をご許可下さい。このままでは誰も口を開けません」
その言葉で、レジーナは自分の心配が杞憂だったと安堵する。
そう言えば、以前読んだ小説などでもこういう場面では、まずそのような台詞を言っていた気がする、とレジーナは記憶を手繰る。
そして、それを自分なりにレジーナの言葉として変換し、何度か脳内で推敲を重ねてから、改めてレジーナは口を開いた。
「あ、ごめんね。みんな、楽にして良いよ。それから、自由に発言して良いからね」
そのレジーナの発言を受けて、三十九人の特殊本拠地防衛NPCたちとその部下の大勢の通常本拠地防衛NPCたちは、一斉に人型の者は顔を上げ、そうでない者もそれぞれ跪いた状態から体勢を直してレジーナの方を向く。そのままNPCたちは、まるで示し合わせていたかのように、口をそろえてレジーナの回復への喜びを口にした。
『偉大なる我らが創造主レジーナ様、ご回復おめでとうございます。我ら一同歓喜に打ち震えております』
(うわあ、凄い息ピッタリ。普通練習してもここまでピッタリには出来ないよ)
その迫力にレジーナが圧倒されている間に、謁見は次の段階に移行する。
各特殊本拠地防衛NPCたちはいくつかの小グループに分かれて順番にレジーナの前へとやって来ると、それぞれにレジーナへと親愛と忠誠の言葉を口にしてから元の位置へと戻って行く。
まずレジーナの前に現れたのは、孤高の帝国の中でもルウェルに次ぐ戦力と権限を持つと設定されている三相守護蟲の三人だ。当然、寝室で既に会っているマシコットもその一人だ。
三相守護蟲は、孤高の帝国のナンバー2であるルウェルの下で軍権を統括するのがその役割だ。戦闘、魔法、情報の三つに分かれている軍を、三人の特殊本拠地防衛NPCがそれぞれ取り仕切っている。
しかし、それもあくまでレジーナたちの考えた設定上での話だ。
レジーナ自身の記憶も曖昧ではあったが、実際の『UPN』での運用では、孤高の帝国においてレジーナやルウェルと共に最終防衛ラインとなっている方の玉座の間で侵入者を迎え撃つ最後の砦としての役割が、三相守護蟲の存在意義だった。
しかし、実際にそこまで辿り着いた侵入者は一人もおらず、ルウェルも三相守護蟲も一度も実戦は行った事が無い。まあ、よくレジーナはそっちの玉座の間にいたので、一緒にいた時間自体は長いのだが。
その為なのか、レジーナの前に現れた三人には、レジーナとの間に歴戦の友とでも言うかのような絆があるように振る舞い、その中の一人はとても気さくにレジーナへと話しかけてくる。
マシコットも無口な割に饒舌に話し、レジーナへとさらなる忠誠を誓っていた。
次にレジーナの前にやって来たのは、八大界王と呼ばれている孤高の帝国の八つの階層世界のそれぞれを支配する八人の管理者たちだ。
孤高の帝国はレジーナの持つ八つの《世界超越珠》が元々隠されていた世界の特徴を色濃く受け継いだ八つの階層世界から成り立っている。その階層世界のそれぞれの管理と統治を担っているのが八大界王なのだ。
と言っても、『UPN』の時にはそれぞれの階層に配置した、下の階層へと続く階層間転移門を守る単なる門番の役割を持つボスモンスターのようなモノでしか無かった筈なのだ。
しかし、こうして孤高の帝国が現実のモノとなり、実際の支配者としての設定を反映されたNPCたちは、八人それぞれが王者としての風格のようなモノを漂わせた威厳ある振る舞いを身に着けていてレジーナを驚かせた。
その後は、残りの二十八人の特殊本拠地防衛NPCの総称である統轄二十八大長の面々が、それぞれの役割によっていくつかのグループに分かれてレジーナの前へと姿を現して行った。
設定上の統轄二十八大長は、孤高の帝国における各種部門の総責任者の集まりだ。
しかし、実際のその運用は、レジーナの出来ない生産や支援、技能系の位階を習得させたアイテム製作やスキル習得補助などの担当NPCだ。
『UPN』は、そのゲーム性の性質上、戦闘系の位階と生産などの非戦闘系の位階を別々の枠で習得する事が出来た。
なので、ガチガチの戦闘系ビルドを組む為に、生産位階用の枠にも戦闘で役に立つ非戦闘系の位階を習得でもさせない限り、戦闘能力と生産位階や支援位階の両立は容易だった。
それでも、生産系の位階の種類も膨大で、また、さらに生産系のスキルを持っていても生産系の位階を習得していないと、製作したアイテムの品質が低下すると言う仕様だった為に、とても一キャラでは全ての物を創る事は出来なかった。
そこで、レジーナは特殊本拠地防衛NPCにそれを担当させる事で、自分で高品質で創れないモノをある程度高品質な状態で創る事を可能としていたのだ。
そこに悪乗りしたレジーナの友人たちが、それっぽい設定をいつの間にか盛り込んだのが、統轄二十八大長なのだ。当然のように三相守護蟲や八大界王などの名前もレジーナと友人たちが悪乗りした結果、付けられた名前だ。その中学生が考えそうな名前と言うコンセプトの通り、かなり恥ずかしい感じの集団名となっている。
その統轄二十八大長の中でも最初にやって来たのは、レジーナの生活面を支えている家令と執事長、そしてメイド長に率いられている五人の各部門長メイドの合計八人だった。
家令を筆頭とした彼らは、レジーナの生活面の完全な管理と維持をその役割としていて、その地位と権力は孤高の帝国の中でも完全に独立している。
彼らに指示を出せるのは、事実上レジーナとルウェルの二人しかいないのだ。
そんな彼らは、筆記スキルで巻物を製作したり、料理スキルで料理アイテムを作ったりと言った目的の為に使用されていた。
次に現れたのは三相守護蟲の直属の参謀として参謀長に率いられた各軍に配属されている三人の参謀と各軍の実働部隊指揮官と言う設定を与えられている三人の司令官の集まりだった。
まず、参謀たちの役割は、諜報系アイテムの製作や防諜結界の構築などだ。これを怠ると簡単に様々な情報が筒抜けになってしまうので、その役割はかなり重要だった。
それに対して司令官たちの役割は、孤高の帝国への侵入者の排除の際の遊撃に使用されていた。
その後は各種消耗アイテムなどの製作用のNPCたちの集団が順にやって来た。
施設、資材、図書館、宝物殿の各管理長と言う設定を与えられた四人の管理部門長。
農業、畜産、鉱山の各産業部門を管理する三人の産業部門長。
開発、製薬、錬金、鍛冶、服飾の各技術部門を管理する五人の技術部門長。
そしてレジーナの影武者と言う設定を与えられ、人化したレジーナとそっくりの見た目を持つ護衛部門長。
そうやって、特殊本拠地防衛NPCたちと一通りの謁見を済ませたレジーナは、本拠地防衛NPCたちを含めた全NPCたちの様子に安堵する。レジーナの見る限りNPCたちは皆、レジーナの回復を心から喜んでくれているようだし、その忠誠の言葉も嘘偽りの無い本心であると感じられた。逆に、その忠誠心の深さにレジーナの方が驚かされたくらいだ。
加えて、謁見の過程で特殊本拠地防衛NPCたちと言葉を交わして行く中で、レジーナがもう一つ気になった事は、やはりルウェル以外の特殊本拠地防衛NPCたちも、自分たちがゲームのNPCだったと言うこと自体を認識していないと言う事だった。
有意義な情報を入手し、意外と時間のかかった謁見が一段落した所で、レジーナは再び思考を自分の状況へと向ける。
この本拠地世界――孤高の帝国がどうして現実に存在しているのか? そもそもこの世界は何なのか? など疑問を上げて行けばきりがない。それに対してレジーナが今分かっている事は非常に少ない。
しかし、レジーナにとってはその今分かっている情報だけで十分だった。
リアルでのレジーナには、『UPN』以外に趣味と言えるようなモノは無く、それ以外の時間は、仕事か食事、風呂、睡眠などにしか使っていなかった。現状では現実世界に戻る方法が分からないと言う事情もあるが、そもそもそんな現実に帰りたいとはレジーナにはとても思えなかった。
それに対してこの世界では、レジーナには元々自分が創り上げた状態よりもさらに素晴らしいモノとなって自分の手の中にある理想の身体、宝物のような世界とNPCたちの存在がある。
この世界は、レジーナがその半生をささげた『UPN』の世界に限りなく近い世界だ。そんな世界に、自分が丹精込めて育て上げた理想の自分として生まれ変わる事が出来たのだ。そこへさらに、レジーナを慕うレジーナのかけがえのない努力の結晶たるNPCたちが加わる。
それだけの事実があれば、レジーナがこの世界でレジーナとして生きて行く事を覚悟するのに十分な理由となるだろう。
ただ、レジーナが気になるのは友人たちの消息と安否だ。ルウェルたち特殊本拠地防衛NPCたちからの報告では、友人たちも含めて現状で孤高の帝国に対する侵入者は確認されていない。
もし、友人たちが孤高の帝国内にいたならば、彼らと面識のある筈の特殊本拠地防衛NPCたちが何も報告してこないと言うのは考え辛い。
レジーナも含めて、『UPN』のプレイヤーやNPC、一部の上位モンスターには、不老不死と言う設定が成されていた筈だった。特にその中でもレジーナのような最上位種族に進化し、さらにその後に特殊な条件を満たして隠し種族へと進化を果たした一部の上位プレイヤーならば、ほとんど不死身とさえ言える生命力を持っている。
なので、余程の事が無い限りは友人たちの身に、命にかかわる程の危険が降りかかる事は無い筈だ。
(みんなともう一度この世界で出会えるなら、出来れば会いたい。そして、この孤高の帝国に招待したい。まあ、その為には世界間転移門が通れるようにならないといけないから、今は無理だけどね)
決意を新たにしたレジーナは、謁見の最後の挨拶の為に出来るだけ威厳のありそうな雰囲気を纏う。
自我を獲得したNPCたちの忠誠は、レジーナの想像以上の深さがあった。
これならば、レジーナが余程酷い扱いをしたり、幻滅されるような行動を取ったりしなければ、当面は安心して過ごす事が出来るだろう。
しかし、それもレジーナがしっかりとNPCたちの期待に応え続ければの話だ。その為に、レジーナは全員に向かって言葉を贈る。
「みんなの忠誠はしっかりと受け取ったよ。まだまだ孤高の帝国は不明な事態に巻き込まれ続けているけれど、それもみんながいればきっと解決出来ると信じている。もちろん僕も解決に全力を尽くす。一緒にこの困難を乗り越えよう」
レジーナの言葉に、ルウェルは静かに「勿体無きお言葉」と呟き、他のNPCたちは、一斉に割れんばかりの歓声をあげるのだった。
こうして、レジーナは現実世界と決別し、この世界で生きていく事をはっきりと決意したのだった。