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26. わずかな痕跡をたどって

 私はギルマスに連れられて、別の会議室の前にやってきました。中を覗くと衛兵たちが街の地図とにらめっこしています。壁には情報が書き込まれた資料が貼られていました。


「では私はギルドに戻るからお前は捜査に協力しろ。後はしっかりやりなさい」


 ギルマスが私を置いて帰ってしまいました。私は急に心細くなりました。ギルマスがいた時の頼れる感がすごすぎて辛い。


 見ると捜査会議の指揮を執っている人は、以前フルーさんを捕まえに来た部隊の隊長でした。一度敵対した分、再会するのは気まずいです。


 よし!ここはひと思いに会議室に入っていきましょう。ためらっていても先延ばしになるだけです。3、いや5秒数えたら行きます。カウントダウン、5…6…7…


「何をしている、そんなところに突っ立っていないで会議に参加しろ」

「あ、はい」


 うーん、今行こうとしてたところなんですがね。



 私は今まで見聞きしたことを話しました。


 魔人は行方不明となっていた少年であること、彼が蝕腫病であったこと、父親との確執があったこと、他にもここ数日で蝕腫病の若い患者が5名行方不明となっている事、その以前に治癒院のカルテが盗まれている事。


「行方不明者に共通点がある以上、別件とは考えにくいです」

「ということは、他の行方不明者も魔人となっているかもしれないというのか。もう一人の魔人は女だったそうだが、行方不明者に女はいるのか?」

「一人います。姿が別物に変わっているので断定はできませんが」

「では最悪を想定して、魔人は最低でも6体いると仮定する」



 私達が話をしている間にも、情報は次々集まっていました。瘴気検出器と衛兵の人海戦術で、魔人の発した瘴気を追っていたのです。


 街の地図に次々と瘴気の情報が書き込まれていきました。すると、魔人が通ったと思われるルートが浮かび上がってきました。


「これは、撹乱だな」


 隊長さんがうなりました。浮かび上がったルートは蛇行していました。引き返したりぐるぐる回ったりしているため、目的地が隠されています。


 特に、瘴気が多く検出されたルートは念入りに撹乱されていました。


「これでは場所が特定できん」


 隊長さんが残念そうに言いました。が、私は重要な情報を見つけていました。


「いえ、特定は可能です。見てください」


 私はある瘴気跡を指さしました。それは他の瘴気跡と比べて検出量が小さいルートです。撹乱もされていません。


「これがどうした? このルートは撹乱されていないし瘴気量も少ない。もしこのルート上に潜んでいるとしたらもっと撹乱されているはずだ」


「確かにこのルートで逃げたとしたらその通りでしょう。が、そもそも魔人たちは逃走時にこのルートを通っていません」

「なぜわかる? だとしたらこのルートは何だ?」


「このルートは魔人が隠れ家から現場に来る際に通ったルートです。そしてその時は撹乱を行わず最短ルートで来た……」


「そうか! より時間が経っているから逃走経路よりも瘴気が薄れているのか!」

「その通りです。よってこのルートをたどっていくと……」


 私は指で地図上のルートをたどります。そしてある区画に行きつきました。


「ここに魔人たちはいます」

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