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22. 襲撃は突然に

「あのですね、ご主人様は坊ちゃまの心配をしていないわけではないのです。ただご主人様は商会の仕事が大積でして。マリーン様にお越しいただいたのも、親として依頼は自分の手で出したいと思ってのことでして、はい」


 客室に通されてすぐ、ロックさんが上司をかばい始めました。あんな人が上司では大変でしょうに、大した下っ端根性です。


「いえ、地位が高い人が家族に薄情だということは知っていますので、特に気にしませんよ」

「は? いえ……。それはさすがに偏見では……」

「それよりも息子さんについて教えてください。キャッシュさんでしたか」

「え、ええ……」


 私はロックさんから話を聞きました。キャッシュさん、12歳。2年前に蝕腫病を発症してから闘病生活を続けていたそうです。家族は両親と、弟が一人。療養のため与えられた家でほぼ寝て暮らしており、面倒は主にロックさんが見ていたそうです。


 そして昨日、ロックさんがいない間に行方不明となりました。最後に見たときはいつも通りで、家には争った跡や置手紙なども無く、手掛かりは全くないそうです。



 私はロックさんに確かめてもらいながら似顔絵を作り、事務的な手続きを終えると店を出ました。ロックさんが見送りのために一緒に出てきます。


「マリーン様、どうか坊ちゃまのことをお願いします」


 ロックさんが深々と頭を下げました。


「見つかると確約はできませんが、無事見つかることを私も祈っています」


 そうして私がギルドへ帰ろうとした時。




 商会が爆発しました。




「え、なんで」


 唐突な出来事過ぎて、私は思考停止しました。


「あ、あそこはご主人様の執務室です!」


 ロックさんが叫びました。二階の一角が吹き飛び煙が立っていました。商会は蜂の巣をつついたかのような騒ぎとなり、従業員たちの悲鳴が聞こえてきました。


 やがて煙は晴れていき、二階の吹き飛んだところに人影が見えてきました。二人いるようです。大人と子供でしょうか。


 大人の方の顔が見えました。先ほどの会長です。怪我をしたのか顔に血が流れ、ぐったりとしながら立っています。いえ、吊るされています。背が低い方の人がのどを掴み持ち上げています。


 背が低い方の人がこちらを見ました。長い銀髪の間から素顔が見えます。その人物の肌は紫色で、目の白目部分は黒色でした。



 その人物は、魔人と呼ばれる存在でした。

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