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13. 歩く死者

動く死体編、全7話開始です。

 街で起きている瘴気がらみの事件、その黒幕と思われる男ツモアの捜索を言い渡されて数日が経ちました。あれから特に事件は起きていません。平和です。このまま何も起きなければいいのに。


 しかし私がそう思っていても、ギルドはいろいろな事件が持ち込まれる場所。平和は長くは続きません。


「つまり、街の中で死者が歩きまわっていたということですか」


 私はある少年からアンデッドの目撃情報の聞き取りをしていました。彼の名前はジャン君、今年で9歳の男の子です。


「そう! 何度も確かめたんだ、間違いないよ!」

「どうやって確かめたのですか」

「鑑定したんだ!」

「他人を勝手に鑑定するのは犯罪ですよ」

「……ごめんなさい」


 どうやらジャン君、最近「鑑定」スキルを習得したらしく、他人のステータスが分かるのがうれしくなって鑑定しまわっていたようです。子供なので好奇心を押さえきれなかったのでしょう。


「仕方ないですね。まあ叱るのは後にして、その死体について教えてください」


 ジャン君は鑑定で知った死体の情報をいろいろ話してくれました。名前はフルー、25歳男性、金髪長身。


 商店街で買い物したり他人と会話するなど、生きているようにしか見えなかったそうですが、鑑定では状態が「死亡」だったそうです。


「絶対捕まえて! 悪いやつはやっつけないと!」


 どうやらこの子にとっては死体が歩くのは悪のようです。話が終わるとジャン君は走って帰っていきました。



「お、終わった? 子供の相手」


 エルーシャが声をかけてきました。


「ええ、死体が生活していたそうです。生きる活動は生者の特権のはずですがね」

「子供の嘘じゃない?」

「それを確かめるのも私の仕事です」


 幸い、推定死体男性の情報は十分あります。すぐに見つかるでしょう。ツモアもこれくらい情報があればいいのに。




 私は準備を始めました。今回は捜索です。効率よく進めるには「鑑定」スキルが必須となるでしょう。私は「鑑定」スキルを持っていないので、道具に頼ります。


 私のスキルで付与できるスキルには制限があります。対象の材質や性質、概念にまつわるスキルしか付与できません。


 例えば鉄のナイフであれば、鉄や切ることにまつわるスキルなら与えることができます。


 ですので、「鑑定」を付与するには「鑑定」にまつわる物体が必要となります。私が今回用意したのは、メガネです。私はスキルを発動させました。メガネが生を受けます。


『私は人間ソムリエ。早く人間を鑑定させてくれ』

 

 チェンジで。

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