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正し屋本舗へおいでなさい 【改稿版】  作者: ちゅるぎ
第三章 男子校潜入!男装するのも仕事のうち
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【理から外れたモノ】

 戦闘っぽい描写、残酷?もしくはグロ?表現、ええとお化け注意です。

あ、モフモフもいます。



 月が雲に隠れたことで、夜が滲むように深くなっていく。




穢れたちが吐き出したり、纏わりつかせている黒く澱んだ色煙が建物と暗い闇の境目を曖昧にしていた。


 頬を撫でる風はありがちだけど生温くて、なんだか至近距離で息を吹きかけられているような不快な感覚を残していく。



「シロ、支援を宜しく!チュンは上空待機。妙な動きがあったり、増えたら教えて」



駆ける先には獣型の穢れが二体。


 獣型の穢れは動きが早い分、打たれ弱いから真っ先に狙うようにしてる。

うっかり存在を忘れて体当たりとか噛みつかれるのはもう嫌だし。



「にしても、色が濃いくて妙に“しっかり”してるヤツばっかりじゃない?増幅してた術は解除できてる筈なんだけど―――…っと!」



刀を持ったまま走って首の付け根の当たりを下から上に切り上げる。


 一体目の真っ黒な首が飛んだ。


その勢いを殺さず、体を反転させて切り上げた刀を振り下ろす。

首は重力に逆らうことなくゴロリと転がり落ちた。



「まずは二体、と。手近なところからパパッといくよ」



 切れば切るほど御神水や御神酒の効果は薄くなるし、時間の経過でも効力は落ちていくからスピード勝負だ。


 次に反対側へ足を進めると直ぐに2m程度の人型の穢れが共喰いをしていた。

両者が口を大きく開けて互いの肩や腕に噛みつき、血液が垂れるように液体が滴り落ち、飛び散り、まき散らされていく。


 ビチャッという不快な音と共に頬に飛び散ってきたどす黒い穢れの一部。


血液のようなもの、らしい。

生温いそれは微かに鉄の匂いがするけれど“視える人にしか視えない”んだって。



「人型はやっぱり少し遅いかなっ!大きいヤツは迫力はすごいけど」



左手に刀を持ち換えて、足止め用の呪符を腰につけた“呪符用”のホルスターから一枚引き抜いて霊力を込める。

 不思議なことに霊力を込めるとトランプのようにピンとするんだよね、呪符って。



「投げやすくっていいけど、ねッ」



手に持った呪符は二体の背後で左右に揺れながら近づいてくる穢れへ放った。


 呪符の投げ方も修行で学んだ。

時々外しそうになるけど、体に叩き込まれたおかげで滅多なことじゃ外れない。



「よぉし、無事命中!」



右手に刀を持ち換えて二体が絡み合い貪り食い合っている穢れの首を狙って、コンクリートの床を思いっきり蹴って跳ぶ。


 運動神経がいい方じゃないからあまり高くは飛べないけど、足元に足場を作ったから問題ない。

この札はちょっと特殊な札だったりする。

霊力をちょこっと込めると足場になるんだけど、それ以外に使い道がないっていう……普通ならあまり使わないものらしい。

足場にする為に作ってるから札自体も大きめで場所を取るし、使える時間も長くて5秒で使い捨て。



(基本的に穢れを相手にするのって男の人らしいんだよね。実際に戦ってみるとわかるけど、斬った時の感覚が生々しいし、力も結構いるし、怪我も危険度も桁近いだから普通に除霊・浄霊する方が安全っちゃー安全だよね。物理攻撃本気で危ないもん)



考えながらでも体はしっかり動く。


 三枚置いた札の最後を思い切り蹴る様に飛べば腕を振るう高さに穢れの首に当たる部分がある。



「てやッ!」



握った刀を、漢字の一を書くように力を込めて振る。


 肉に刀が食い込む感覚。


 皮膚を、脂肪を、筋肉を、骨を絶つ感覚を感じながら着地する。


ポイントは膝や体を曲げて上手く衝撃を逃がすこと。

高い所から飛び降りる時は出来るだけ上手にしないとダメージが酷いんだよね。

穢れにやられるより地球の重力と自分の体重にやられるもん。



「なんか、他の所より数は少ない、けどちょっとずつ固くなってない?!これ」



斬った感覚がリアルすぎてなんか嫌だ。

とここぞとばかりに文句を言いながら足止めしていた敵に斬りかかる。


 動かないのでとりあえず膝のあたりを切って、ゆっくりと前傾姿勢で倒れてくるのを右に避けて首を落とす。

屋上の縁付近にいるのはシロに任せて、のそりのそりと動く“顔付き”を警戒しながら穢れたちを片付けていく。


 何度か失敗して体液を浴びる羽目になったけど、途中であきらめた。



(シロの方は直ぐに片付くし、チュンも反応がないってことは増えてもいない、と)



血振りをして刀についた色んな液体を振り落としながら、息を整える。


 警戒はしているけれど、今の所自分の周囲にあるのは消えかけの首ばかりだ。

穢れは数秒形を保ってドロリと溶けるように広がり消える。

勿論、というか個体の強さによっては消えるまでの時間が長いこともあるけど、基本的には放置で問題ないんだよね。


 屋上の景色は変わらない。


月明りがないから見えにくいけど少しずつ屋上に蔓延していたものは薄れて、屋上の縁もハッキリ見えるようになってきたように思う。



(このままあのへんなの動かなければ助かるんだけどな)



多分、何らかの変化はあるだろうと警戒しながら様子を窺っていると予想通りソレは突然行動を始める。


 声というよりも衝撃波のような音の波が全身にたたきつけられた。

近距離で太鼓の演奏を聴いている時のような体の芯をも振るわせるような衝撃。

張りついた顔という顔が咆哮している。


 たらり、と顎のラインを冷えた汗が伝い落ちるのが分かったけれど、拭うことはできなかった。



 これ以上ないくらいに開かれた穴という穴。


 ぽっかりと空いた空洞に宿るは苦痛と恨みと辛み。

ただひたすら自身の感情をむき出しに、やり場のない想いを声にならない声にする様は滑稽でどこまでも救いがなかった。


 うへぇと盛大に顔を顰めつつ臍の下あたりにグッと力を籠める。

憑りつかれるのは御免だ。



(こういうのを見ると“四苦八苦”って本当にあるんだなぁって嫌な実感がひしひしと)



仏教の話になるんだけど、人が死んでから輪廻転生する六種の世界を六道というらしい。


 天道、人間道、修羅道、畜生道、餓鬼同、地獄道に分類される六つの世界。

その中の人間道には“四苦八苦”が蔓延る世界であるという解釈がある。

人間道は救いもあるし楽しみやなんかもあるけど、四苦八苦に悩まされる苦しみの世界で修行の世界ともいわれていると須川さんから聞いたっけ。



(穢れや怨霊悪霊は『死んでも尚、囚われて苦しんで何も得ないまま望むものを得られないまま、在り続けもがき続けるだけの遺物』だって須川さんは薄っすら笑って良く私に発破をかけたっけ)



脳裏によぎるのは、絶賛不在中の上司様だ。

綺麗な、まるで慈しむ様な優しい笑顔かおで楽しそうに「優君は“ああ”はなりたくないでしょう?」って。


 修行中に見せられた様々なものの中には愛おしさを感じたり、切なさを覚えたり、心が温まるようなこともあったけれど―――……それ以上に悲惨で救いのないものを数多く見た。


 須川さんはそれらを私に見せる度にそっと「“ああ”なってはいけませんよ」って囁くんだよね。

夢でも見せるように、頭と体だけじゃない何かに刻み込むように。

 ぞわっと生理的で本能的な嫌悪感が悪寒になって全身に走り、ハッと我に返った。



「絶ッ対、死なない!アレに混ざるのは断固拒否するからねッ」



私の上司は多分、アレに取り込まれた私を容赦なく木っ端微塵にするだろう。


 気合を入れなおすように、新しい御神水を頭からかぶって足止め用の呪符に霊力を込め、複数枚を一気に投擲する。

真っすぐに飛んでいく光を帯びた呪符。

狙い通り敵である顔付きに飛んで行ったんだけど、触れる前にボッと暗紫色の炎を上げて一瞬で消し炭になってしまった。



「……はい?」



今なんか、凄いものを見た気がする。


 一瞬止まった思考を戻したのはシロの咆哮。

ハッとしてもう一度呪符を投げてみるけれど結果は同じだった。


 効力を少し上げたものを使ったけど、それもアウト。

結界の中に閉じ込めてみようと呪符を使った結界を張ってみたけれど、これも咆哮一つで消し飛んだ。なんてこったい。



「呪符が聞かないってことは、やっぱり直接攻撃しかない?うぅ、嫌だなぁぁあ!近づきたくないなぁあぁぁ―――…そんなこと言ってる場合じゃないけどさッ!」



どうにでもなれ、と諦めて刀を構え走っていく。


 少しでも危ない行動をとろうとしたら即時撤退をしようと心に決めて一気に距離を詰める。

防御が苦手なので基本は当て逃げ方針だから近寄って、斬って、速攻逃げて、を繰り返すことをシロに伝え、同じようにするよう指示を出す。


 近づいていく不気味な存在を前に心臓は、緊張と恐怖と運動による血流量増加で今にも張り裂けそうだ。



(須川さん特性の呪符も持ってはいるけどここで使っちゃいけないっていう予感が凄いから自力で何とかするか。そういえば、禪にも呪符持たされたっけ。防御用の結界だって言ってたしダメもとで使っておくか)



短いしゅを唱えて呪符に込められた封を解く。


 禪はどうやら護符や結界は色々な種類のものが書けるらしくて、今使ったのは一番強力だという防御用の結界符だ。

強力なものを使用する際は短い呪を唱え、呪符に込められた力を開放する方式をとっているんだって。

まぁ、大事なものに鍵をかけるようなものだね。


 この方法であれば込めた力が落ちにくいんだ、って言っていたけど私は常時発動する形の呪符しか書いたことないから頷くにとどめた。



「シロ、斬りかかるから気を逸らして!被弾は避けて一撃も喰らわないように注意ッ」



私の指示に返答するように咆哮を上げたシロはタンッと軽い足音と共に宙へ駆けあがる。


 噛みつくような仕草をしたり、吠えたりして気を引いてくれているシロに感謝しながら出来るだけ静かに移動して背後に回った。


人型だけあって、ソレには背があったのだ。


 背の、首元を狙う為に足場になる呪符を―――…と考えた所で呪符を設置したんだけど一瞬で燃えてしまった。

手間取りそうな気配に行儀悪く舌打ちを一つ零し、大人しく手の届く範囲から斬っていく方針に切り替えた。



(人と同じつくりなら膝裏か。膝が折れたら首か腕って順が無難かも)



刀を持ち直し、構えて一気に駆け寄る。


 元々近づいていたこともあって接近自体は容易だった。

膝の裏は丁度私の肩の位置にある。

走り寄った勢いを殺さないよう両手で霊刀を持ち、力を込めて木の幹の様なソレを思い切り斬りつけた。



「ッ……くぅ!!」



想像以上に硬い関節に歯を食いしばる。

刀を握る自分の手は力を籠めすぎて震えているのが見えた。


 全力で力を込めているのに関節の半ばあたりで刀が止まりかけたので追加で霊力を込め、どうにか最後まで断つことができた。

ハッと肺の空気を全て吐き出して私は無意識に顔を裾で拭う。

汗が、ひどい。


緊張と恐怖で荒くなっている呼吸と震える手を自覚し、私は距離を取った。

完全に足一本を切るのに2秒ほどかかった。


 刀が止まりそうになった瞬間上部からシロの鋭い鳴き声と嫌な視線の様なものが聞こえてきていたので、恐らくこちらを向いたのだろう。

不格好に後退したせいで屋上の冷たいコンクリート部分に手と膝をついた私はそっと視線を上にあげた。



「ひ……ッ!?」



顔がこちらを向いていた。


 亡くなった高校生の面はしっかりと私に固定されているのが分かる。


 首は雑巾を絞った時のように奇妙に捻じれていて、咆哮とも絶叫ともつかない声を上げていた口からは涎のようなものを垂れ流していた。

恐ろしいのは、眼球のない目の部分が私から一向に逸れない事。

私のいる方へ顔を向けたまま、ゆっくりと振り返ろうと巨大な体を捻っていく。


 重力からか上半身はゆっくりと前方へ倒れていくところだった。


ソレは切り離した左側の膝から崩れるように体を右へ捻っていく。


ゆっくり、見せつけるように、恐怖をあおる様に。


びちゃりと屋上のコンクリートに大きい掌が支えの役割りを担うべく置かれたのが視界に映った。


 グルんッと重力を利用しこちらへ振り返っていく体からは骨と骨がずれるような音が聞こえてきて私は慌てて更に後方へ後退っていく。

チラッと振り返ると転落するまであと3メートル程しかなかった。


 ヒヤッとした恐怖が自分の中に落ちるのを自覚しつつ、私は少しずつ出入り口の方へ移動しようと足を動かそうとした瞬間のこと。


 大きな音を立ててソレの上半身が床へ叩きつけられる。

両腕が突っ張る様に床に置かれていて、英数字のMの様な形に見えた。

M時の真ん中には当然のように“顔”があって、それは私からほんの5メートルしか離れていない場所にある。



 にィ たァ り



口が左右に開かれて、人であるならば両耳の辺りまで吊り上がっていく。


 不味い、と思って避ける動作をする間もなく床についていた筈の右腕が物凄い勢いで私へ伸ばされるのが見えた。



(これ、ダメなやつだ)



回避が間に合わない、と瞬時に悟った。


目を閉じる時間すら与えられず私の身長を超える大きな手の平が眼前に迫り、シロも、屋上から辛うじて見えていた景色も見事に遮られた。


 駄目かもな、なんてあきらめにも似た感情が浮かんだ直後



 バ チ ィ ッ



と閃光が走って私の目の前から吸い込まれそうな闇色が一掃される。


 私の体は視界が開けた瞬間にその場から屋上出入り口目指して一気に走り出していた。

全力で距離を取る私を追いかけようとしているのか大きく動く気配。


 慄きつつも刀を構えて向き直ると、人型の背を床に押し付けるように踏みつけている巨大な白狼がいた。

 白銀色の長い体毛は所々血液のような液体や穢れによって汚れていたけれど、美しさは変わらない。



「うん……?」



いつの間に、と思わず動きを止めて首を傾げる私を見て両手を伸ばそうとするソレ。


 逃げようという気はもうこの時点で湧かなかった。

ソレの頭はあっという間に獣独特の大きな牙が並んだ口が覆われてしまったから。



「あ」



直後に繊維と肉と骨を無理に引きちぎったような、例えようのない厭な音がことさら大きく響いた。



 ブジュッ  バジャアァ



粘着性のある液体が勢いよく契られた首の付け根から噴出する。


 噴水のような勢いは数秒で収まり、やがて首のあった場所から体液が滴り落ちていく。

さっきまで私を捉えようとしていた掌は首が食われるまで猛烈に動いていたのに、首がなくなった瞬間大きく跳ね、それっきり小さく痙攣し……やがて、動かなくなった。



「し、白吉……っ」



掠れた私の声に大きな獣はそうっと目を細める。


 ふさふさした毛の束である尻尾が左右に激しく動き出し、直後に骨と肉を同時にかみ砕く肌が粟立つような音が飛び込んできた。



  ゴリ ぐちゃ  がり  ゴチュ



ああ、うん、喰ってらっしゃる。

これ確実に食っとるわ。


 思わず遠い目でその光景を見ている私。

だらんと垂れた霊刀を振るう気力はとうに尽きている。

遠い目で可愛い可愛い式神を眺める私の頭上に小さく温かい塊が軟着陸した。

 どうやらチュンも戻ってきたようだ。



「白吉、食べてもいいけどお腹壊さないように量は調節してね。日中、さりげなく生徒からおやつ貰ってるでしょ。で、ここに来るまでに穢れを結構食べてるよね?」



気まずそうに逸らされる視線。

止まない骨と肉を噛み砕き、咀嚼し、嚥下する音と行為。


 結局、シロはソレの足一本を残して全てをぺろりと平らげてしまった。


で、残った足がどうなったかというと私が処分した。


クゥン


そう、甲高く子犬の様な鳴き声は先程、変質した気味の悪い穢れを食べていた白吉ことシロのものだ。



「ダメ。食べすぎると須川さんに怒られるよ」



ビクンッと中型犬から大型犬ほどの大きさになったシロが怯えたように周囲を見回し、すっと伏せの状態へ。


 よく見ると体がブルブル震えている。

食べ散らかした量を考えるともう手遅れな気がするけど、明日から校内の見回りを午後のみから午前も追加しようと心に決めた。



「でも、シロのお陰で命拾いしたし須川さんに報告はしないでおく。ありがとう、助かった。チュンも警戒ありがとね」



労う様に二匹の頭を撫でて、屋上もきっちり浄化して私たちは学校を後にした。


 正直、そのまま座って休みたかったけど一度座ってしまえばそのまま立ち上がれなくなりそうだったので、全身を引きずる様に寮へ戻った。

雑木林の辺りで心が折れそうになったけれど何とか歯を食いしばって非常口のドアノブへ触れた。


 休憩まであと少しだと思った瞬間に倦怠感がドッと押し寄せてくるけれど、何とかドアを開けて真っすぐに部屋に通じるドアを開ける。


 暗い準生徒会室を抜けて漸くベッドのある部屋のドアを開けると、備え付けの机に向かっていた禪が振り向いた。

時計は深夜12時を少し過ぎている。


 随分長い間学校にいたんだな、なんてぼんやり考えていると振り向いた姿勢で固まっている禪と目が合う。



「いったい何をどうしたらそんな状態になる」



目を細めて眉を顰め、ごく自然に机の引き出しから数珠を取り出すルームメイトに苦笑して簡単かつ簡潔に告げる。



「七不思議スポットに湧いたのを全力駆除して浄化してコイン探しをしたらこうなるんだよ。ちょっと御免、引き出しから清め塩取ってくれる?シャワー浴びてくるから」



「あ、ああ」



清め塩を出してもらいながら私はクローゼットから寝間着のTシャツと短パンを取り出す。

こっそりと夜用の薄目で通気性のあるサラシを取り出した。


 もうサラシを付けたまま寝るのにも慣れたことに内心動揺しつつ、へらりと笑みを浮かべて必要なものを持ち浴室へ。


 禪にも一応許可を得てシロも一緒に全身洗浄だ。


物言いたげな視線を感じたけれど気づかない振りをしてシャワー室へ。

備え付けの洗濯機に来ていたものを全て放り込んで御神酒を洗剤と共に投下した。


 静かに音を立てて回り始めた洗濯機を眺めながら私は塩を頭から振りかけ、シロにも同じように塩をかける。



「せめて十代だったらもうちょっと動けるのかもしれないなぁ」



むわりとした蒸気と愛用している洗剤の匂いが充満する平和な浴室内でそんなことを想う。

おねーさんはもう眠たいので勘弁してくれないかなーなんて叶いそうもないことを願い、サラシを巻く。

 まだ、私は眠れないのだろう。



もう、体力も気力もレッドゾーンなんだけどなぁ。






 ここまで読んでくださってありがとうございました。

次は会話が多くなりそうです。


誤字脱字変換ミスなど、サイレント修正する予定ではありますが報告してくださるとすっごく嬉しいです、ハイ。

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