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正し屋本舗へおいでなさい 【改稿版】  作者: ちゅるぎ
第三章 男子校潜入!男装するのも仕事のうち
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【同級生と夜間調査 2回目】

長らくお待たせしまして申し訳ありません…あ、残酷描写というか、グロ系の表現があります。

ホラー描写はあまりないとはおもいます。はい。

あと、もふもふ要因がようやく参加です。一瞬だけですが




 夜の校内は不気味な静けさを保っていた。



月明かりに照らされた廊下には二人分の足音が響き、窓の外から聞こえる虫の声や時折思い出したように吹く風にさざめく木の葉の音。

 霊刀は抜刀して既に手の中にあり、背後ではいつでも呪符が放てるよう禪が警戒している。



(頼もしいなぁ、やっぱり。一人じゃないってだけでも十分なのに昨日の様子を見る限りじゃある程度どころかそこらのペテン師より断然強いし)



ペテン師と比べられたとわかったら禪は怒るだろうな、なんて考えているうちに口の端が持ち上がった。



「優、ところでその手はどうしたんだ」


「あー…うんちょっと動かしにくくて固定してるんだよ。この方が力が入るし、霊刀を支えるのも楽だし」



左の掌に撒きつけた包帯に気付いた禪からはビシバシ遠慮のない視線が感じられるけれど、隠すようなことでもないので素直に話しておくことにする。


 穢れや悪霊と戦うことになった時、不具合なんかを放置して情報共有できていないと後で確実に痛い目を見るからね。

情報共有の重要性は嫌ってほどに須川さんに叩き込まれた。

…何でか須川さんは私に情報くれないけどね。



「動かしにくいのは左手だけで、利き手は右だから刀は扱える。ただ、支えが不安定でちょっと刀を振り下ろす時にぶれるし力もあんまり入らない。消しそこなう可能性もあるから呪符でサポートしてもらってもいい?で、左手が使えないから印を結べないし、刀を使いながら呪符を使うのも無理」


「…つまり囲まれない様にするのが一番いいということか」


「だね。でも、昨日みたいな状態になったらシロを呼ぶよ。シロは攻撃専門だし」


「昨日の状態なら僕もアオイを呼んでいい、という認識で良いか」


「無理はしないのが大前提だけど背後は任せた」



ぐっと親指を立ててみせると禪の眉間に珍しく皺が刻まれる。


 軽口をたたいて少しだけ軽くなった空気に気分良く足を進めたんだけれど、学校内に霊の気配はない。

暫く校内を警戒しながら進んでいると、丁度中庭が見える窓を見つけた。



「昨日のことがあるからもしかして、とは思ったけど何もいないね…それと、今日は他の七不思議の場所を見て何もなければ花壇でコイン探しをするつもりだよ。流石にああいう発生の仕方は不可解だし不自然だから」


「問題はないだろう。校内はこれで一通り見て回ったが、どこから行く」


「そう、だね…花壇と桜の木は一番最後にしようかな。屋上は見たから、プール、ロッカー焼却炉の順が妥当だと思う。プールに関しては、コインを探す必要がないから一番気楽だし…確かプール授業の前日に水をいれるんだよね?今日はどうなんだろ」



水が入っていない状態の方が何かと都合がいいんだけどな、と呟くと禪が直ぐに答えをくれた。



「明日、一年から三年まで授業はないが夏は夏休みを覗いて基本的に水が入っている状態だ。水泳部は毎日練習するからな」


「水泳部…そっか、そうだよね。まぁ、プールに入らなくても居ればすぐにわかるから問題はないか。落ちないように気を付けないと」


「そもそも見廻るだけなら落ちないと思うが」


「滑って落ちたりとかありそうじゃん。足がもつれたりとか」


「ないな」


「…そんなバッサリ否定しなくても」



プールに向かって歩きながら霊視を続ける。

 校内に浮遊霊はいないし、穢れらしきものや澱みも見当たらない。


なんだかな、と内心首を傾げつつ廊下を進んでいくとプールの入り口が見えてきた。

 静かに息と気配を殺しつつ軽い金属性のドアに手を掛け、スライドさせるとカラカラという独特の音が辺りに反響する。




「うはぁ…夜のプールって不気味極まりないね」



塩素の匂いと月明かりで揺らめく水面、どこからか聞こえる水の音。

非日常を体現したみたいな空間にそっと足を踏み入れて、決して広くない隙間に体を滑り込ませる。

後ろから禪も同じようにプール内に入ったがわかったのでプールを一つ一つ眺めながら口を開く。



「禪はどう思う」


「どうもなにもないだろう。霊の気配がまるでない。浮遊霊すらいないのはやはり不自然だが」


「やっぱ見えないか。昨日とほぼ同じ状況みたいだし一か所に集まってるって考えておいた方が良さそう…次、ロッカーだけど外、だよね?プールから言った方がいいかな」


「ああ。明かりはつけない方がいいだろう。寮から見えない保証がない」


「今夜は月明かりもあるし何とかなりそうだけど、雲が多い時とかはあきらめて川蛍借りるよ。霊視はできるけど」



何もいないことが分かったプールの戸を開ける時より気を使わずに閉め、足を校舎の外へ続く非常口へ向ける。


 非常口から出ると正面玄関から行くよりも目的地に近い。

これを知っているのは靖十郎と封魔の二人といった自動販売機巡りのお蔭だったりもする。


 部活の為に作られたプレハブが並んだ場所には自動販売機がいくつか置かれていて、購買までわざわざ買い出しに行かなくてもいいようになっていた。

用事があるのは古いプレハブ小屋なんだけど、自動販売機や現時点で使われているプレハブ棟からは非常に近い。

 外靴を履いていたのでそのまま校舎から出た私たちは古いプレハブ小屋の前に立った。



「にしても、昔のプレハブ小屋って小さいんだね。今はいくつか並んでるのに」


「元々は今と同じように設置されていたようだ。だが、新しくプレハブ棟を建てる際に邪魔になるという理由でこの一つを残して解体したと聞いている。一つだけ残したのは用具置き場にするつもりだったらしいが、いつからか使われなくなって今ではこの通りだ」



ボロボロの小屋を眺めながら聞いた禪の説明に少しだけ首を傾げる。

須川さんと一緒にここへ訪れた時には聞かなかった話だからだ。



「もしかして、調べてくれてたりした?」


「協力はするといった筈だ。この程度の事なら教師に聞けばすぐわかる話だが」


「それでも助かるよ。言われてみればそうだよね、先生に聞くっていう手段もあったか…葵先生ばっかりじゃなくて昔からいる先生とかにも聞いてみようかな」



疑問が浮かべば、だけど。


 納得しつつ月明かりに照らされた古いプレハブ小屋の引き戸に手をかけて右に動かすべく、力を込める。

大きな金属性の戸をと錆びついているのか重たく、嫌な音を立てて何とか一人分体をねじ込める程度の隙間ができた。



「汚れたら困るから禪はそこにいて。ちょっと中見てみるだけだから」



あまりきれいとは言えない引き戸に手を当ててエイッと顔を隙間からプレハブ小屋の中に顔を突っ込むと、以外にも片付いた空間がそこにはあった。



(結構広いなぁ…ロッカーは左右の壁にあって、あとはよくわかんない棚とか段ボール…あ、マットもある)



 古びたロッカーに鍵穴はない。

棚には当時使われていたらしいボールや布、何かの缶、年季の入ったスポーツ用品なんかが無造作に転がっていた。


 ロッカーの前にちらりと見えるマットらしきものは日々の入ったガラス窓から差し込む月明かりに照らされて薄らと白く見えるものの、綺麗な状態とは当然言えない。

無造作に床に置かれた段ボールは結構数が多くて、壁際やロッカーの扉前に置かれているものもあった。

薄らと表面に埃が積もっていて人が入った形跡はない。



(―――…なにもいない、みたいだね)



すえた、それでいてどこか埃っぽい独特の臭いに眉を顰めつつ、何もいないことをしっかり確かめて覗くのをやめた。



「なにもいないみたいだね。次は焼却炉に行こう」



わかった、と頷く禪を見ながら私はプレハブの入り口を元に戻す。

 キッチリと戸が閉まったのを確認した私たちはそのまま焼却炉がある方へ足を進める。



「でも、焼却炉があるってやっぱり珍しいよね。今のご時世焼却炉って使わないしさ」


「校舎を建て替えした時に失くすという話もあったようだが、失くしてしまうのにも費用が掛かるとのことで経費節減の為そのままにしたと聞いている」


「それなら納得。校舎が凄い古いわけでもないからちょっと変だなーって思ってたんだよ。経費節減か…世知辛いというか妙に現実的というか」



そういう理由があるとわかってしまえば、なんか少しだけ怖くなくなるから困る。


 月明かりが校舎に遮られて真っ暗だった為に川蛍を喚び出して、即席の懐中電灯的な役割を担ってもらった。

薄ぼんやりと川蛍を追いかけるように霊視をしつつ進んでいた私たちは、割と早く異変に気付いた。


 あと100mほど先にある角を曲がれば少し開けた敷地に出る筈だ。

私は刀を握り直し、禪は懐から呪符を右に、御神水の入った容器を左の指間にいくつか挟んで声量を押さえたままそっと囁いた。

視線と意識は、焼却炉がある角の向こうに固定している。



「―――…準備は」


「問題ない。数が多そうだが」


「たぶん、昨日の花壇や桜がある場所で見た感じなんだと思う。澱んでるし、鉄臭い」



生温い風に乗ってくる血なまぐさい、それでいて生々しい鉄臭い匂いに眉を寄せつつじりじりと音をたてないようにして近づいていく。

100mほどあった距離がじわじわと縮まっていき、頭を突き出せば様子を窺える距離まで辿り着いた。



 音も、聞こえていた。


悲鳴、咆哮、絶叫、慟哭、何かを咀嚼するような音と、何とも言えない水音。

そっと様子を窺うように顔を覗かせると、そこには昨日の夜にも見た阿鼻叫喚な地獄絵図がプレイバックというかなんというか。

なんだかな、と半目になってしまった私は一度顔を引っ込めて後ろを振り向いた。



「昨日と同じくらいの数で似たような状況。近い所から処理していくからフォロー頼むね。もし、難しいと判断したらシロを喚ぶ」


「わかった。動きながら、ということなら結界を足元に張るのは止めた方が良さそうだな」


「だね。ただ、囲まれた場合は別。速攻で結界張って自分の身を護ること」



 禪が頷いたのを確認してから私たちは角から飛び出し、周囲の状況を見極める。

一番近くにいたヒト型の穢れは頭と右肩を口の端からはみ出させてぐっちゃぐっちゃと噛み砕いている。

白い骨や赤い肉黄色みを帯びた脂肪、血色の泡を吹き目を見開いた20代半ばくらいの女性が食われながら絶叫していた。




「前方3mのヒト型いくよ!」



 霊刀を構えていたこともあって私は足を動かし一気に刀を振るえる程度まで距離を詰め、自分の2倍はある化け物に刀を振り下ろす。

多少ブレはしたけれど、浅くはない傷を負わせることに成功し、その後背後から退魔の符が飛んできた。


 バチィッと痛々しい静電気の強化バージョンみたいな音がしたかと思えばヒト型の穢れは絶叫し、口からぼろりと咥えていた女を落とした。

口が自由になってしまったので噛みつかれないうちに素早く振り下ろした霊刀を下から上に斬り上げて、今度はそのまま横に薙ぐ。


 ゾパンッという鈍い音を立てて人型が胴の辺りからぐらりと崩れ、靄になって消えていく。

喰われていた女の霊は既に消え始めていたのでそのままスルーして足を進める。



「次っ、右斜めのヒト型二体!足止めは喰ってる方、食ってない方から攻撃っ」



私の声に反応して背後から青とも水色ともつかない霊光を纏った呪符が指示した穢れに向かって飛んでいく。


 金縛り系の呪符が2枚張り付いた穢れは鈍い声を上げて動きを止める。


その隙に、もう一体の穢れはヨダレのようなものを垂らし、目の前にいる私に食らいつこうと口を開けたままこちらへ向かってくる。




「生憎、食われてやるわけにはいかないんだよ…ねッ!!」



穢れの口に刀を突き刺しそのまま地面に振り下ろせば、口から股にかけて縦にさけたように綺麗に斬れた。


 続いて硬直し、口から腕一本はみ出させている穢れの胴を薙ぎ、目障りな首を飛ばす。

ここで丁度呪符の効果が切れたようでで空気に四散していく穢れ2体を視界に収めつつ、穢れ達を片づけていく。



「少し離れてるけど、獣型の動きは止められる?」



おおよそ20m程離れた場所で他の穢れが食い残したらしい魂の欠片―――…まぁ、私達には全面がえぐられ肋骨が見えている胴体にしか見えないんだけど…を貪り食っている尾を入れると全長1m半程度の野犬に似た穢れに視線を向ける。



「問題ない…――――…ッ霊縛!」



動きが早い獣型の穢れの足止めができるか尋ねると禪は呪符ではなく素早く印を組み、呪印を飛ばした。

 呪印を飛ばした辺りで私は地面を蹴って、刀を突き刺すように動きを止めた獣の腹に刀を突き刺して顔に向かってスライドさせる。



「問題はあそこか…馬鹿でかいヒト型2体と獣型3体……コレだけ見ると完全ファンタジーだなぁ。気色悪いけど」


「阿呆なこと言っている場合か!指示を出せ」


「ごめんごめん。禪はヒト型1体を捕まえて可能なら攻撃を。獣型はちょっと骨が折れそうだから、シロを喚ぶ。ただし、近寄らない様に遠距離からのサポートに徹して。獣型は早いし、ヒト型はあの大きさだから」


「わかった。大きさが大きさだ、少し時間がかかる」



対象の敵を視界に入れつつ、禪の声に頷いてから抜いていた刀を地面に突き刺して両手を自由にする。


 5体の穢れ達は“食事”に夢中らしく、こちらに注意を向ける気配は今のところない。

シロの事を思い描きながらそっと言霊を口に出した。




『我が式・犬神シロ 具現せよ』




 お決まりの言霊と共に大きく柏手を打つ。

左手が動かしにくいとは言っても柏手くらいなら問題なかったので助かった。


 ぶわっと私の影から飛び出した真っ白な毛並みを持つシロは普段とっている“犬”の姿とは大きく異なっている。

 犬よりも凛々しい狼の様な顔なのに、毛の長さや雰囲気はまるで狼とは違う、不思議な姿に変わった。

神社の狛犬をリアルにしたその姿は神々しく、裏雲仙岳と呼ばれる霊山で出会った山神様の本体に良く似た姿をしている。



「シロには獣型の3体を処理して欲しい。できる?」



地面に突き刺した刀を抜いて構えながら確認を取ると、シロは私を仰ぎ見て遠吠えをした。

気高く空気を震わせるその音に一斉に穢れ達の意識がこちらへ向いたのを感じる。



「ッ禪、シロ、頼んだ…ッ!」



刀を構えて走りながら、一気に距離を詰める。


背後から禪の物らしい印がとび、ヒト型の動きを止める。

右側からはシロが物凄い勢いで獣型にとびかかり、上手く注意を引きながらこちらに来ないよう牽制しつつも鋭い牙や長い尾、そしてのしかかったりして確実かつ着実に攻撃を加え始める。


 私といえば2m半はあるであろう大きなヒト型の腹部を切りつけ、飛ぶようにバックステップで元の位置へ。

初撃は浅く、どのくらいの強度があるのか確かめる為だけにはなったので大したダメージは与えられない。



(昨日のよりちょっと強い、くらいかな)



振り下ろされる足や手を避けながら刀を振るう。


 あまり時間をかけると禪が足止めしている方が動き出してしまう可能性もあるので力を込めて腕を肘の辺りで切り落とせば、ドッいう生々しい音と共に地面に肘から先が落ちた。


 柔らかい肉を斬る様な感覚に骨っぽい感じがないだけましだよなぁ、なんて呑気なことを頭の片隅で考えつつ、腕のない穢れの腹の部分を蹴ると腕を失いバランスを崩した穢れは後ろへそのまま倒れこむ。

 倒れた所で首をはねて肩から腰までを袈裟切りに。

この時きちんと心臓のある位置も斬るように気を付けた。



「っし、次!」



シロは既に一体を片づけ、二体目と三体目を同時に相手しているようだが苦戦しているようには見えなかったので放置だ。


 残りの一体は、今だに禪の術が効いているようではあったけれど、指先や憎々しそうな声が大きな口から漏れ始めている。

こちらも大きいので手首を落とし、肘の辺りを切り、膝かっくんの要領で背後から、膝裏を刀の刃ではない方で全力フルスイングすれば前のめりに倒れていく。


 ずぅんん、という大きな音と共に地面に顔を埋めた穢れの背に上り、心臓のある位置を思い切り突き刺すように横へ刀を動かし、首をはねた。

 血液の代わりに赤黒い靄の様なものを勢いよく吹き出す様を眺めつつ背中から降りて振り向けば、シロが最後の一体を食いちぎった所だった。



「とりあえずは…何とかなった、かな」



ふぅ、と息を吐いて霊刀を軽く振り穢れの残滓を飛ばした後、鞘に刀身を収める。

 意気揚々と禪の方へ歩いていくと彼は小さく息を吐いて手に持っていた呪符を懐へ仕舞い込んでいた。



「おつかれー。ありがとう、助かったよ。ああもでっかいと、やっぱ時間かかるからさ…シロもありがとね!」



眼鏡の位置を直して私を見下ろす禪にお礼を言っていると、全力で走り寄ってきたシロに不意打ちを食らって地面に尻餅をついた。



「わふぅ!わう、わうわうっ」



もっと褒めろ、とでもいう様に顔を舐めまわすシロはいつもよりも随分はっちゃけているようだ。



(呼び出したの久しぶりだし、戦闘後で高揚してるんだろうなぁ)



よしよし、と撫で心地のいい顔や体を一通り撫でて褒めた後、シロを還す。

 ツールポーチから御神水を多めに取り出して周囲を見回すと色々な場所に澱んだ血だまりが無数にある。

変わり果てた浮遊霊たちは体の大部分や一部を食われた状態で微かに、それでいて儚くその場に在る。



「今日は此処を清めたら戻ろう。雲も出て来たし」


「わかった。僕はあちらを」


「終わったら声を掛けてくれる?後片付け済ませたらさっさと戻ろう。なんだかんだで軽く2時間は経ってるし、どっと疲れた」



やれやれーと息を吐きながら御神水と塩で穢れ達が食い散らかした後始末とこれ以上何かを呼ぶことがないように清め、私たちは雑木林を通って寮へ戻った。


 この日は妙に体が重くて気持ちが悪いのでシャワーを浴びてから眠ることに。

実際に汚れないとは言っても鉄臭い現場にいて、色んなものを噴出したり垂らしたりしてる化け物相手に戦ったんだから綺麗にしたいと思うのは当然の心理だと思うんだよね。


 先に禪をシャワーへ追いやってから、ふと鏡を見た。

何処か疲れたような顔をしている自分と目があって、なんだかな、と苦笑する。

学ラン姿の自分を見て驚かなくなったのが嬉しいやら悲しいやら。


 直ぐにシャワーを浴びて出てきた禪と入れ替わって、体を洗い流しながらふとシロの様子が少しいつもと違ったのを思い出す。



(左手を凄く舐めてたけど…なんだったんだろう。包帯巻いてるからかな?)



明日の朝、治っていなければ相談だけでもしてみようか、なんて考えて私は眠りについた。


ここまで読んでくださってありがとうございました!

ブックマークしてくださった方が増えて、うれしいです。

じわじわーッと頑張ります!

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