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最強で最弱な神の力を宿した少年の下剋上物語  作者: 柊木叶葉
南の街ソルト
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第十一話~海~

 一面の青い海、燦々(さんさん)と照りつける太陽…

 そう、ユウ達は海に来ていた。

 忘れそうになるが、ここは地下都市である。

 つまり何らかの方法でここにもう一つの地球環境を作ったわけであって…

 この都市の創始者はゼウスのチカラを宿したやつだから天地創造をしてしまったのか。

 そんな能力は正真正銘の天地創造の原初であるカオスの力を宿しても出来ないのに……

「出来るぞ」

「うわッ!」

 と既に着替えてきたのであろうカオスが心の中を読んだように答える。

「出来るがお主がやろうとするとそもそも宇宙から出来てしまうのでのう、結局力が莫大過ぎて死んでしまう。因みに儂の水着は買ったのではない、作ったのじゃ。」

「うッ、いやッッというかその格好は何だ!?」

 白のマイクロビキニだった。

「お主の好みじゃろ?」

「うッ…いや、そんな幼い格好じゃ…」

「ほう?では大きいほうが良いと?」

 と大きく成長しようとするのをユウは慌てて止める。

 今でも十分に背徳的なのに…これ以上は耐えられそうになかった。そこへ、

「ユウさーん!」

 とミアとクロノとガイアが来た。

 振り向き、目の前の光景に愕然とする。

 クロノ…なぜ黒なんだ?いや…確かに白い肌やその抜群のプロポーションに凄く似合っているけれどもッッ…

 クロノのインパクトに唖然としていると、ミアがむくれたように、

「どうせクロノより小さいですよ…」

 と呟く。いやいや十分に大きい…ガイアが少し目をそらしたのが見えなかったのか…

「み、みんなすごく可愛いな、似合ってるよ」

 もじもじしていた3人はふやけた様な顔になる。

 ふと、クロノがやってきて、

「ユウさん…サンオイルを塗ってくださる?」

 とクロノに耳元で囁かれる。

「ユ、ユウ!私にも塗ってください!」

 とミアにも言われてしまう。

「あ、あぁ…とりあえずあそこのビーチパラソルのところへ行かないか?」

 と一行を促し、クロノとミアにサンオイルを無事に塗り終わる。

 途中、所々嬌声をあげるクロノに反応して顔を赤くしているのをミアに横目で睨まれるのは拷問に近かったが…


 早速、海に入ろうとするとあることに気づく。

 海が黒いのだ。いや、(むし)ろ暗いと言った方が良いのだろうか…

 空を見上げると、暗雲が立ち込めていた。

 (にわか)にビーチが慌ただしくなる。中には鎧をつけ始めた人もいた。

 周りの会話が漏れ聞こえる。

「アレが来るぞ!この街も、もう終わりかもしれない」

 境界線の向こうに見えていた黒点が徐々に大きくなってくる。

「ま、マズイです。あれはもしや魔獣クラーケンでは…」

「そ、そいつは強いのか。」

「え、ええ…神獣クラスです!」

「前の神獣みたいに身体に閉じ込められないのか?」

「奢るでない!お主の小さな器では前のフェンリルで満杯じゃよ…封印することも出来るかもしれんが…最悪、神の力を失うか死んでしまうやもしれん」

 とクロノに言われ、ユウはミアに聞く。

「…逃げるか?」

「早く逃げましょう!」

 と言い、砂浜に座って遊んでいたガイアを連れ戻そうとする。

 ガイアがクラーケンの巨大な影に覆われる。

「ガイアッ!」

 とミアが叫び、ガイアが顔を上げた。

 やっと自分の状況を把握したようで、腰が抜けて動けなくなっていた。

 そこへ、魔の手が伸びる。

 その手がガイアをすくいとろうとした瞬間ミアがガイアを突き飛ばした。

 代わりにミアがからめとられてしまう。

 周りにいた戦士達が魔物に立ち向かう…が如何(いかん)せん、剣で戦車に立ち向かうようなもので全く歯がたっていない。

「どうすればいい…!どうすればいいんだッ!」

 と思わず叫んだ時、脳裏に閃くものがあった。

「カオス!宇宙を作れるんだよな?」

「あ、あぁ儂は宇宙を司っているからな…」

「分かった。クロノあのデカ物をどれくらい止められそうだ?」

「恐らく、二十秒程だと…」

「充分だ!合図したら時を止めてくれ!」

 泣きそうなガイアの方を向き、

「ガイアッ!降臨しろ!」

 と叫ぶと、ガイアの周りが緑の光に包まれて身体が空中に浮かぶ。

「何でしょうか、ユウ様」

「俺とカオスをあの化け物のとこに俺とカオスを飛ばせるか?同時に時を止めている時間を狙ってミアを取り戻してくれ!」

「了解しました。」

「クロノ!三秒後に頼む!」

 すぐに頷くと、力を込め始める。

 同時にガイアが、俺とカオスの身体を空中に浮かべた。

 さっきからカオスは俺の思考を読み取って青ざめていたが、やがて呆れたようについてくる。

 そして世界から音が消えた。波もゼリーみたいに固まっているし、バカみたいにでかいイカも巨大な彫像の様になっている。

 それでも俺達が動けてるのはひとえにカオスが、クロノにかけたチカラの規制のおかげである。

 クロノが時を止めた時、俺とカオス、そして半径5m以内の人の空間だけ時間を止めない、というものだ。

 動いている時には脅威だった十本の足たちも、動きを止めている今はなんということも無いただの障害物に成り下がっている。

 カオスと俺がクラーケンの元にたどり着いた時、ガイアは既にミアを連れて浜辺に降り立っていた。

 安心して言う。

「カオス、俺の中に戻ってくれ。」

「はぁ~…どうなっても知らんぞ。」

 笑顔で頷く。カオスの姿が薄くなり身体に力が溢れるのを感じる。

 目を閉じて唱えた。

宇宙創造(ビッグバン)

 世界が白く染まる。

 次の瞬間、世界は我に返って動き出す。




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