第十話~職業選択~
ふとユウは思う。
俺は戦士のジョブになったところで恩恵がないんじゃないか…と。
「言われてみれば…戦闘はガイアとクロノがやってくださいますし…強いて言うなら私が戦士になった方がいいのかな?」
とミアが言う。
ただユウは何かジョブについてみたいとは思う。
「他にはなんかないのか?」
ちょっと往生際悪く尋ねてしまう。
男が女に守ってもらうのは、少しいたたまれなくなる。
「そうですね…なら、ジョブショップに行きますか?」
「そんなのがあるのか!」
一面にカードが並んでいる。
クロノとミアが食い入るように品定めをしている。
ユウ達は南の街のジョブショップに来ていた。
「回復士なんてのもありますよ!」
「こっちには魔術師も!」
魔術師は魔人族専用のジョブのようだ。
ふとユウは店の奥にしまわれたカードに視線が吸い込まれた。
「英雄…?」
そのカードだけやたらに古く値段が高い。
座っていた店主に声をかける。
「このカードは何なんだ?」
「あぁ、それか…強いて言うなら持ち主を選ぶジョブカードだな。もの凄い武勲とかを立てればそのジョブになれる。まぁここ何百年も売れてないいわくつきのカードなんだけど…」
どれほどの武勲を立てれば良いのだろう、と一人考えていると、皆が自分のジョブを決めたようだった。
ミアは戦士の獣族限定カード『獣戦士』
戦闘能力の大幅な向上と防御が上がるみたいだ。
ガイアは『奇術師』
もの凄く古く高値だったが能力はよくわからない。カードに書いてあった絵が気に入ったみたいだと
クロノは『慰術師』
これも高値の部類で、仲間の治療をしたり出来るらしい。
ユウは…ジョブにつかなかった。
無職である、と言うのも自分はどんなジョブを選べば良いのか全く分からなかったからだ。
強いて言うなら英雄というカードが欲しかったが、まだ大きな武勲とやらをあげていないので諦めたのだった。
まぁ、各々が満足していたようだったのでよしとする。
その後南の街の様々な場所を偵察を兼ねて歩き回ってみる。
ミア曰く、それぞれの街に様々な特徴があるらしいのだが、確かに街の雰囲気を一言で形容すると、中央と比べて『夏』という言葉がぴったりの街だった。
領主が炎を操るという理由なあるらしい。
商店街で必要な物を揃えようと赴くと、やはり薄着が多かった。
それぞれに服を買うと、
クロノとガイアは剥き出しになったそれぞれの腕が白く光って眩しい。
ミアは健康的に焼けた肌が太陽に映えていた。
皆に意見を求められたが、久々に女性を意識して目をそらしてしまう。
情けないとは思うものの、ユウも最近まで高校生活をおくっていたのだ。
一同はそのまま水着の店に行く。
流石に恥ずかしくなって、自分の物をそそくさと選ぶとさっさと外に出た。
女性陣はかしましい声をあげていた。
聞くところによると、この近くに海があるらしい。
当初の目的を忘れているわけではないようなので、二、三日の休暇があってもいいだろう。
女性達がワイワイしている間にユウは商店街をうろつく。
食べ物の店がかなりを占めていたので、ここは観光色が強いのだろうな、と思いながら歩いていると小洒落たアンティークショップのような店があった。
引き寄せられるように入っていく。
ゆったりと配置された木目調の机の上に様々な物が置かれていた。
ゆっくりと見ていると、鮮やかな貝殻を加工して作られたネックレスがあった。
思わず手に取って見ていると、店主と思われる柔和そうなおばあさんが出てきた。
「それはここら辺に伝わるお守りなんだよ。」
と説明してくれる。
「これを3つくれませんか?」
「プレゼントかい?」
と少しニヤニヤして聞かれたので、赤面してしまう。
「まぁ頑張りな、あんたはその内大きいことをする気がするから。」
と意味深な言葉をはいて、少し小洒落た袋に別々に入れてくれる。
水着屋の前に行くと、三人が待っていた。
「何してたんですか?」
とミアに言われ、さっきの老婆の言葉のことを考えていたユウは少したじろいて、
「何でもないよ。」
と言った。クロノとミアは不審がったがあえて何も聞かないでくれる。
「じゃあ、海に行こうか」
とユウが言うと、待ちわびたように海岸に向かって走り出す。
そこでユウ達はこの街に来て最初の試練にぶつかることになる……。




