第九話~南の街へ~
一行は南の街へ向かう道中、神獣と出会うことこそなかったが、魔物がかなり襲ってきた。
最初の奴は、ミアが両手持ちのナイフで倒してくれた。その時にこの世界には魔物がいるということを教えてもらう。
ミアによると、魔物とは強大な魔人族の周りに出現する生物だという。
曰く、魔人族の住処に近づくにつれ強く、そして大きくなるらしい。
倒した魔物はすべてカードになるが、それを討伐したという事で報酬まで出るようだ。
「こんな弱い奴は報酬も雀の涙ですがね…」
とはミアの談。
ちょうど良かったのでガイアとクロノの力を使って倒してみる。
まずはクロノが時を止める、と言っても最初は弱いやつでもせいぜい十秒程度しか止められない。
強くなるにつれその時間は短くなっていったが、だんだんと慣れて来るにつれ、大きめの奴でも十秒は止められるようになった。
時間を止めている間、ガイアが地面の形を変えて対象を拘束、圧縮する。
これも体力を使うようで、1回使う毎に一時間ほど眠ってしまう。ただこれも慣れの問題のようで、最終的には強そうなヤツでも3回連続でチカラを使うことが出来た。
三日程して、一行は南の街ソルトに着いた。
「俺らが動く拠点が欲しいな」
とユウが言うと、ミアがその街の案内所へ行って地図を貰ってきた。
何だかんだでミアに頼りっぱなしの一行である。
「あの~ココにしませんか?」
とミアが指すのは一番豪華そうな宿。
移動が長かったせいか、確かに皆疲れている。
「でも、どうしてだ?もっと簡素なとこでもいいんじゃないか?」
と聞いてみると、真っ赤な顔で
「だ、ダメならいいのです。ただ…こ、この宿は南の街でも有名で、泊まってみたかったのです!」
と言われた。
「そうなのか…なら、いいんじゃないか?幸いここなら一ヶ月位なら余裕で滞在できるだろ。」
「ホントですか!?ありがとうございます!」
はしゃぎながらチェックインをしに行った。
実際、その宿屋は豪勢なものだった。
一同が腰を落ち着けた時、ミアが言った。
「そういえば道中倒した魔物のカードを持っていますか?」
「あぁ、百枚ぐらいあったが」
「中にはお金になりそうな魔物もいたので報酬をもらいに行きましょう。」
という事で、中央の街よりは一回り小さい町役場のようなところに来て、受付まで行く。
やはりここでも受付には賢人族、いわゆるニンフの力を宿した女の人が座っていた。
カードの山を出すと、軽く目を見開く。
「これは他のパーティの代表として来たのですか?」
「いえ、私達だけですよ」
「戦士の方は見えませんが……」
「戦士ってなんです?」
とユウが尋ねると呆然とされる。肘をつつかれてミアに耳打ちされる。
「戦士とはその人のジョブです。恐らくまだ私達は誰もジョブについていないのでしょう。賢人族にしか見えませんが…」
「はぁ…成程」
と答えて、受付の人に
「まぁいろいろあって…」
とお茶を濁した回答をした。
首をかしげながらも鑑定を始める。
鑑定が終わり、報酬を確認すると神獣を倒した時の半分位になっていた。
「予想以上の稼ぎになりましたね!」
とクロノがはしゃいでいた。
自分でお金を稼いだのが嬉しいらしい。
「ふむ、確かにここいらの魔物にはオーバースペックかの」
とカオスがつぶやいている。
そんなこんなで、宿に戻るとさっき気になったことをゆうが尋ねる。
「ミア、ジョブって何なんだ?」
「そうですね…一言で説明しにくいのですが、クロノさん、私達のまわりに文字は浮かんでいませんか?」
「はい!最近魔物を倒している時にだんだん見えてくるようになりました!」
「成程…で、どのようなことが?」
「そうですね…名前とかその人に関する情報が書いてあります。」
「まさか、種族も?」
「いえ、種族は書いてありませんね。でもユウさんの所には所有奴隷の所には私の名前があります。」
その人の情報が書かれているみたいだ。
「それで、戦士って言うのは?」
「魔物を倒すジョブです。魔物は時に人を襲うからです、またその報酬もかなりのものなので志願者も多いようです。」
「志願ってことはなりたいと思ってなれるものなのか?」
「そうです、役所に功績を提示すればその功績に応じた効果を持つ戦士になれるのです。」
「成程…じゃあ戦士になった方が得なのか?」
「そうなりますね、幸い私達は功績は十分なようですし。」
こうしてユウ達は戦士になることにした。




