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第一章 一頁目 「始まりは唐突に、かつ暗黙に」
「僕は、諦めるのか?」
「自分じゃ何も出来ないって決めるのか?」
「わかってるよ…わかってるんだよ!」
「でも足がすくんで、震えて、動けなくて、どうしようも、出来ないんだよ…」
「くそっ!僕のへたれ!」
眼前には見たことがあるようなないような化け物。
隣には弱い自分の盾になり、「死」を遂げた少女の姿。
無残にも体の殆どを失っている。
自分は生きている。命を、心臓を、血を、息を、動き、流れ、吸い込み、吐き出し「生」を感じている。
初めて目にする「死」
「僕に…力があれば…この娘だって…
言いかけ、言い終わる目前
……!」
声が出ない。
息が出来ない。
鮮血を目にし驚愕。
自分も、化け物に殺された。
事実を拒み、嫌い、避けた。
だが運命はそれを見逃さなかった。
逃げる首襟を掴み引きずり戻された。
そのとき
目の前が真っ暗になった。
生まれて初めて「死」を感じた。