少女資格?
警察にお縄になっちゃった主人公。
どうなるのか!?
鈴の泣き叫ぶ声を背に、警察官に連行される。人生詰んだよ、高校生の途中で。大事な期末があるとか、大事な夏休み前の課題があるとか全て関係なくなったんだ。冤罪は簡単には晴れない。それくらい知ってる。だからこそ余計に怖い。もし、すぐに出れたとしても犯罪者のレッテルは貼りつづけられるままだ。
でも、おかしいと思ってたんだ。女の子が家に来るなんておかしいって事。何者かにはめられたんだ・・・誰も信用できない・・・
パトカーの座席に座り込む。パトカーに乗るのはあの日以来だな。
タオルで隠された手錠を眺めながら、溜息を吐く。これからどうしよう・・・
しかし一向にパトカーは進まない。おかしいなと、ふと外を覗く。鈴が警察官に何かを見せている。何だあれは?生徒・・・手帳か?
それを見た警察官は、ハッと顔を上げる。何かに気付いたらしい。
「君、降りていいぞ」
え?何が起こったんだ。冤罪が晴れたのか?まぁいい、どの道助かったと言う訳だな。
冷たい手錠が外され、またいつもの自分に戻った。しかし、あの手帳はいったい・・・
一人考えに耽っていると、鈴がこちらにテクテクと歩み寄ってきた。その目には涙の痕が窺える。さっきあんなに泣き叫んでいたんだ、しかたない。
「あの~・・・」
消えそうな程小さい声で手帳を差し出してきた。震える小さい手から手帳を受け取り、一ページ目を開ける。
「少女・・・資格・・・一級Sランク保持者?何だこれ?」
「すいません!ずっと黙ってて。いや、知ってると思ってたんです!」
知ってる?この資格を?でも、何でこれで警察は俺を解放したのだろう。
「私から話させてもらっていいですか?」
警察官が二人の会話に入って、説明をしてくれるらしい。今の状況が全く頭に入らないので、一旦話してもらう事にした。
「いいですか?少女資格という物は、今年度から採用された新しい資格です。資格内容はいかに、家事、手伝い、頭の良さ、判断力、容姿を数値化し、それに見合ったテストをします。そして、様々な試験に勝ち進んでいき晴れて、資格を取れるのです。Sランクはすごいですよ。全国に50人しかいませんからね」
「じゃあ、お前は超優等生なのか?」
「ま・・・うん」
自分で言うのが恥ずかしいのか、頬を赤らめる。可愛いとか思うのは今はさて置き、警察官に一番の疑問を聞く。
「何で俺は、捕まらなかったんですか?誘拐されたんじゃ?あ!俺は誘拐してませんよ!」
「それは解ってる。資格を取った後、全国の居候先を少女たちに決めさせるのです。そこで腕を磨くのです。つまり、貴方は超優等生に選ばれたんですよ!!でも、居候先が決まったら手紙が来るはずなんですけどね?」
手紙?俺はそんな物貰った覚えは・・・・・・・・・!思い出した!どうせ釣りだろとか思って捨ててしまったんだ。釣りじゃなかったのか。
「誘拐は、私のお祖母ちゃんがボケて忘れていたようで・・・テヘッ」
嗚呼、怒る気力さえ無い。登校前からとんだはた迷惑な事が起きるとはね。疲れたよ。
でも、良かった。これで全て解決だ。まだちゃんと全てを整理できた訳では無いが、また後ほどゆっくり考えるとしよう。
今日で何回溜息をついたか解らないが、最後の溜息を吐き、空を見上げる。
「学校・・・・・・・どーしよ・・・・・・・」