少女現る!!
君たちは解らないだろう。急に女の子が俺の家に押しかけて来る恐怖と不安が。もし俺がとんでもない性癖の男なら確実にお縄をくらうだろう。可愛いか可愛くないかはさて置き、何故俺の家に来たのかを問いただしてみると、理由が分からないのだからこれまた驚き。もう訳が分からない滅茶苦茶な状況を呑み込めないまま早一週間が経とうとしていた。
「お兄さーん。味噌汁ができましたよー」
「お、今日も美味そうなご飯だな。どれどれ・・・ん。美味い!」
「えへへ~。今日も朝早く起きて頑張ったかいがありました」
朝早くから頑張ってくれてたんだな。うぅ・・・ありがたいよ・・・。
ご飯とみそ汁、そしてお魚。これぞ日本の朝ごはん。これが一番美味いのだ。朝はパンとかぬかすCMを俺は許さない。パンは邪道だ、パンをご飯代わりに食う野郎は俺が一人残さず始末したいくらい嫌いだ。でも決してパンを食べない訳では無い。美味しいからね。
食べ終わった容器を片付けようと皿に手を伸ばすと同居人の女の子、鳫八戸 鈴が俺の手を止めるように阻止して来た。
「ん?皿くらいなら俺が洗うし、朝ごはんを作ってくれたんだ。これくらいさせてくれ」
「駄目です。私は住まわせてもらってる身です。できることは全て私がやります」
そ・・・そうか。
そう思い、仕方なく俺はソファに腰掛ける。今日も怖いニュースが報道されてる。
『今日のニュースです。昨夜未明、少女の鳫八戸 鈴(14)さんが何者かに誘拐された模様です。近くの住人によりますと、夜に一人歩いていたとの目撃情報があり、引き続き捜査を進めるようです』
え・・・・・・?誘拐?
ピンポーン
「高城 春斗さんご在宅ですか!?」
俺の頭の中では葛藤が行われていた。もし出たら捕まるのではないかと。
しかし、出ないと・・・。いけないよな?
ドアを開けると目の前には予想通り警察官が立っていた。
「高城 春斗さんですね?7時29分、現行犯逮捕だ」
「ちょっと!急に何ですか!?」
「近所から通報があったんだ。さぁ、大人しく捕まれ!」
玄関で鈴が泣きそうな顔で警察官に保護される。
「待って!私はあの人に捕まったんじゃないの!離して!」
「畜生、洗脳済みか。目を覚ませ!暴れるな!」
「嫌!嫌ああああああああああああああああ!!!!!!」
どうなってるんだ・・・?何が起こってるんだ?