門番Aの、現時点の生活への不満。
門番生活三ヶ月とよっかめっ!
今日も、城門に立つ。
このゲームが作られて三ヶ月と少し。さすがに門番という仕事に飽きてきた。これが倦怠期というヤツなのか。俺は戦慄を覚えた。どうせなら、旋律でも覚えて歌いたいものである。
……別に、上手いこと言ったとかは思ってねぇからな! それに『王様に粗相のないようにな!』という言葉をメロディに乗せて歌う門番なんて、ホラーな光景をつくるつもりは毛頭ないし!
ちなみに、門番Bと『王様に粗相のないようにな!』と『どうぞお通りください勇者様!』という言葉の応酬なしりとりを続けるという行為は、ホラーな光景とは微塵も思っていないのであしからず。
とはいえ、さすがに三ヶ月経っていると、しりとりもめんどくさい作業でしかないのも事実である。もう三百回ほどリセットしたし、またネタが尽きてきた。最近では、考えるのがめんどくさくて、パターン化した単語を連ねるだけのしりとりである。簡単に言えば『りんご』『ゴリラ』『ラッパ』……みたいな感じだな。
あいつがアレ言ったらコレ言って、コレにはソレで返す、みたいなパターンが決まってんのさ。つまらないことこの上ない。
あぁ、つまらない。ホントに、つまらなすぎる。
こんなことなら、たとえ魔王と戦うことになろうとも、勇者として旅に出る方が数百倍マシだな。誰か、俺を勇者にしてくれよっ!
こんな無意味な願いを『王様に粗相のないようにな!』という言葉と共に大空へ解き放つ。それがこの俺、しがない門番なNPCさ。