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門番Aの唯一の趣味、それはしりとり。


 門番生活三ヶ月とふつかめっ!



 おはようございます。今日もどう考えても職務怠慢な立ち居眠りから目覚め、城門の前で立ち尽くしております。

 つーか、それ以前にどんだけ俺を酷使しまくるつもりなんだろうか、ここの王様は。朝から晩まで、年中無休門番って、むしろ拷問じゃね? こりゃ、職務怠慢もしょうがねぇよ、うん。

 まー、NPCなこの身体は疲れを知らないし、動き続けんのもめんどくさい俺にとっちゃあ、これもいい仕事だったりするんだけどな? それでもそんな不満だって出るわけよ。少しくらいは、息抜きもしたくなる。当然だ。


「王様に粗相のないようにな!(なぁ、門番Bぃ~)」


 と、言うわけで、隣に立つ門番Bに声をかけてみる。顔を横に向けることも許されない俺たちは、良い姿勢のまま前方を注視しながら会話する。


「どうぞお通りください勇者様!(ん~、なんだ門番A?)」


 あ? 会話がおかしいって? んなことあるかよ。俺と門番Bの間ではちゃんと会話が成り立ってるんだぞ? ただ、門番じゃないお前には、同じセリフが延々と吐かれ続けているように聞こえるだけでな。


「王様に粗相のないようにな!(いやなんかさ、暇じゃね?)」

「どうぞお通りください勇者様!(あぁ、確かに暇だな)」

「王様に粗相のないようにな!(だからさぁ、ちょっとしりとりでもしねぇ?)」

「どうぞお通りください勇者様!(えぇ~、それこの前やったばっかりじゃんかよ)」

「王様に粗相のないようにな!(まぁそう言うなって。俺たちにはこれしかやることねぇんだからさ)」


 しりとりしか娯楽のない俺たち。現実はいつも悲しいものなのだ。

ちなみに、門番Bはこの前と言ったが、昨日RPGらしくいきなり夜になり、組み込まれたプログラム通りに居眠りさせられる前にも、しりとりをしていた。つか、生まれた時からずっとしりとりしてる気がする。


 ……それと、しりとりしている間はずっと『王様に粗相のないようにな!』という言葉と『どうぞお通りください勇者様!』という言葉の応酬にしか聞こえないらしい。中々シュールな光景である。


 門番としての仕事より、しりとり歴の方が長いかもしれない。それがこの俺、しがない門番的NPCなのさ!



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