門番Aの自己紹介。
短い話ですが、さくっとどうぞ。
門番生活三ヶ月といちにちめっ!
オッス、オラ門番A! この城門を護るため、門番Bと共に今日も今日とて門の前に立ち尽くす、しがないRPGのモブキャラたるNPCさ!!
あ? NPCがなにかって? しょうがねぇ、教えてやろうっ! ――NPC(ノンプレイヤーキャラクター)。それは、ゲーム上でプレイヤーの操作によって動くキャラクターとは違い、組み込まれたAIによって一定の行動をとり続けるキャラクターである。
ま、つまり俺は生まれた時からずっとここに立ち続け、これからもここに立ち続け、夜はここで『うーん、ここからはいっぽも通さないぞぉ……むにゃむにゃ』という寝言を延々と言い続けさせられながら立ち眠る、哀れな門番ってことだな。しかも名前すらない。どうか俺の事を哀れんでくれ。ここから動けないし、表情を変えることは許されないが、内心、全力で喜んでやる!
……なんか、俺の立ち位置って悲しいな。
ちなみに俺のしゃべる言葉は、同業者である門番B以外には『王様に粗相のないようにな!』という言葉にしか聞こえないそうです。勇者がここを通り過ぎる時だけに初めて意味の通じる言葉だったりするから、悲しいよ、うん。
それでも俺は、今日も城門に立つ。俺は門番A――しがないNPCさ。