33話
「面白いとは思うけど、そう簡単にコーラが売れるかな?」
クロエの問いに、あずさは優雅に首を横に振りました。
「いいえ。私が知る限り、ジャーマニー国でもフレンチ国でも、コーラという飲み物は存在していないわ。これが世間に浸透して、大勢が買い求めるようになるには、途方もない労力と時間、そして宣伝費がかかる。そんな非効率なことをするよりも、まずはこの国の人々の生活に深く根付いているもので勝負するべきよ」
「根付いてるものって何?」
「ワインよ」
あずさは自信ありげに胸を反りました。
「私が知る限り、この世界のワイン造りはまったく安定していないの。樽を開けてみたら、酸っぱすぎて飲めたものじゃない、なんてことは日常茶飯事よ」
「そうなんだ……。ワインなんて興味なかったから知らなかった」
クロエが肩をすくめると、あずさは満足げに頷きました。
「クロエの魔法を使えば、いつでも最高級の、それも完璧に安定した品質のものを用意できるはずよ。そして何より大きなメリットは……それを『水』から生み出せるということ。ブドウを栽培する必要も、業者から仕入れる必要もない。つまり、原価はほぼゼロ。経費が桁違いに安く済むの。商売として、これほど美味しい話はないわ」
「……よくそんなこと、この短時間で思いついたわね」
呆れ半分、感心半分で呟くクロエに、あずさは誇らしげに目を細めました。
「実は前から考えていたの。クロエの魔法を、もっと有効活用できる手段があるんじゃないかってね」
「頭いいな………」
「でしょ?」
あずさは完全に得意気でした。
「心配なのは……私がワインを飲めないってことだね。コーラだったらともかく、ワインの味を、魔法で再現できるかな」
あずさはニヤリと、猫特有の不敵な笑みを浮かべました。
「案ずるより産むが易し。さあ、これから早速試してみましょう? 貴女にしか作れない、黄金の一滴を」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
「ブックマーク」と「いいね」を頂ければ大層喜びます。
評価を頂ければさらに喜びます。
☆5なら踊ります。




