ルイとネイヤ
「おばさんただいま!この子の部屋どこ!?」
「なんだいその子は!」
「ルイちゃんだよ!なんか分かんないけど変身して私を助けてくれたの!」
「そうかい。深くは聞かないでおくよこっちさね。」
数日後早朝
「うぅん……ここは…」
宿屋?
「すぅ…ふぅ…」
え?なんで隣でネイヤが寝てるの?
ズキッ「ウッ!?」
ザザッ
━数日前
「やめろぉぉおおお!!」
「僕はルイ!お前たちを倒しネイヤを助けるものだ!」
ルイは爪武器と結界結晶に似たものを身につけ現れた。
「お前見てぇに戦えなさそうなやつがぁ?助けるだァ?」
「一緒にいて守れねぇやつが?」
「だからこそ!助けに来たんだ!」
「守りたきゃァ俺たちを倒してみるんだな!」
「やってやらぁっ!」
ダッ
「よく分かんないけど力が沸き立ってくる!」
「ハアアアアアアアアアアアッ!これが全力じゃあっ!」
【クルシッド・レイナス】
「………………………」
【アルカナ・ビースト】
ドォッンッ!
前に飛び出してきたネイヤを明確な殺意をもって攻撃。
バシュッ!
「ルイちゃん、ルイちゃんだよね!!もういいよ!私は無事だから!もう敵はいないからっ!ルイちゃんがルイちゃんじゃなくなるのは嫌だよっ!もどってきて!」
「……」
何も答えず腕を振りほどこうとしていたが
「お願いだよっ!もう!私の前からっ!誰も消えて欲しくないっ!」
「…ネ…イヤ……?」ガクリ
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「あ。あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ああああ!」
ぼ、僕が………ネイヤを……
守るって言ったのに…僕がネイヤを…
「…」
優しくネイヤの頬に残る三本の傷跡を撫でる。
「むにゃふふっ…」
ネイヤはくすぐったそうに笑う。
またネイヤを傷つけるのは嫌だッ!早く離れなきゃ。
ガチャ…
宿をこっそり立つ。
「どこか遠く…ネイヤともう会わない場所へっ!」
ダダダッ
まだ虎少女の姿のままなのも服もボロボロでサイズがあっていないのも気にせずに走り出す。
さようならネイヤ。僕のことは忘れてくれ。
君と一緒にいる資格なんてない。
━━宿屋
「うぅん……おはようルイちゃ……」
「って居ないっ!?どこ!?」
「ルイちゃーん?」
「隠れてないで出てきてよ〜!」
宿屋の隅々を探すがいない
バタバタッ
慌てて下に降りる。
「ねぇ女将さん!ルイちゃん見てない?」
「見てないねぇ?部屋にいないのかい?」
「気づいたらいなかったの!」
「なんだい朝から騒がしいなネイヤよ」
「フェリおじさん!ルイちゃんみてない?」
「知らんなぁ…あの男の子じゃろ?」
「うん!」
「あぁルイとやらは見てないが虎の女の子なら見かけたぞ。宿から走ってでてきたが…あんな客いたかのう?」
「どうだったかねぇ。」
女将さんは知っているがおじさんは知らないので隠してくれた。
「ありがとう!フェリおじさん!!」
そしてネイヤは街へ繰り出す。
「おぉ、ネイヤよ。そんな慌ててどうした?」
「べリスさん!おはよう!」
「あぁおはよう」
「ところで虎の女の子見なかった?」
「虎の女の子?」
「あれじゃないのか?」
「あぁ!さっき慌てて壁にぶつかりながら走り去っていった獣人の嬢ちゃんか!」
「きっとその子です!どっちに行ったか分かりますか?」
「確か街から出てすぐ左を曲がって行ったよな?」
「だなぁ。」
「ありがとう!べリスさんたち!」
一方ルイ
紅雨流星と呼ばれる丘付近の誰も来なない場所に。
「はぁ……はぁ…ここまで来れば……」
ネイヤから離れられたはず...
追いつかれない距離だ。
「あんなによくしてくれたけど...」
僕があの力を制御できなかったばかりに傷つけてしまった...もうそんなのは嫌だ。
大人になったはずなんだけどな...
「まだまだ僕...子供なんだな...」
休学するくらい弱いし...戦いになって何度挑んでもボロボロになるし...変な力で勝ったと言ってもあれじゃ暴走しただけで勝ちとは言えないし...
「はぁ...」
本当は謝りたいんだけどな……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ネイヤちゃんは確かこの門をでて左に行ったんだったよね」
ダダダダダッ
「ルイちゃ~ん」
「どこなの〜?」
「戻ってきて!一緒に帰ろ〜!」
バッ
奥へと消えていく人影が見えた。
「待って!」
は、速い...見失っちゃった...
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「ル……ちゃ……」
「この声はネイヤ!?だ、ダメ!謝りたくても今はッ!」
━━━━
バシュッ!
━━━━
「またあんな風になるのはッ!」
「ごめんだっ!」
バッ!
ダダダダダッ
「はぁ...はぁ...どうやらまいたみたい...」
「あれ?ここって確か……」
ネイヤと騎士団と街に入る前に見えた丘だ...
いつの間にかこんなとこまで来ちゃったのか……
ここはなんて言う場所なのかなぁ...
夜空には満点の星々が輝いていた。
「綺麗...」
ルイは星に惹かれ丘の頂へ。
「そっか...異世界でもこんなに星は綺麗なんだ...」
「なんで逃げちゃうかなぁ...まぁまた傷つけたくないから...」
「暴走してもいいように1人になりたかったからだけど...」
少し落ち着かなきゃな...
丘の上で1人空を見上げ想いを馳せ涙を浮かべる。
ネイヤに怪我を負わせ人を殺してしまった罪悪感間に苛まれ...
「うわあああああああんっ!」
大人であるはずの彼女━いや彼は柄にもなく大泣きをし泣き止んだ後何度も何度も地面に拳から血が出るまで殴り続けることを繰り返す。
そうして時間が過ぎた頃
「ルイちゃん!やっと見つけた!」
「えっ!?ネイヤ!?」
「な、なんでっここがっ!?」
「分かるよ。だって...ルイちゃん誰も来ないとこに行こうとしてたから...」
「ならここしかないなって。」
「……、な、なんで僕のこと追いかけてくるのっ!?」
「ルイちゃんこそなんで何も言わず私からっ!逃げるのっ!?」
「そ、そんなの!」
「ネイヤを!君を!あの時みたいにまた傷つけるんじゃないかって怖くてっ!」
「僕がいたらまた迷惑かけて!暴走して!今度はネイヤだけじゃなくてっ!」
「みんなを傷つけ、壊してしまうのが嫌だからに決まってるでしょっ!」
「ネイヤはなんで僕のこと諦めずに追ってくるのさっ!分かるだろ!俺が戻れない理由ッ!」
「なんでってルイちゃんこそ分かってないっ!」
「私が追いかける理由なんてただ、ルイちゃんにお礼して!仲良く暮らしたいだけなのっ!」
「ルイちゃんがひとりで傷付くのが!壊れてしまいそうになるのがッ!嫌だから追いかけるのッ!」
「優しいルイちゃんのことだから...きっと私に怪我させて、悪者さんを殺してしまったことに負い目を感じてたんでしょっ!」
「そんなに手から血を出すほどに!!顔がぐちゃぐちゃになるほどにッ!自分を傷つけ誰とも関わらず1人消えようとしたんでしょッ!そんなの認めないからッ!」
「別にネイヤに認められなくてもいいよっ!」
「ルイちゃんッ!あなたが傷付いたら私も苦しいよッ!あなたが辛い時私も辛いよッ!もう友達なんでしょッ!」
「ツッ!」
「あなたとたくさんの想いを、喜びを!悲しみを!分け合って仲良くしたいだけなのッ!一人で抱え込まないでよっ!」
「頼ってよっ!」
「私はッ!ルイちゃんに...うぅん。あの子に傷付蹴られた怪我なんて大丈夫だからッ!」
そしてネイヤは怪我している頬を優しくなぞりルイにハグをした。
「ネ、ネイヤ……何を……?」
「見て分からない?ハグしてるのよ?」
「ぼ、僕男だよ?」
カァッ~
「あら。今は女の子同士だもの。」
「そ、それでもダメっ!」
グイッ!!
「あら。引き剥がされちゃった。」
「ネイヤちゃん...ありがと。ごめんね。」
「別にいいわ。こちらこそありがとう!ルイちゃん、私を助けてくれて。」
「そういえばなんで私の事助けに来れたの?」
「えっとそれは...」
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ま、まさか!?
ピカァン、、
リンドからあの時貰ったもうひとつの結晶が光り輝き飛んでいく。
「よし!追いかけよう!」
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「ちょっと待った!リンドおじさんからもうひとつ結界結晶貰ってたの?いつ?」
「えっとほら、僕がおじさんに呼ばれた時!後これ結界結晶とは違うんだよね。」
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「そうだ坊主ちょっとこい!」
「呼ばれちゃったから行ってくるね。外で待っててよ」
「実は坊主にはこれ渡したくてな。」
「これって結晶結晶?」
「いやちげぇな。こいつは共鳴結晶つってネイヤ嬢ちゃんの持ってる結界結晶とリンクしてんだ。」
「ネイヤは色々獣人ってだけで狙われやすくてな。万が一ネイヤに何かあって助けが必要な時坊主をネイヤの元に導いてくれるもんだ。」
「あ、ありがとね!リンドさん!」
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「って訳。それと」
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ピカァン...
どれ……ヤイ…と書かれている場所に訪れる。
「これネイヤの残したものかもっ!」
騎士団に連絡をした直後
ピカァア!!
と導かれ
「こっち行ったら次はこっちッ!」
「これでこうっ!」
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「こんな感じで。」
「なにそれっ?すごっ!?」
「まぁ騎士団の皆さんには迷惑かけちゃったけどね。」
「ふふっ。そこまでして心配して、助けに来てくれてほんとにありがと!」
「どういたしまして!」
「そうだっ!ねぇネイヤ……僕と旅に出ない?」
「ルイちゃんと?……」
「ダメかな……僕はネイヤとこの世界を見てみたいんだよね。」
「…………」
「ネイヤ?」
「……行くッ!一緒に旅に出るよ!」
「ほんとっ!?」
「ほんとよ!これからよろしくねルイちゃん!」
「こちらこそよろしく!ネイヤ!!」
「ところでこれいつ戻るんだろ……」
「知らないけど可愛いからいいじゃないっ!」
「よくないっ!」
そういいながら鈴に手が触れると...
パァァアア!!
「あ、戻った!」
「あら残念。」
今度こそネイヤを傷つけず守り抜いてみせる……。
静寂な夜空の下それぞれの想いが交差するなか
ルイは血のついたその震える手で鈴を優しくなぞる。




