49.
「――お、マイちゃんだっ! 久しぶり~っ!」
軽快な声で呼ばれたのに振り返ると、そこにはがたいのいい金髪碧眼のランス使い――ヴェリスがいた。アマリ村で次のクエストへのアイテム調達をしている途中、声を掛けて来たヴェリスにマイは目を向ける。
「ああ、ヴェリス。久しぶりだな。どうしたんだ、こんなところで」
「通過地点だったから立ち寄った〜。君らの拠点だし、アエロもここにいるって聞いて」
「アエロと知り合いなのか?」
「そ。ソロ同士のお仲間~あいつとは武器相性いいし、暇してるんなら手伝って貰おうカナと思ってね!」
「アルガの旦那だから予想はしてたが、当たり前のように最高難易度のライセンス持ちハンターなんだな、アエロは……」
そうして緩やかに会話をしている時だった。ふとヴェリスがどこかに目を向けて、一瞬目を細めたように見え、マイが首を傾げるとヴェリスはそんなマイに向かって、ただにこっと微笑んだ。
「マイちゃんは最近、お変わりなく? その買い出しも狩りの?」
「ん、ああ。今度新種のモンスターに行くからな。その準備だ」
「あ~あの、例の周りの生き物を凶暴化させるとかいう?」
「そうだ」
「俺はそいつのせいで凶暴化してる古龍種を鎮めに行くんだよね~」
「ああ……なるほど」
話しつつ、「そこでお茶しよっ」と強引に腕を引かれたのにマイは「相変わらずだな」と内心思う。茶店のベンチ席に並んで座り、団子とお茶を二人前頼まれ、それが出てきたのに「はい、どーぞっ」と串にささった団子を一本差し出されたのに、大人しくそれを受け取った。
「……忙しいんじゃないのか? 売れっ子ハンター」
「休憩も必要でしょ。マイちゃんと話すの好きだしね~俺」
「相変わらず軟派なことを言うんだな、お前は」
ヴェリスとは、エルレ村での出会い以降、こんな感じで良好な関係である。エルレ村に居た時から、たまにふらりとやってくるヴェリスとこうして単に会話をしたり、稀にマイがクエストの同行を頼んでみたり――技術的なものを教えてもらうため――と、何というかマイにとってヴェリスは、親戚のオジサンみたいな存在だ。実際、ヴェリスから自分に向けられる目は明らかに微笑ましく見守られているようなものであり、たまに顔を合わせるたびに「元気にしててよかったなあ」みたいな感情が読み取れた。
団子にかじりつき、ふとヴェリスからじっと見つめられているのに気付き、マイはまた首を傾げる。
「な、何だ……?」
「いや……隈できてるなあと思って」
「っ、……目立つか?」
「いやあ? こうやってじっと見ないと気付かないんじゃない? 化粧で隠してるみたいだし」
お見通しと言わんばかりのそんなヴェリスの言葉に、マイははあっと息を吐いた。
「何、寝れてないのかい? 最近」
「まあ……」
「そんなに忙しい?」
「そういうわけではないんだが……まあ、色々とあって」
「――恋の悩みならおじさんいつでも率先して聞くぞ!」
にぱっといい笑顔で言われたそんなことに、マイは思わず飲んでいたお茶をごふっと噴き出した。げほげほと咽ていると、能天気に「おや、当たりか?」と言うヴェリスに手にしていた茶をかけてやろうかと思った。
「違う……! 大体、前からそれについては放っておけと言っているだろうっ」
「え〜マイちゃんの方から相談してきたくせになあ。年長者の意見聞きたいって」
それは以前、それこそマイがノアールへの想いを自覚してすぐのことだった。自覚してしまったが故に、持て余しつつあったノアールへの想いを、その時ふらりと訪れたヴェリスに話してしまっていたのだ。マイからして、ヴェリスはそれこそノアールと関わりもなさそうで、ちょうどいい距離の人物であったため、持て余していた思いを吐露するにはちょうど良かったのである。
そして実際、話したことであの時は気持ちに整理をつけれたし、よかったけれど、今となっては若干の後悔もしている。
「愛しのノアール君とはなにも進展してないのかい?」
にやにやとした笑いを携えてそう聞いてくるヴェリスに、殴りたくなったのは間違いない。ただ、当然そうするわけにもいかないため、マイは「はあっ」と息を吐いた。
「進展はしないしさせるつもりもないと言っているだろう、毎回……」
「マイちゃんの方はそうでも、やっぱ男女なわけだしノアール君の方は分かんないじゃん? まあ、俺マジでマイちゃんから聞くノアール君のことしか知らないけど」
「別に会おうとしなくていい。ややこしい」
「わあ、酷い」
笑いながら茶を飲んだヴェリスに、「揶揄われているなあ」と思いつつ、マイはもぐもぐと団子を食べきった。
「で、本当に進展はないのかい? ノアール君の見る目が変わったとか~」
「ノアールは最近……」
「うんうん」
「ラピスに似てきた、かな」
ぽつりとマイがそう答えると、ヴェリスは「へっ?」と素っ頓狂な声を上げる。
「ラピスって、マイちゃんが拾ったっていうネコちゃん? だよな?」
「ああ。ラピスはわたしが拾ったネコで……何というか、母親みたいな小言を言ってくるんだよな。夜更かししないでもう寝るにゃ! とか、ご飯は三食ちゃんと食べるにゃ! とか、まあそんな感じで……」
「小言言われるような生活してるマイちゃんに問題あると思うけど……」
ヴェリスから返って来た正論に、マイはぐうの音も出なかったがひとまず続けた。
「で、まあ、ノアールも最近ラピスと同じようなこと言ってくるようになってなあ。元々そうだったと言えばそうだったんだが……最近は顕著に、朝に会えば“朝ごはん食べた?”から始まるし……」
「マイちゃん普段どんな生活してんの」
「普通の生活をしてるつもりだが? ただ、この隈な、ノアールにも気付かれて……だから化粧で隠してるんだよ」
愚痴をこぼすように苦笑しながらそう言ったマイに、ヴェリスも団子を食べてから「まあ」と息を吐く。
「正直そう言われるのも無理ないと思うけどね~」
「え?」
「マイちゃん、痩せたでしょ。ま、痩せたって言うかやつれた、の方が正しいんだろうけど」
「っ!」
「エルレよりこっちの村の方が資源豊富で栄養価高いもん食べれるはずだから、太るなら分かるけどねえ。んでその隈だろ? 心配されるのも無理ないんじゃない。何か不安なことでもあった? 俺に話すのは丁度いいだろ、マイちゃんからして」
察しの良いヴェリスらしい言葉に、マイはただ小さく笑った。
「別に……何も。最近夢見が悪くて、そこから若干の食欲不振とでも言えばいいのか」
「夢? どんな?」
聞かれたそれに、マイはいつも通りの遠慮がちな笑みを浮かべて「さあ」と言った。
「夢だからな、覚えていないんだ。ただ……怖い夢だったとは思う。それだけだ」
「そんな夢見るようになった原因とかは」
「分からん。だから、どうしようもないんだよなあ。まあ、いつか見なくなったらいいなあと思いつつ過ごしてる、って感じだ」
マイの話に怪訝な顔をするヴェリスだったが、それを無視してマイは「ところで」と話を変えた。
「お前最近家に帰ってるのか? この間カンナから“家の人見てない?”と聞かれたが」
「え、マジ?」
「マジだ。子供のことでどうとか話してたぞ」
「あ〜……その話この前家帰った時に聞いた聞いた。だから大丈夫。なんか、カフェの方がハンターになりたいとか言い出したって言ってて」
「カフェって、娘の方か?」
こうして話をする中で、マイは度々ヴェリスから子ども自慢を受けていた。ヴェリスが妻子持ちであるのは、出会った最初に聞いたことであり、そこからこうした会話で段々と「うちの子が」とヴェリスは話してくるようになったのだ。
話によると、ヴェリスは男女の双子が子供にいるらしく、写真も見せてもらった――というか見せつけられた――が、何とも可愛いらしい双子だった。マイの記憶が正しければ、今は六・七歳のはずである。
「そう! んでさ、カフェの方って親の俺ですらちょっと引くくらいまーじで俺の血を引いてるっていうか……」
「ん? どういうことだ?」
「いや、もう、この間七歳になったところなんだけど、素手で甲殻虫倒して持って帰ってきてたのよ……」
「甲殻虫っていうと、あのダンゴムシみたいな……」
「そう。なりたてハンターが頼まれがちの害虫駆除案件にいるやつ」
「……普通に七歳の子どもくらいのサイズだったような」
「そうなの。確かに俺の家、危険区域との境近いから、まま低ランクのモンスター出現するけどさ、大体カンナが一掃してて……でも稀にすり抜けてそういうの居るのよね。というか、カンナもカンナで多分好戦的なモンスターは狩って、自分から向かって来ないようなのは放っとかれてるんだと思うんだけど」
「まあ、普通はそうだな」
「甲殻虫ってあんまり自らこっち向かって来ないわけじゃん。だから、カフェとモカの遊び場に居たみたいで。でも、自分くらいの虫居たら自力で駆除しようってならなくね? 子供だし、素手なわけだし」
「ああ」
「なのに、何か……カフェの奴“倒せると思って!”って倒して帰って来たし、挙句“楽しかった!”とか言うし、横でモカはカフェにドン引きしてるしでなあ……」
「おお……そうか……」
とんでもない子供だな、と思いながらマイが聞いていると、ヴェリスは続けた。
「そのあと試しにさ、カフェのこと抱えて危険区域付近行って、小型モンスター見かけるたびに指差してカフェに倒せるかどうか聞いてみたのよ」
「はあ、うん……」
「そしたらカフェの奴、無鉄砲に甲殻虫に挑んだわけじゃないってのが分かって。自分に倒せるモンスターと倒せないモンスターちゃんと判別してたんだよなあ、野生の勘みたいなもんでさ」
そう発言したヴェリスを見て、マイは呆れた笑みを浮かべる。
「お前……ちょっと楽しくなってるじゃないか」
「あ、バレた? そりゃさ、あんな才能気付いて“父ちゃんみたいになるーっ!”って言われたらなあ。楽しみにもなるだろ! 写真新調したけど見る?」
「見せたいんだろ……」
見るとは口にしていないのに、懐から出てきたヴェリスの家族写真に呆れながらも目を落とし、そこに映る幸せそうなヴェリスたちの姿をマイはじっと見つめた。満面の笑みを浮かべるヴェリスとカンナに、よく似た笑みを浮かべるカフェと、若干嫌そうな顔をしているモカという家族写真。
ありきたりな、幸せそうな家族写真に対して、マイはふと目を陰らせた。
「……相変わらず、仲がいいんだな」
「まあ、それなりに」
「羨ましいよ。わたしは――……」
何かを言いかけて、ヴェリスと視線がぶつかったのに言葉を止め、マイは「いや、何でもない」と歪な笑みを浮かべる。
――わたしはきっと、家族など持てないだろう
――好きな人が居ても、その人の子を持つことはきっとできない
――わたしにはそんな資格がないし、この身体が、そうされたのだろうという記憶もあるから
「……マイちゃん?」
「うん? 何だ?」
じっと見つめられたのに笑みを返すと、今度はヴェリスから「いや、何でもない」と返って来た。
「……まあ、そんなわけだから、俺あと二・三年したら一旦受けるクエスト落ち着けて、カフェの手引でもしてやろうかと思っててな~」
「ふうん、いいんじゃないか? でも何であと二・三年なんだ」
「ん? そのくらいしたら、任せられるようになるでしょ。俺の立ち位置ある程度」
「誰に?」
「そりゃマイちゃんたちパーティに~」
にこにことした顔でさらりとそんなことを言われ、マイは「は」と驚愕の表情をした。
「わたしがか!? 無茶言うなっ!!」
「だから、マイちゃんたちパーティだって。マイちゃん個人じゃなくて。君らもう高難易度行けるんでしょ? 最高難易度のライセンス渡されるのも時間の問題じゃない? アルガちゃん居るし、全然行けるでしょ」
「そりゃアルガはそうだが……っ」
「ここまで来りゃ、君らはずっと同じメンバーの固定パーティだろ?」
ふいに言われたヴェリスのそんな言葉に、マイはすぐに言葉を返すことができなかった。
「――――うげっ、ヴェリス……?」
すると、どこからともなく嫌そうなそんな声が聞こえ、ヴェリスとマイが声の方に振り向くと、そこにはアエロの姿があった。アエロはヴェリスのことを見ながら、非常に嫌そうな顔を浮かべていて、それだけで二人の関係が分かりそうなものである。
「はっ、しまった! 声掛けちゃった!」
「よおアエロ〜! 暇か? 暇だよなあ? ちょっと付き合って?」
「うるさい、暇じゃない、俺はあと二日は先輩とイチャイチャするんだ」
「二日後なら空いてるんだな? おっけ~じゃあ資料渡すから二日後頼むな~」
「お前ほんとに人の話聞かないな!?」
「お互いさまだろ? あ、アルガちゃんの顔見たいから連れてってよ。邪魔せんから」
「もう邪魔。帰れ」
「そんなこと俺に言っていいのか~?」
にこーっと笑うヴェリスに対して、暫く睨みを利かせていたアエロだったが、ヴェリスの笑顔の裏の何かを感じ取ったのだろう、突然顔色を変えて「分かりました」と肩を落とした。そんなアエロの様子に、「何か弱味でも握られてるんだろうなあ」とマイは思った。
「じゃ、マイちゃんまったね〜。さ、アエロ案内頼むな!」
「ほんと声掛けなきゃよかった……マイちゃんもこんな奴と友だち止めた方がいいよ、絶対」
「ははは……」
ヴェリスが手を振ると、マイは苦笑しつつ手を振り返してくれて、そんな姿を背にしアエロと共にその場を去りつつヴェリスは思う。
(……多分、何か思い出してんな。マイちゃん)
ヴェリスはこれまでの経歴で、とある国にて端的にいうと人に自白をさせるような、尋問をしていたことがあった。そんな経験を経ているため、他人の機微にはかなり聡く、ヴェリスには今日出会ったマイがその瞬間からずっと――いつもと変わらないように努めていると気付いていた。
それに自分が触れてしまえば、おそらくいい方向には転がらないだろうと踏み、聞くことができなかったため、マイが何をどこまで思い出したのかは当然分からない。断片的に思い出したのか、何か感づいた程度なのか、それとも全て思い出してしまったのか――ただ、そう思わざる負えないことはあった。
(マイちゃん……答えなかった)
自分が問いかけた、「ずっと同じメンバーの固定パーティだろ?」というそれに、マイは何も答えなかった。アエロという邪魔が入ったにせよ、それに「はい」か「いいえ」かはたまた「分からない」と、答える時間は十分にあったのだ。それこそ、自分が知っているいつものマイであれば「まあ、そうあれたらいいとは思うが」なんていうことをすぐ答えただろうに――それなのに、マイは何も言わなかった。
答えようとはせず、ただ、諦めたような笑みをその顔に浮かべたのだ。
「……なあアエロ~、お前から見てマイちゃんってどんな子?」
「え? 超いい子」
横に居たアエロに問いかけてみたそれに、間髪入れず返って来たそんな答えを聞き、ヴェリスは満足そうに笑って「だよなあ」と言った。
「マイちゃんいい子だよなあ~ああいう子には幸せになって欲しいよなあ~」
「は? 何? よく分かんないけど不倫はよくねーぞ」
「誰がするかよ! 俺にゃカンナだけだっ!!」
「あっそ」
興味のないアエロの返事にヴェリスは口を尖らせた後、とある方向に目を向けて「やっぱりな」と思う。
(この村は情報収集にゃ向いてる村だから、偶然だろうが……あいつはバド村のギルドで見かけた奴だなあ)
横を歩くアエロにちらりと目を向け、ヴェリスはまた「なあ」と問いかけた。
「お前この村来てどんなもん?」
「一・二週間くらいじゃない?」
「ふうん……じゃあ、あいつ知ってるか? いつからこの村で見かけるようになったか知りたいんだが」
「は? あいつってどれ――……」
指は差さず、目配せで件の人物をアエロに示すと、アエロは一瞬目を見開いた後、何故かヴェリスの頭を掴んでそちらを見ないようにさせたのだった。因みに、ヴェリスはアエロがかなり記憶力のいい人物だということを知っているため、それを聞いたわけであるが、そちらを向くなと言わんばかりのアエロの行動に、ヴェリスは「あ?」と声を上げる。
「何だ、どうした突然」
「あいつ知り合い? 知り合いならこの村から出て行くように言って欲しいんだけど」
「は? いや全然知り合いじゃねーけど。ていうか、お前こそ知り合いなのか?」
アエロのまさかの反応に、ヴェリスが首を傾げていると、アエロは件の人物には頑なに目を向けないようにして、首を横に振った。
「知り合いじゃない。でも、絡まれてるっていうか……バド村から尾行されててっていうか」
「はあ? お前あの村立ち寄ったのか? ていうか、何で尾行なんざされてんだ」
「寄りたくて寄ったんじゃねえし! なんか……人探してるって俺が先輩の夫だって知ったら、先輩にその探し人の写真渡すように言われて〜そっから尾行されてる……。めっちゃうざい。多分、先輩にちゃんと俺が写真渡したかどうか知りたいんだろうけど」
「……で、何でお前は逃げてんだ?」
「そりゃ、関わり合いたくないから。あの村のギルドの人間と関わって、普通ならいいことなくね? ムカつくだけでしょ。先輩もそう言ってたし」
「てことはお前、その写真アルガちゃんに渡してないんか」
「いや、渡すだけ渡したけど」
「アルガちゃんなんて?」
「え? 別に見たことない人だから知らないって――……何でお前がそんなこと気にすんの」
訝しんだ目で聞き返されたのに、ヴェリスははっとしてすぐに「いや?」といつも通りの笑みを浮かべる。他人に感情を悟らせないのは得意なため、涼しい顔をしていればそのうちにアエロはため息を吐いて、前を振り向いた。そして、ヴェリスはこれ以上顔には出さないよう考える。
(……十中八九、マイちゃんのことで、写真ってのはあの写真だろう)
それは、アエロの言っていたこと。あのギルドの人間が、わざわざ写真まで使って人を探している、ということがそもそも稀有なことなのだ。何せ、あのギルドに使われた人間は基本的に使い捨てだというのが有名な話であるから。だから、ヴェリスは驚きもした。
あのギルドから逃げ出してきたのだろう彼女が、わざわざ写真まで使って探されているという事実に。それほどまでに彼女は――都合がよく、とても優秀だったのだろう、と。
見つかればきっと、あの子は捕まって、無理やりあの場所へと戻されてしまうだろう。そして、彼女が長い間洗脳されていたとするのならば、戻されてしまえばきっと自力でそこを抜け出すことは、もうできなくなってしまうのではないか。
(ただ……あの写真の子とマイちゃんはきっとイコールにならない。実際、アルガちゃんは知らない人だと言ったらしいし……まあ、あとはアルガちゃんに直接ちょっと探り入れてみるか)
「――おい、面倒なこと抱えてんじゃねーだろうな」
不意にアエロからそう睨まれ、ヴェリスは目をきょとりとさせた後、はんっと鼻で笑った。
「どーの口が言ってんだか。アエロともあろう人間があの程度のやつバド村から撒けなかった時点で自業自得だろ」
「ちゃんと撒いたっつーの! 証拠に未だ俺は逃げ続けれてるし!!」
「じゃあなんであいつこの村に居るんだ?」
「え? 先輩の拠点がここって話の渦中でうっかり言っちゃったから」
さらりとそう答えたアエロに、ヴェリスは「やっぱ自業自得じゃねえか」と息を吐くのだった。




