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異世界転生したけどまた幼馴染とのんびり暮らしたい  作者: 黒井あたる
第2章 戦の兆し
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第17話

「フェンリル様ー!きましたよー!」

『来たか。待っておったぞ。約束通り魔道具は手配しておいたぞ。では早速種をよこせ。』

「なんでだよ!前に断ったし、それに種族も違うでしょうが!」

『我は神獣だぞ。種族の違いなどどうとでもなる。』


 どうとでもなっちゃうんだ…。


「そんな便利なことになってるんですね。」

『うむ。北を守護する神竜もそうだから気をつけろ。』


 うわぁ、何それ…。北の岩山地帯にはドラゴンが多数住んでいて侵入不可地域として誰も近寄らないんだけど、そんな話聞いちゃったらますます行けないね。なんか巻き込まれる予感しかしない。


『西の妖精女王はそういう概念がないから平気だし、南のユニコーンは元々番いで誕生してるから安心だ。』


 ほうほう、東西南北にそんな存在がいるんだね。


『ただし、どちらも近づかぬほうがよいだろう。西は迷い込んだら何年後に開放されるかわからぬし、南はユニコーンどもが群れで紫電をまき散らしながら音より速く走り回っておる。』

「はい、行かないようにします。」


 怖すぎるんだけど!西と南はダメ!絶対!


『ふむ。戻ってきたようだ。』


 ん?なにが?と思ったら、いかにも日本人の高校生って見た目の男女が2人歩いてきた。


『身なりで察したようだな。あとはそちらで話を聞いてやれ。』

「わかりました。」


「フェンリル様そちらの方は?」


 警戒しているね。男子が女子を庇って隠したよ。


「俺はリーネフ国のランカスター辺境伯家次男のカイト。」

「リーネフ国?帝国じゃない?」


 なにやらほっとしてるようだね。


「今現在帝国に攻め込まれて防衛してるとこだね。帝国の人間ならこのまま見逃すわけにはいかないけど?」

「ち、ちがうんだ!確かにクラスメイトと共に帝国に召喚されたけど、僕達だけ追放されたんだ!」


 なるほど、クラス転移からの追放劇というわけか。


「これからどうするつもり?」

「うーん、よくわからない。最下級職とか言われて転移魔法?みたいなのでこの森に飛ばされて、空から落ちてくる所をフェンリル様に助けてもらったんだ。そしてこの世界で生きるなら魔法おぼえろって言われて必死に練習してたところなんだ。」

「なるほどね。これでもいちおう貴族の権力使えるので、帝国に帰る気がないなら面倒みてあげてもいいけど?」


 二人で見つめあって内緒話しをしているね。


「僕は太陽(たいよう)、こっちは瑠奈(るな)。帝国には殺されかけて恨みしかないのでよろしくお願いします。」

「わかったよ。改めて俺はカイト。前世の日本人の記憶がある。よろしく。」

「え!?それホントですか?」

「ブレザー着てるし日本の高校生だったんでしょ。クラス転移からの追放ってラノベでよく流行ってたやつだよね。」

「うわぁ!ホントっぽい…。うぐぅ、カイトさん、助けてください…。」


 そう言ってボロボロと泣きだす太陽。そうか、いきなりこんな魔物のいる世界に連れてこられて不安だったんだな。


「瑠奈を守るために頑張って魔法使えるようになったんだけど、魔力が無尽蔵にあるわけじゃなくてそれほど続かなくて…剣術とかも覚えたいけど、フェンリル様は爪と牙で戦えって言うし。そんなのあんな魔物に通用するわけが――」


 フェンリル様?とりあえずジト目を向けておく。


『仕方なかろう。剣など持ったことないわ。万が一のため獣人達には会わせないようにしてるしな。』


 そういうことならしょうがないか。


「わかったよ。けど今はこの先に用事があるから、それが終わってから帰りに拾っていくという形でいいかな?」

『それなんだけどな、ここにあまりニンゲンを置いておきたくないから一緒に連れて行ってくれ。エルフなら100年前の勇者も受け入れてたし大丈夫だろう。』

「あー、そうですかわかりました。やっぱり一緒に行きましょうか。」

「はい、よろしくお願いします。」

「よろしくお願いします。」


 あ、瑠奈さんの声初めて聞いたな。ちょっと自信なさげだけど透き通っててキレイな声だね。


「カイトー!置いてかないでー!」


 そういえばララノアさんいたんだった。


「すみません。誘拐するのがバレて無理でした。」


 そこのでっかい狼と残念エルフ!見つめあって何の話をしてるんだい!バレてっていうか自分で話してたからね!


「あの人はエルフのララノアさんで、これから行くエルフの里の住人だよ。」

「エルフ!……ってもの凄い美人ではあるけど耳は普通なんですね。」

「はいはい!うちの里で2番目の美少女と噂のララノアですよー!」

「太陽です。こっちは瑠奈です。」

「町へ行くために変装してたんですよ、ほら!」


 と言って変装を解除した。そんなにホイホイ見せちゃっていいのかな…。


「キミ達も勇者――とはちょっと違う感じがするね。なんだろ?」

「そのままの姿で帝国に召喚されたようだよ。」

「へぇ、そんなこともあるんですね。……ん?ということはカレーライス作れる?」

「材料さえあれば瑠奈が料理得意なのでできると思いますけど。」

「じゃあルナちゃんエルフの里に行こう!すぐ行こう!」

「あ、ちょっと待って、フェンリル様に魔道具手配してもらったお礼言ってなかった。」

「待てません!ルナちゃんのカレーライスが待ってるんです!」


 と言って瑠奈の手を引いて駆けて行ってしまった。まだできてもいないから待ってないと思うけどね?


「あとで追いつくからあの二人追いかけてあげて。」

「わかりました。」

「ショウガヤキテイショクも作れるのー!?ルナちゃんずっと一緒に住もう!」

「ちょっと!ララノアさん、瑠奈は僕の――」


 なんて声が聞こえてきた。


「フェンリル様、魔道具の件ありがとうございました。」

『うむ。よい。それより早く念話憶えろ。おぬしならできるだろう?そして我にもっと話しかけろ。』


 ……なんでもじもじしてるんですかね、フェンリル様は…。


『こんな感じ?』

『ん?誰じゃ?』

『どちら様でしょう?』

『『……』』

『おい!バカモノ!送る相手を絞らぬか!ここら一帯の高位存在に聞かれたぞ!』

『フェンリルの所にいるのか、バケモノみたいな魔力じゃな。面白そうじゃ、そこで待つのじゃ!すぐ行くのじゃ!』

「フェンリル様…そこで待つのじゃ!すぐ行くのじゃ!って言ってる人いるけど…。」

『まずいぞ!その口調は神竜だ!すぐに逃げろ!ヤツも世界樹の傍では暴れないからエルフの里に逃げ込め!』

「はいー!」


 大急ぎで飛び立ってララノア達の後を追うカイトだった。

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