閑話 魔道具の行方
――Sideとある姫様
「ふぅ、これで完成ね」
フェンリル経由で依頼された魔道具が完成したわ。今代の結界使いはどんな人なのかしら?会ってみたいわね。
「姫様!やはりだめです、どんどん増えてます!新しいモノでも焼き切れません」
「困ったわね…。凍らせてもだめなのかしら?」
「はい、凍らせると根が伸びるのが早くなって広まる速度が上がります」
「それはまずいわね…」
そうだ、フェンリルがもの凄い炎を使う人間がいるって言ってたわね。確かフレアソード家の者だとか。
「ララノアを呼んでもらえるかしら」
「はっ!すぐに呼んで参ります」
さて、今のうちにこの魔道具を何個か作りましょう。結界使いのために依頼してきたくらいだから関わりがあるのでしょう。元々は結界使いに貸しを作れればと思って無償で渡す気だったけど、炎の魔法使いにこちらの事情に協力してもらうなら借りができてしまうわ。
「5個もあればいいわよね。よし」
「5個ももらえるんですか!ありがとうございます!」
「……あなたは何をもらうつもりなの?」
「え?竜の鱗ですよね?あれがあれば私の魔導弓が完成しそうなんです、よかったぁ」
「そんなものはないわ。欲しければ北にいって打ち負かしてもらってきなさい」
「そんなぁ…」
「それよりララノア、あなたに頼みがあるの」
「なんでしょうか」
「この魔道具を5個作るからフレアソード家に届けて欲しいの」
「ま、町に行ってもいいんですか!?」
「ちゃんと変装の魔道具使うのよ?」
「はい!それはもちろんです!」
「それと、この森の異変を解決するためにフェンリルの言うものすごい炎を使う人間に来てもらって欲しいの。たぶんフレアソード家の人間よ」
「わかりました!じゃあ行ってきます!」
「待ちなさい!まだ魔道具ができてないわ!」
「待てません!人間のご飯が待ってるんです!」
「ちょっと、誰かララノアを縛り付けておいて!」
全くもう、あの子は…。100年前の勇者に感化されすぎたかしら?
「できたわよ」
「は、はやく縄を解いてください!すぐに行きます!」
「……何をするのか憶えてるんでしょうね……」
「もちろんです!」
「……まぁいいわ。気を付けて行くのよ。町では人間にバレないようにね」
「わかりました!それでは!」
ふぅ、「勇者様が~作ってくれた~ショウガヤキテイショク~あるかな~♪」なんて歌いながら飛び出して行ったけど大丈夫かしら?
……あやしいからフェンリルに念話しておきましょう。
『フェンリルさん聞こえますか?』
『……うむ。おぬしか、どうした?』
『今、例の魔道具持たせてララノアに向かわせたんだけど、ついでに彼女に町まで行かせて噂のものすごい炎を使う人間を里に招待したいの』
『そうか、もうできたのか。これでヤツから種をせしめられる――』
『ちょっと!何言ってるの?』
『いや、こちらの話だ。それで、ヤツを呼び寄せたい理由があるのだな?』
『そうなの。森に炎耐性を持ったやっかいなものが広まって来ててね、その彼なら焼き払えるんじゃないかと』
『なるほど。ヤツならできるやもしれん。あい分かった、任せておけ』
『そう、じゃあお願いね』
また種がどうとか言ってたけど、それほど強いということ?それともただのいい男なのかしら?
それにしてもララノアが心配ね。小さい頃に里に来た勇者に付いて歩いてたからか人間に一番自然に接することができるのはあの子なのよね。
でも、人選間違えたかしら……




