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向かいの君

作者: 碧

(side私)


朝、8時5分

私は自分の登校時間には少し早いこの電車に乗る

「今日も会えるかなぁ…」

夏が終わったかと思ったら急に寒くなった風は遮るものの少ない駅のホームに立っていると辛い


「あっ!!」


向かいのホームをこっそり見る

少し眠たそうなだるそうなそんな感じで電車を待つ彼

一瞬、目が合いそうになって慌てて逸らした

知らない女に見つめられてるとか気持ち悪いもんね…


私は毎朝、彼を見るために早起きを頑張っているのだ


日に透ける明るい髪色

スラリと高い背

なのに猫背

少し着崩した制服


あの日以来、私は彼に恋をしている。


しかし、声をかける勇気もなければ

あの時のお礼もできず

ひたすら彼の姿をこっそりと見つめる

毎朝ほんの5分位の幸せな時間

初恋とは難しいものだ


(side彼)


「さっみぃ〜」

少し前まで暑かったのに、気づけば秋をすっ飛ばして冬だ

寒い、寒すぎる!

思わず背中を丸め、電車よ早よこい!と思いながら向かいのホームを見る

「あ…」と顔を上げ、手を振ろうとしてやめた

あからさまに、背けられた顔

伸びをした振りをしてスマホに視線を落とした


毎朝、会う(と言っても俺が一方的に会ってると思ってる)彼女は、きっとあの日のことなんて覚えてない。

いや、覚えてたとして恐がられてるのかもしれない

「やっぱ、髪黒くするかなぁ…」


チラリと彼女に目をやる

キレイな黒髪は遮る物のない駅のホームで風にサラサラと流れている

姿勢よく電車を待つ姿もキレイだ

どんな顔で笑うのか…とか、どんな風に喋るのか…とか

考えてたら電車が来た


毎朝、ほんの5分程度

会話もなければ、視線も合わない

けど、それでもいい

一目惚れとは恐ろしい

彼女の姿を見れるだけでこんなに幸せだなんて






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