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青の野鳥


「キィイイイエエエエ!!」


 敵は月を背にして飛び上がり、両手両足をまげてプラグにとびかかった。その瞬間


、プラグは嫌な気配を感じて体をひねった。奇妙な操り人形のような姿勢から、着地すると体全体を効率的に回転させその力をどこか一点に集中させているようにみえた。


“左だ!!”


 と気づいた瞬間、左腕が全力でプラグの避ける寸前まで胴体があった場所を思い切りなぐりつけた。同時にすさまじい音が響いた。


《ゴゴゴォオン……》


 民家の屋根は穴が開き、ズズズ、と腕をひきぬいた。プラグでもわかる。この怪力は、プラグ以上だ。腕をひきぬき、マントのはだけた前面をよくみると敵は“オートマタ”のようだった。




 プラグは、容赦なく続けて打ち抜かれる攻撃をすべてすんでのところでよけた。しかしそれは少しずつプラグの体を削るようにして、擦り傷になっていく。プラグはあせった。そして、その焦りは声になっていく。


「な……んで……今さら、お前のような強いやつ……が」


「??」


 首をひねるオートマタ。プラグの思考はこうだった。彼はずっと昔から自分より強い人間を倒して、荒れた生活を送っていたのだ。マルグリッドと出会いその必要はなくなったが、その段階になって、なぜかつて望んだ強敵が現れるのか。




 意図をくんだのか、敵はにやりと笑った。


「ナンデ……ナンデ、すぐにわかる、お前の凶暴さを隠しているものは何だ


……ふむ、シスターマルグリッドか」


 その発言をきいた瞬間、プラグは逆上したように右腕に力をこめ、パンチをくりだした。


「フッ……あいつは俺が支配し、破滅させる、だが、お前もあいつのせいでしぬ」


 プラグは、全身から怒りがこみあげてくるのを感じた。久しぶりの感覚。不条理に対する怒り、彼は右手、左手、かまわず全力で撃ち続ける。そして右足で敵の顔の側面を打った。


 砂埃が舞う。だが敵は、両手でその足蹴りをかばい、にやり、とわらった。


「フッ」


 そしてまるで、この時をまっていたかのように、屋根の上から飛び降りた。


「しまっ……」


 屋根の下をみる、そこにはペペロがいた。プラグもすぐに飛び降りた。




「プラグ……あいつ何して……それに、もう一人の人影は何だ?」


 ふと、ペペロは後方、路地裏から気配を感じた。


「プ……ラグ?」


 その瞬間、ペペロは腹部を何か鋭いもので打ち抜かれたような気がした。まるで巨大な弾丸で打ち抜かれた、そんな感覚だった。



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