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8回死んだ浪人の話
人は己の人生を豊かにするために受験する。
あの高校に受かれば俺の人生はきっと良くなる。
あの大学に受かれば俺の人生はきっと良くなる。
そう自らに言い聞かせ試験に挑む。
しかし何故だろう。
人生は一向に良くならない。
空は晴れているのに己の心には常にどんよりとした鉛色の雲が覆っている。
これは分不相応な夢を抱き続けた或る浪人の話である。
2023年3月12日
浪人は一人暗い夜道をこの世の全てを憎んだような顔で歩いていた。
不安、後悔、怒り、孤独、無力感、哀れ、不憫、惨め、申し訳ない。
浪人の心は闇に覆われていた
なぜ俺はあの時この選択をしてしまったのだろう。
なぜ俺は自分を信じてこの道を進んでしまったのだろう。
周りは確かに俺を止めていたはずだ。
その制止を振り切ってまで進んだ結果は凄惨たるものだった。
もしもあの時に戻れるなら。
そう思っても時間は絶えず進み続ける。
…どうしてこうなったんだろう。
俺は己の半生を振り返ることにした。
これは医学部を目指して8浪した男、中村和馬の半生を語った物語である。




