5.東京
◆
年を越した。
これからはもう、学校に登校しなくても良くなる。
だから、もうアマネとは絵を描けない。
既に、僕とアマネが付き合ってるんじゃ無いかって噂が広がっていた。
僕は……否定しなかった。
と言うか、その話題にならない。
何故ならば、僕はクラスでは一人だったからだ。
誰も、僕に話しかけて来なかった。
「おっ、アマネからのメールだ」
『今日、例の図書館集合!』
「今日は図書館行くのやめとく、と」
僕は寂しくなかった。
今は、だけど。
◆
白木 天音。
生徒会執行部会長。
成績優秀、オール5。
大学は東京の大学に進学し、行く行くは世界を股にかける外交官になるのが夢なんだそうだ。
――と言うか、親がそうあって欲しいらしい。
「アマネは何がしたいんだろう」
ポツリと呟くと、スマホが震える。
『今日、お弁当持ってくから! 一緒に行こうよ!』
「えー、まずいからやだ! 返信っと」
『まずいだと! 来たとしてもミカケにはやらん!』
「嘘だよ、バーカ! 行く行く! 送信っ……はぁ」
僕が、こんなふうになるとは思ってなかった。
ずっと一人だと思ってた。
なのに、アマネは僕を変えたんだ。
なのに、アマネは――。
東京に行ってしまう。
それだけが、今、一番嫌だった。
読んでいただきありがとうございます。
よろしければ、ブックマークをよろしくお願い致します。