2.乾いた絵の具は二度と使えない
この作品は完結しています。
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気付けば、白木さんと二人で夜まで絵を描いていた。
僕は立ちっぱなしで疲れた。
「そろそろ下校か。ミカケ君、帰ろうか」
「うん。絵の具を洗わなきゃ」
「洗わなくて良いよ! また明日、私が使うから!」
「ダメだよ。油絵具は乾くと二度と使えないんだ」
「え! 嘘! じゃ、今日作った絵の具の色は」
「うん。また一から作り直しだよ。てか、また明日描くの?」
「当たり前じゃん! 描き終わらないと気が済まないってもんよ!」
そんな横暴な。
僕の白の絵の具の枯渇が凄いんだけど。
「と、に、か、く! 約束通り、コーヒー奢るから着いて来て! 取り敢えず、一本目!」
「に、二十本も要らないから!」
「ダメ! 私が決めたからにはそうさせていただきます。毎日一本! 約束ね?」
約束、ね。
あと二十日間も、白木さんからコーヒーを奢られなければならない、と。
「ほら、早くしないと学校が閉まるから! その前に自販機まで行かなきゃ」
白木さんはスカートを靡かせて、笑った。
僕も、出来るだけの笑みを浮かべてみた。
「ミカケ君、気持ち悪い笑い方するね」
「う、うるさいなぁ」
こちとら、なかなか笑わないんだよ。
「そういえば、白木さんはこの部室に何しに来たの?」
「うーんなんだっけなぁ」
「白木さん、この部室の物資を撤去しに来たんでしょ?」
「それは違うけど」
「じゃあ、何しに来たの?」
白木さんはそっぽ向いた。
その後、てててっと走ると、
「しーらない!」
と笑った。
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次回の投稿は6/23 21:10の予定です。