②祈り
長い夢を見ていたような気がする。それは悪い夢ではない。
俺が幸せだったころの・・・トラブル続きだったが幸せだった頃の夢だった。
あれから何年経ったのだろう。何度も死んだ。何度死を繰り返しても俺のループ能力に限界はなかった。自殺しようと誰かに殺されようと・・・そう、どんな死に方をしても誰に殺されてもだ。
終わりはいつ来るのだろうか・・・吸血鬼になってしまった俺には寿命が無い。そして何か外的な要因で死んでもループ能力で生き返る。他殺だろうが自殺だろうが事故だろうがそれは同じだった。
辛い・・・辛い、もうずっとこんなことをし続けている。
罪を犯し続けても失敗をし続けてもずっと同じことをし続けている。諦めてはいけない。どんな犠牲を払おうともいつかは叶うはずだ。今諦めれば今までの犠牲が何もかもすべて無駄になる。諦めてはいけない。
諦めれるならばもう諦めて楽になりたかった。
だが・・・だがだ、もう何もかも擦り減って善意も悪意も人間性と言えるようなものを無くしてしまった俺だが最後の意地だけは残っていた。かろうじて残されていた。
もう擦り減ってしまってあの女のようにどうしようもなくなる寸前だがまだ残っていた。
待っている。ただひたすら助けを待ち続けている。
地獄のような白い空間で閉じようとする穴を開き続けながら俺はただひたすら祈り続けていた。




