5話 純愛
女は笑っていた。とても邪悪に笑っていた。ニヤァと唇を弧の形に開きとても嬉しそうに笑っていた。
「本当か!本当なんだな!ああ、嬉しい!!そうかそうか!死ねないんだな!死ねないんだな!!本当なんだな!ああ!嬉しい!死んでもいいくらい嬉しい!!最高だ!大好きだ!君のことが知りたい!とても知りたい!なんなら今すぐ!一緒にベッドで寝よう!抱いてくれ!抱いてほしい!何をしてもいいぞ!好きにしてくれ!私を弄んでおもちゃにしてもいい!むしろしてくれ!ああ、大好きだ!」
・・・・・・怖い。
「大好きだ!大好きだ!大好きだ!大好きだ!大好きだ!ああ、大好きだ!服を脱ぐぞ!抱いてくれ!抱いてくれ!抱いてくれ!めちゃくちゃにしてくれ!何をしてもいい!」
女は服を脱いでいた。そして服を脱いだ女の姿はとても美しかった。だが・・・
「さあ、やろう!今すぐやろう!何をしてもいいぞ!これでも経験は豊富なんだ!何でもしてやる!何でもしてやるぞ!」
・・・とても美しい。肉体は美の化身と言ってもいいくらい均整の取れた美しい胸、くびれた腰、バランスの取れたヒップ、細いが色気のある脚、今までに見たどんな姿よりも美しい。断言できる。
だが・・・
「最高だ!最高に気持ちよくしてやる!最高だ!さあさあさあさあさあさあさあさあさあさあさあ!結婚しよう!結婚しよう!今すぐしよう!夫婦になろう!愛してる!すごく愛してる!あああああああああああ!!!」
恐ろしい。狂っている。
「照れてるのか!照れてるのか!照れてるんだな!?仕方ないね、私からしてやろう!最初は男からしてくれたほうが好みだが!私がやる!さあ脱げ!服を脱げ!今すぐ!僕達は夫婦だ!永遠に結ばれる運命の夫婦だ!嬉しいな!今日は結婚記記記記記記記記記記記念日だな!あああ!最高だ!最高の気分だ!」
女はひたすら・・・狂ったように話している。
「君のことを教えてくれ!全てを教えてくれ!尻の穴のシワの数まで教えてくれ!君のすべてを愛したいんだ!教えてくれ!まあ、時間はじっくりある!仲良くしよう!仲良くしよう!仲良くしよう!二人で過ごそう!世界が終わっても一緒にいよう!ああ、嬉しい!まさかこんな日が来るとは思わなかった!」
俺はただひたすら身動きすらできず、女の艶めかしい手が俺の身体を撫で擦るのを受け入れていた。ただ、怖かった。恐ろしくて震えていた。
女の声が外に漏れ聞こえていたのだろう・・・扉があき、魔法少女と黒い女が入ってきた。そして、ようやく・・・女は少しずつ静かになり・・・話がいったん終わった。
女の手は離れず・・・絶対に逃さない。そんな決意が込められたかのように俺の肉体に絡みついていた。




