サイドストーリー 勇者さん被害者友の会②
「ええ、一瞬の出来事でした」
悲痛な顔で男は語っていた。匿名でなら・・・それを条件に男は重い口を開いたのだ。
男は出入りの庭師をしていた。王様の趣味の盆栽を管理する出入りの庭師をしていた。
「ある日、急にやってきたんです。ええ、あの女は・・・失礼。あの勇者様はお手玉をしていました。ええ、お手玉です。意外と可愛いところもあるって?馬鹿言っちゃいけませんよ。オーガの生首でお手玉するやつのどこが可愛いって言うんですか?」
男は怯えていた。思い出すだけで恐ろしいと怯えていた。
「そしてね、急に何かを思いついたかのように・・・庭にやってきたんですよ。やってきてしまったんです・・・もうその時点でおしまいでした」
男は肩を落としていた。
「あいつはね、盆栽を見てこういったんです。『元気ないなあ』と、そしてね良いことを思いついたかのような顔をしました」
眼の前でねオーガの生首を粉砕し始めたんですよ。たまたまその場にあった植木鉢の上でね。粉砕したんです。6個あったオーガの生首全てです。
そしてねこう言ったんですよ。
「栄養追加してあげるね」
笑顔でした。あの女は・・・勇者様は王様の盆栽にオーガの血を注いでいったんです。肉片も骨も混ざってました。ええ、ボットボトですダダ漏れです。どうなったか?って。
「盆栽は・・・真っ赤に染まった盆栽は全て枯れました。一瞬でした。まるで毒の酸でもかけられたかのように一瞬で枯れ落ちました」
あいつはねそれを見て笑ってたんですよ。とても上機嫌に笑ってたんですよ。
「やはり赤色は綺麗だ。いい色だよ」
そう言って立ち去っていきました。ええ、こんなことが3回ありました。
一回目はオーガ、二回目はゴブリン、三回目は普通に叩き割ってました。なんか王様がお小遣いくれなかったから復讐だって言ってました。
わりと・・・城内ではよく見る光景ですね。
この前は歴代の王様の肖像画に落書きしてチン○を・・・ゲフンゲフン、失礼とってもイヤらしく黒光りするご立派な棒を書いてましたね。ある意味モザイクが入って光り輝くご立派な棒かもしれません。
あれがひょっとして・・・かの有名なライトセーバーなんでしょうか?いえ、過去の勇者様がそういった言葉を残されていたのです。
「ライトセーバーが欲しい。出来れば色は赤色がいい。暗黒卿と呼ばれたい」
そんなことを・・・歴代最強の勇者様が仰っていたのですよ。
え?その勇者様はどうなったかって?
「魔王軍の軍団長と相討ちになったんですよ。なんでも最期はこんな台詞を言っておなくなりになられたらしいんです。『我が生涯に一片の悔いはないけど、出来れば腹上死したかった。ハーレム作りたかった』って静かに語って亡くなられたらしいです」
とてもご立派な最後だった。
とてもご立派な怒髪天を衝くフル勃起だったらしい。服はボロボロで完全に剥き出しだったらしい。
男はそう語っていた。




