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サイドストーリー 勇者さん被害者友の会①


 とあるメイド服を着た世話係兼護衛は語った。



 最初はね。いい子だったんです。嘘じゃないです。本当に嘘じゃないんですよ。今の姿だけ見たら明らかに嘘とわかる嘘を付くのはやめろと言われるのも最もですがこれは本当です。本当なんですよ?



 まるで嘘のような・・・実は本当の話なんですよ。



 最初はいい子でした。それこそ目に入れても痛くないくらい可愛いとってもいい子でした。ちっちゃな身体にちっちゃな手で私の胸に甘えるようにしがみついてきた時とか母性が刺激されました。鼻血出るかと思いました。



 どうしてなんでしょうね・・・どうしてああなっちゃったんでしょうか・・・わからない、なんでああなったの?もっとあるでしょ?もっと・・・なかったの・・・?



 メイドは酒を飲んでいた。今夜も酒を飲んでいた。昨日も酒を飲んでいた。その前も酒を飲んでいた。ヤケ酒だった。飲まないとやってられなかったのだ。私の可愛いあの頃のあの子を返して欲しかった。



 ああ・・・度数の高い酒はいい。気化すると目が痛いけど、飲むとすぐに意識を喪えるから嫌なことを考えなくて済む。身体に悪いから本当はダメだけど・・・私にはこれが必要なんだ。



 メイドは本日もストレスを解消するかのように酒を飲み続けていた。



 向かいには既に酔いつぶれた壮年の豪華な服を着た岩のような男性が倒れていた。横にはなんだか王冠っぽい帽子が落ちていた。帽子はゲロにまみれていた。


 口元からはまだゲロが流れていた。いわゆる寝ゲロだった。こんな光景は・・・とある城のとある部屋で・・・1月に1回くらいはよく見られる光景だった。徐々にペースは上がっていた。




 この世界は絶望に満ちた世界だった。仕方ない。こんな辛いことがあるのも仕方ない。



 メイドはいつしか涙を流していた。アルコールの混じった汚い汁だった。



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