『ミライツカナタ』のトリックオアトリート!~カナタの場合~
2021.04.13
金目猫先生からなんと挿絵再チャレVerを頂戴してしまいました!!
そのため、ここと次頁掲載分の差し替えをさせていただきました!!
高天原はいましも、ハロウィン真っただ中。
おれたちの部屋にも、次々と仮装した生徒たちがやってくる。
みんなが『トリック・オア・トリート!』を楽しめるよう、部屋ごとにだいたいの時間を決めて在室し、やってくる『おばけたち』にお菓子を配る。
このお菓子は一応、30個アソートボックスが各部屋に配られているが、そのほか手作りしてもいいし、独自にお取り寄せをしてもいいことになっている。
もちろんおれたち『ミライツカナタ』は、この日のために頑張って焼いたクッキーを配っている。
「トリック・オア・トリート!」
「トリック・オア・トリート!」
「はーい、おかしをどうぞー!」
「アリガトウゴザイマース!!」
お菓子をねだりに来るのは、スタンダードなドラキュラ、ミイラ男、狼男。
かと思うと。
『はろはろ~元気げんき~?』
「に゛ゃっ?!」
「わっ?!」
どう見ても歩くクリスマスツリーとしか言いようのないのもやってきたりする。
変な声でしゃべる変なデコデコの物体に、びびったイツカのしっぽがブワッと太くなり、飛び上がったミライはおれの後ろに隠れてしまう。
「だいじょうぶだよ二人とも。アスカでしょ?」
『へへ~バレたか~。はい、賞品どうぞ』
「おい、一体どうやって判別したんだ?
この変なボイスチェンジャーとこの異様な仮装で」
山ほどのプレゼントボックスをぶら下げたクリスマスツリーの後ろを『他人のふりをしていたいでもこいつを一人で解き放つわけにもいかない』という様子で歩いていた、顔面モフモフの狼男が、驚いた様子で問いかけてくる。
「こんなデコデコの仮装、アスカぐらいしか思いつかないと思ったから。
っていうか、うしろにハヤトがいることが決め手だったんだけどね」
おれが答えると、アスカは狼男に向けて言う。
『だからハーちゃんもっと激しく仮装しろって言ったのに~』
「顔面モフモフにまでしてこれ以上どう仮装しろってんだ?!」
『だから上半身脱いでモフモフに!!』
「それ脱ぐ意味があるのかよ?!」
『おれがモフモフできる!』
しょーもない答えをのたまわるアスカに、なんとイツカが同調した。
「あー、いーなそれー! ハヤトもふもふやってくれよ!」
『おー、イツにゃんわかってるー!』
わいわい騒いでいたら、色違い大中小のカボチャ大王がやってきた。
「あっすごーい! クリスマスツリーだー!!」
ぱたぱた駆け寄ってくる小さい黄色はシオンのようだ。
「チーッス!! トリックオアトリート!
ほい、ソーヤさん特製のサンドブルジャーキーを召し上がれっ!」
それじゃ本末転倒だろうという嬉しいサービスをしてくれる赤色はソーヤ。
「ところでどうしたの、なんだかちょっともめてるっぽかったけど?」
優しく聞いてくれるオレンジはミズキだ。
「いいところに来てくれたミズキ! こいつらなんとかしてくれよー!」
狼男が助けを求めたところで、どっと十名程度のお化けたちがやってきた。
たちまち混雑する部屋の前。
「トリック・オア・トリート!」
「トリック・オア・トリート!」
「トリック・オア・トリート!」
「あわわ、みんなならんでならんでー!」
「俺たちは向こうで話そうか。またあとでね」
ミズキはかぼちゃとクリスマスツリーと狼男を連れて、スマートに場所を譲ってくれる。
後でお礼を言わなくちゃ。そう思ってお菓子を配り始めれば、あっという間に手持ちのお菓子は減っていく。
何かがおかしい。おれはさりげなくミライをお使いに出すと、イツカと二人、その時が来るのを待ちうけた。
はたして10分後。
ちょうど手持ちのクッキーが尽き、どやどやとお化けたちが去ると同時に、そいつは現れた。
「やあ二人とも。トリックオアトリート。
私の分のお菓子はあるかな?
もしもないというならば、不本意ながらいたずらせざるを得ないのだけど……」
ドラキュラの仮装でバシッと決めたそいつは、美貌を不敵に笑ませてのたまった。
レイン@ドラキュラ(再チャレンジVer.)! by金目猫先生!