帝國前史:黒龍皇帝の登壇
ドサッ
見渡す限り動く者はいなくなった。
優しく吹き抜ける風が纏う血の香りが満ち。
さっきまで白かった砂が、赤黒く染められた砂丘で…
遂に統一を成し遂げた…
輝く黒曜石を削り出し磨き上げたとしか思えない黒く輝く肌
山の山頂を飾る雪のように真っ白な髪…
中原に住む民族と真逆の色合いが特徴的なこの男
「帰るぞ、これから忙しくなる」
自分が倒した戦士を振り返りもせず…静かに戦場を離れ…
一陣の風がマントを巻き上げ、元の色すらわからなくなった鎧が露に。
12歳で王太子として戦場に出て以来26年で周辺国をすべて滅ぼし遂に統一を成し遂げた
「ふむ?こんなものか…もう少し感慨深いと思っていたがな。」
「王ヨ、何カ食おうゼ」
20代?50代?言われると納得できる年齢不詳の軍師がつぶやく
「はぁ…軍師プ=リン…貴様はいつもそれだな…」
統一したと言っても平原にすら踏み込めない現状にイラつきつつ
マヌーケフは、王都に向け凱旋のため帰国の途に就いた
‥………王都にて~
「ここに統一を宣言するとともに、皇帝の地位に登壇し黒龍歴の始まりを宣言する!!」
グンマー盆地を統一する「グンマー帝国」初代皇帝「黒龍皇帝マヌーケフ」がここに即位
在位12年をもって崩御。
黒龍帝の御代でグンマーからの外征は起こさず以降内政に励んだ。