叙述トリックに挑戦してみた
与えられた情報から、時に人は脳内で補完をする。だが、それが真実であるとは限らない───
仕事を終え、家に帰ってきた。いつものように家族の出迎えがあるかな。
ガチャ「ただいまー!」
…おかしい、いつもなら飛んできて出迎えてくれるはずのあの子が来ない。というか家にいる気配がない。何かあったのか?胸騒ぎがする…
プルルルルル
こんな時に電話か…
ガチャ「もしもし?」
『○山さんの家だな?』
「いかにもそうですが…どちら様ですか?」
『お前が今考えてる事を考えてる事を当ててやろうか?』
「はい?あんた一体何を」
『あの子はどこに行ったんだろう』
「!?あんた一体誰なんだよ!何か知ってるのか!!?」
『フフフ…お探しの子なら俺たちが預かってるぜ』
「な、なんだと!?…まさかお前達誘拐犯か!!!」
『さあな。今みんなで楽しませてもらってるぜ』
「なっ…こ、声を聞かせろ!!頼む!その子は無事なんだろうな!?」
『いいだろう、おいちょっとこっちに寄越せ』
『イヤーー!タスケテーー!』
「…う…嘘だ……お前ら…その子に何をした…」
『なに、ほんの少しばかり美味いモノを与えてやっただけさ』
「た…頼む…それ以上その子に何も教えないでくれ…後生だ…」
『ふん、そこまで言うなら返してやろう、今から言う住所に1人で来い』
『小梅市太夫町3丁目34番、だ』
「分かった…すぐに向かう」
15分後
「ペットショップ・チャンチャカチャンか…」
『お待ちしていたぜ』
「!!」
『お宅のインコ、うちで保護しておいた』
「あぁ〜ありがとうございます!!でもなんで変な言葉教えたんですか!!笑」
インコ「イヤーー!イヤーー!」
『事務所で映画見てたら覚えちまったんですよ…すいませんね』
「いえ、本当にありがとうございました。わざわ高い餌まで与えてもらって」
『ははは。ペットにとって最もいい環境を提供するのも我らの仕事さ。もう逃げられるなよ』
たった1人の家族を無事に取り戻した男であった。
実在の人物、住所とは一切関係ありません
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