日記・一冊目【足掻くとも 敵わず】
*注意*
初作品です。
小説の書き方が右も左も分からず、
未だに勉強中です。粗が目立つと思いますが、どうかお許しください。
なお、見る人によっては不快な表現があるかもしれません。ご了承下さい…
コメント等はお気軽にして頂いても構いません、私の餌になります。
それではどうか、私
猫の餌袋をよろしくお願いします。
時は戦国…各地で天下を取らんとする武将や侍達が
闊歩するこの日本に、朱斗賀という国あり。
山々に囲まれ、隠されるように存在していたその国は50ばかりの人々が住む、とても小さな国であった。
そんな小さな国に、砕牙と呼ばれる大国が戦を仕掛けてきた。兵が全く居ない小国が大国に敵う筈もなく、100の兵を差し向けられた朱斗賀はすぐ占領されると思われた。
…しかし砕牙は甘く見ていたのだ。
100ばかりの雑兵では止められぬ、
鬼神の如き強さを持つ侍が朱斗賀に居たことを。
「殿ォォッ!!」
地面を転がるように慌てながら、伝令は砕牙の主
砕藤 亮牙にひざまづく。
「…ククッ、随分時間がかかったではないか…
兵の居ない国とはいえ…」
亮牙の言葉を遮るように、伝令の兵士は叫んだ。
「先陣を切った兵100…ッ…ぜ、全滅……しましたッ…!」
「…なに?」
その言葉を聞き、亮牙の傍らにいる大男、堂金 信太は眉を潜めた。
「…この国に援軍でも来たというのか…?」
「いえ…1人にございます…」
震えた声で伝令は続けた。
「城にたどり着く事は簡単にございました…ですが、恐ろしく強い兵が1人…城を守っておるのです…」
その言葉を聞き、亮牙は刀を手に取った。
「……面白き男がおるようだ…兵を集めよ…城へ全軍で向かうのだ」
「はッ!!殿に続けぇッ!!
向かうは朱斗賀の城じゃッ!」
5万の兵は雄叫びを上げて朱斗賀の城へと向かう。
***************
朱斗賀城へと続く道は簡素な物で、進軍を遮るような物は全くといってありはしなかった。
砕牙の軍勢はあっという間に城へたどり着く。
そこに広がる光景はさながら、地獄のようであった。
城の周りには数多の砕牙兵の屍が積み上げられ、地面に赤い華を咲かせていた。
軍勢を率いる亮牙は城門の前に佇む1人の侍を見据える。右腕に血に濡れた刀を握る侍…その侍には左腕が無かった。
片腕の侍は眼前に広がる敵を見据える。
ふらつく体を支えるのはもう、気力のみ。果ての見えぬ人の波を見て、彼は恐怖ではなく力を沸かせた。
「…何人来ても……同じだ……ッ!!…ここは……通さねぇ…ッ!!」
睨みを効かせたその眼が兵達を貫く。
鬼気迫るそれは恐れを抱かせたが、亮牙は恐れず片腕の侍に近付いた。
「我は砕牙の主、砕藤 亮牙と申す…片腕の侍よ…そなたの名は…」
「……ッ…佐之助…俺は…朱斗賀の佐之助だ…!覚えとけ……ぐっ……!ッ!…」
痛みをこらえて問いに答える佐之助。
「…100を相手によくやる…そこまでお主を駆り立てる物は何なのだ」
「……そんな物はない…ッ…俺は俺の信じる道を剣と歩んできた……今…俺は……守る為に戦う…そうしたいと思ったからこうして体が動く……ッ…もう一度言うぞ……何度来ようと…結果は同じだ……ッ!!」
「そうか」
亮牙は手を空へ掲げる。
「佐之助か…覚えておこう…守る物と共に消えるがいい」
いくつもの大きな火の玉が遠くから佐之助目掛けて飛んできた。火の玉は周囲を赤く照らし、近付くにつれてジリジリと肌を焼く。
「大砲か…!?ぐッ!!ちくしょうッ…
俺もろとも城を消すつもりか…ッ!」
「良い余興であった…佐之助…お前のような面白き男…生涯忘れぬぞ…?ククッ…ハハハッ」
背を向け、自軍へ悠々と戻る亮牙の姿…
それが佐之助の見た最後の光景であった。
目の前は赤に染まり、体全身を大きな衝撃が襲う。
不意に感覚と意識は途絶え、開いている筈の眼に広がるのは真っ暗な闇。そして静寂が佐之助を包んでいた。
「すみませぬ…雫様…松之助…師匠……約束は守れぬようです……どうか…生き延びて…下さいッ…俺…は……もう…」
暗闇に身を委ねたその時、暖かな両手が佐之助を引き留める。
「誇り高き剣士よ…大丈夫…貴方はまだ逝く必要はありません…これは貴方の死ではない…」
女性の声が暗闇に響く…優しく、清らかな声。
佐之助は、黙ってそれに耳を傾けた。
「もし…もしも、アナタがまだ消滅を望まないというなら…私はアナタを助ける事が出来る…しかし、それは本来許されない事……きっと、数多の困難が襲うでしょう。」
暗闇に響く声に対して、佐之助はやっと口を開く。
「……俺は…まだ生きる事が…出来るのか…?」
クスッと、小さく笑う声が聞こえた。
「えぇ、アナタが望むなら…私の手を…握ってください…」
佐之助はすぐさま暖かな手を握る。
すると暗闇が光に照らされ、沈みつつあった佐之助を闇から引き上げた。目の前に勇ましくも可憐で美しいまるで女神のような女性が佐之助の手を握っているのが見えた。
「これが私に出来る罪滅ぼし…
さぁ…新たな生を…自由に生きて…」
ゆっくりと手を離し、佐之助を光の中へ押し出した。
光に包まれる最中、悲しそうに見送る女性の顔を最後に、また意識は暗闇に閉ざされていった。
「…どうか、彼に安らかなる生を…」
佐之助に祈りを捧げ、女性も光に消えた。
いかがでしたか?
侍の佐之助が異世界に行くのは2話からに
なります…
既に話は考えておりますので、その内更新するかもしれません。
つたない文章を最後まで読んでくれて
ありがとうございました。
良ければ、ご意見、ご感想を頂けると
今日のお昼ご飯になります。
お気軽にどうぞ…!お待ちしております!
それでは
片道切符ノ異世界巡リ~片腕侍旅日記~
次回をお楽しみに…