表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
2章:フルムス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/284

70:グレジハト村報告会-3

「まず初めに、今回の件の死傷者だが、軽傷者重傷者は多数だが、復帰不可能な者は居ない。また、死者はゼロに抑え込んだ。エオナが提供してくれた回復薬もあるから、復帰も早いだろう。そして、この数字にはグレジハト村の住民も含まれている。つまりは完勝と言っていい」

 さて、ルナの説明だが、今回のグレジハト村での戦いについての総合的なまとめから入るらしい。

 まあ、この場にはグレジハト村守備隊の副隊長であるヤマスラさんも居るし、戦いの細かい部分よりはまず結果がどうなったかの方が重要だから、私としても異論はない。


「凄いわね。どうやったの?」

「単純に『悪神の宣戦』から一ヶ月、前線で戦うメンバーを優先して、自動復活魔法と蘇生魔法をアインスでもいいから習得させた。勿論、可能な限り素早く冷静に使う訓練、蘇生後に後方に行って必要な手当てを受けれるようにするための計画もしてある。成果が出て何よりと言うところではあるな」

「なるほど」

 戦いでの死者は無し。

 これは単純に良いことだ。

 ただ、この手法はルナリド様を信仰するプレイヤーが多いうえに、きちんとした訓練を積ませられる『満月の巡礼者』だからこその方法だろう。

 他の神様やギルドではこうはいかないに違いない。


「素材の剥ぎ取りについてはボスクラスの物から順次行っている。焼け石に水に近いかもしれないが、例の件にも一部は回せるだろう」

「個人的には素材よりも宝珠(スフィア)の方が嬉しいですけどね。ちょっと強くなれましたし」

「そうだな、それもいいことだ」

 例の件、と言うのはルナに使ってもらう神託魔法のスキルブックを作るための素材だろう。

 使う数が膨大であるから、確かに少しでも手に入った方がいい。


「で、此処からがエオナの聞きたがっていた件、ファシナティオについてだが……」

 ルナの顔が再び億劫そうなものになる。

 そんなに話すのが嫌になるようなことがあったのだろうか?

 まあ、ファシナティオ相手なら、その気持ちも分からなくはないが、それでも今のルナの表情の理由は気になるところである。


「まず、ファシナティオの名前は村を襲ってきた元プレイヤーの一部が叫んでいた」

「『ファシナティオ様の為に!』『ファシナティオ様の敵を!』とか、言っていましたね」

「ふうん」

 だから、その表情の理由を知るためにも話は聞かないといけない。


「ヤルダバオトの為に、じゃないのね」

「違うみたいですね。プレイヤー、村人、両方が複数人から同じような言葉を聞いているので、聞き間違いの可能性も低いでしょう」

 どうやら、敵はヤルダバオトの為にではなく、ファシナティオの為に動いているらしい。

 そうなると、ヤルダバオト神官と言う方面よりは、ファシナティオの個人的な軍隊と言う方面の方が強いのかもしれない。


「面白い報告も上がってきている。状態異常回復の魔法を敵に誤射したところ、誤射された敵は突然その場で呆け出した上に、周りに居た他の敵から敵と誤認されたのか、殺されたそうだ」

「……。魅了ね。それも効果範囲と持続性に優れたタイプの」

「そう言う事だな」

 そして、ファシナティオに対する忠誠心の殆どは、ファシナティオの魅了能力に起因するもの。

 だから、魅了が解けると、複製体であっても周りからは敵として認識されてしまう、と。

 んー、もしかしなくても、元プレイヤーの複製体たちの判断能力や能力の低さはミナモツキによる複製だけが原因ではなく、強力な魅了を継続的に使われ続けている事による悪影響もあるのかもしれない。


「ただ、戦闘中にこちらのプレイヤーや村人に魅了がかかったという報告は無いから、一度かけたら効果は強い。だが、かけるにはある程度、敵に接近する必要があるか、時間がかかる。と言うところだろうな」

「しかも強いと言っても、成功率の面では精神系状態異常耐性を固めたレベル50未満のプレイヤーにかけられない魅了よね」

「そうなるな。だから、敵に拘束されたりしない限りは、魅了される危険性は無いとみていい。自然回復しない点だけは厄介と言えるがな」

 まあ、効果範囲と持続性に優れているのは、権力者に取り入るのには好都合だろう。

 成功率と射程の短さのせいで一般的な戦闘で使うのは厳しそうだが。


「で、あー……」

 再びルナの表情が億劫そうなものになる。

 どうやら、この先がルナの表情の原因となっている話であるらしい。


「エオナ、一つ質問だが、奴らは何故このタイミングでグレジハト村を攻めたと思う?大将の一人であろうファシナティオが大軍を引き連れてだ」

「何故って……」

 ファシナティオがこのタイミングで攻めてきた理由?


「普通に考えるのなら、グレジハト村を含めたフルムス周辺の村々を守る戦力を測り終わった。相手の戦力を真正面から一回で叩き潰せるだけの軍が用意できた。だから、まずはグレジハト村に襲い掛かってきた、と言うところじゃないの?」

「うん、そうだな。それから?」

「後は……そうね。今後も見据えて、こちらの戦力削り。グレジハト村は村人もそれなりの戦力になる村だし、プレイヤーも大きな戦力。超広域バフデバフの使い手であるゲッコーレイが居るってのもあるかしら。殺せればよし、捕縛できればなおよしと言う感じね」

「流石はエオナだな。で、更にどうする?」

「でまあ、グレジハト村を潰せれば、そのままの勢いで本隊と切り離されることになるグレジファム村から順にぐるりと各個撃破で飲み込んでいって……最後に『満月の巡礼者』の本隊をフルムスに残してある戦力と共に潰す。一度相手を上回るのに必要な戦力の確保が出来たら後はもう単純よね。リソース無限なんだし、戦力の継続投入で終わりだわ」

「まったくだ。そして、それならそれでこちらでも打つ手があったと言うか、対策の立てようもあった。相当厳しい戦いになる事は否定出来ないし、エオナが来なければ最終的には詰むしかない、絶望的な話だ」

 私が答え切ると、どうしてかルナもメイグイもヤマスラさんも疲れた表情になる。

 本当に一体どうしたと言うのだろうか?

 いや、まさかとは思うが……


「だが事実は違う。今回の襲撃は……ファシナティオの癇癪だ」

「はああぁぁ?」

 個人的な感情だけでファシナティオはグレジハト村に襲い掛かったらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ