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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
2章:フルムス

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56:羊食いの森-5

「エオナ絶殺陣……ゲームの頃よりも明らかに威力が上がってるな……」

「アオ……ガギッ……」

 ビッケンの言う通り、『Full Faith ONLine』で同じような事をやった時よりも、今の一撃の方が明らかに威力が上がっている。

 不完全リポップによって各種ステータスが低下しているアタシプロウ・ドンでは耐えられないほどに。

 だが、この威力は当然のことと言える。

 『フィーデイ』では隠蔽スイッチを切るだけでも火力は上がるし、私の信仰値は『Full Faith ONLine』での限界値を超えた数字になっている。

 その上で『スィルローゼ・サンダ・ソン・コントロ・フュンフ』によって、茨の領域の形を限りなく正円に近づけ、同時に放たれた炎が効率よくアタシプロウ・ドンを襲うように領域の形を調整してあるのだから。

 で、私の攻撃についてはそれでいいのだが……


「なによ、エオナ絶殺陣とか言うクソダサいネーミングは」

「ゲーム時代、お前の魔法の種が分からなかった頃にSNSで使われてた名前だ。語呂が良かったのか、今でも結構使われてるぞ」

「ガアッ……」

 今のビッケンの言葉は聞き逃せなかった。

 どうせアタシプロウ・ドンは今一回死んだところだし、問い詰めておくとしよう。


「なによそれ。強化を重ねた領域魔法を代償にして強力な一撃を放つなんて、最初期から超高火力攻撃手段としてあった方法じゃない。なんで私だけ……」

「そりゃあ、お前あれだろ……」

「アオォ……ギギャア!?」

 そう言うとビッケンはアタシプロウ・ドンの方を指差す。

 すると、ちょうどアタシプロウ・ドンが少し痩せた姿でリポップしようとして……まだ残っている私の炎によって焼き殺されたところだった。


「元が肥料生産用の焼き畑魔法のせいなのか、効果時間が異様に長く、自動復活魔法にある待機時間ギリギリまで待っても火が続いている。なのに火力はまるで衰えない。よって、直撃したらどう足掻いても死ぬ。そう言う性能になっているからだろ」

「失礼ねぇ……ちゃんと防御魔法を張れば防げるわよ……ゲーム時代なら」

「まあ、きちんとやれば防げるのは知ってる。それでも、堅牢な城を攻略したと思ったら、城ごと焼き討ちにされるって言う、一般プレイヤーからしてみれば絶望しかない戦術なんだ。これくらいは許してやってくれ」

「はぁ、まあいいわ。最初に言い出したプレイヤーを見つけても、この件については問い詰めないでおくわ」

「ガ、ギ……アギーーーーーー!?」

 で、私たちが会話をしている間に更にもう一度焼殺。

 先程よりも焼け死ぬまでの時間が短いのは、不完全リポップのペナルティが重なっているためだろう。


「それでこんなに徹底して焼いている理由はなんだ?生きていないと封印は出来ないんだろ?」

「ええ、生きていないと駄目よ。けれど、アタシプロウ・ドンのゼロ距離加速能力を考えると、足腰が立たない程度には弱らせておかないと、上手く封印できそうにないのよ」

「なるほどな」

 なお、本来ならば何度もリポップさせるこの戦術は危険極まりない。

 と言うのも、リポップの際には心身を再構築するために様々な仕込みをしやすく、今の状況に合わせた能力を得られてしまう可能性が高いからだ。

 だが、今回に限ってはその心配はいらない。

 なにせ、アタシプロウ・ドンは先程新たな能力を得たばかりであるし、全体的に短絡的な行動を繰り返している点から見て、新たな能力を得るための力をストックしているとは考えられないからだ。


「さて、そんなわけだから、そろそろ封印に移るわ。いい感じにダイエット出来てきているみたいだしね」

「ダイエットと言うより、脂肪燃焼(物理)だよな。これ」

「モウ……許シ……テ……」

「じゃ、周囲の警戒はお願いね。『スィルローゼ・プラト・ワン・バイン=ベノム=スィル・ツェーン』」

「ツッコミなしか。まあ、警戒は任せておけ」

「悪イ事……シナイ……カラ……」

 さて、炎の中のアタシプロウ・ドンは何度もリポップを繰り返したためか、骨と皮だけと言っていいような姿になっており、リポップの際に四本の足で立つことも出来なくなっているようだ。

 なので、私は周囲に生成された肥料を利用して効果が増強された『スィルローゼ・プラト・ワン・バイン=ベノム=スィル・ツェーン』によってアタシプロウ・ドンを縛り上げる。

 なお、許しを請う声を聞くつもりはない。

 モンスター相手に情け容赦は無用だからだ。


「茨と封印の神スィルローゼ様。貴方様が代行者であるエオナが求めます」

 私は詠唱を始める。

 それだけでアタシプロウ・ドンの瞳に恐怖の色が浮かぶ。


「悪と叛乱の神ヤルダバオトが眷属、アタシプロウ・ドン。彼のものを金剛の茨を以って蒼き薔薇の園へと導く力を。無間に極彩色の薔薇が包み込む牢獄へと繋ぎ止める力を。彼のものを糧にすると共に、永久の安寧と封印を齎す力を我に与え下さいませ」

「助ケテ……!助ケテ……!!」

 青い光が茨に変化し、アタシプロウ・ドンを包み込んでいく。


「『スィルローゼ・ロズ・コセプト・スィル=スィル=スィル・アウサ=スタンダド』」

「モウ痛イノハ、ヤダアアアアアァァァァァ!!」

 そして詠唱完了と同時にアタシプロウ・ドンの絶叫と虹色の光が周囲に溢れ、アタシプロウ・ドンの姿は消え去った。

ある意味で蔑称だからこそのエオナ絶殺陣と言うクソダサネーミングです。

なお、ゲームの頃より数段凶悪になっている模様(信仰値とバフの関係)

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 旅が終わる頃にはモンスター達が人類恐怖症かエオナ恐怖症になってそう。
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