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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
2章:フルムス

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45:グレジファム村にて-2

「お前……は……」

 私が着地した場所は防衛のための足場も兼ねていたのだろう、案外広さがあった。

 私の周囲には門で会ったプレイヤー含めて、数人のプレイヤーが集まっていたようだった。

 そして、その中には私が見知ったギルドのエンブレムを付けたプレイヤーも居た。

 だがしかし、今、彼らに時間を割く理由は私にはない。


「敵を捕らえました。尋問するので、来たければどうぞ」

「あ、おい待て!エオナっ!」

 だから私は短くそう告げると、再度跳躍。

 グレジファム村の外に出る。

 そして、重力軽減魔法の効果がまだ残っているので、重力の影響が少なくて済むようにすり足に近い走り方で移動。

 捕らえている敵の方へと向かう。


「さて……とりあえず『スィルローゼ・プラト・ワン・バイン・ツェーン』、続けて『サクルメンテ・ボイド・ワン=バフ・エクステ・フュンフ』」

 茨の森に辿り着いた私はまだ気を失っている三人のヤルダバオト神官に向けて『スィルローゼ・プラト・ワン・バイン・ツェーン』を発動、地面から生えた茨によって拘束。

 そこへ『サクルメンテ・ボイド・ワン=バフ・エクステ・フュンフ』を重ねて効果時間を延長。

 自然に解除される事がないようにする。


「起こす前にこれも使っておくべきかしらね。『スィルローゼ・サンダ・ミ・シン=チャム・ゼクス』」

 で、目を覚ました後の尋問が簡単に済むようにするための魔法も発動。

 スペアアンローザも回収。

 これで準備完了である。


「『スィルローゼ・プラト・ワン・ヒル・アインス』、『サクルメンテ・ウォタ・ミ=ハド・ドリンク・フュンフ』」

「ごばっ!?」

 私はとりあえず最低限の回復を行った上で水をかけて、一人目のヤルダバオト神官の男性を起こす。


「ごほっ、げほっ、何が……ひっ!?」

「さて、少し質問をいいかしら?」

 勿論、『スィルローゼ・ウド・エクイプ・エンチャ・ツェーン』をかけた槍の刃先を相手の顔の真正面に置いた上で、出来る限り柔和な笑みを浮かべてである。


「な、何も喋らねえぞ!俺たちはグレジファム村を襲うように言われ……たっ?」

「あ、そう」

 一人目はハズレであったらしい。

 なので私は槍を振るって、男の首から上を消滅させる。

 すると、男の首から下は水に変化して、そのまま地面に染み込んでいってしまう。


「で、貴方たちはどうなのかしら?」

「こ、殺すなら殺しやがれ!どうせ俺たちは生き返るんだ!お前たちと違ってなぁ!!」

「ああそうだ!ヤルダバオト様に仕える我らに死は無い!何度だって蘇れるのだ!」

「ふうん……」

 残りの二人も心の底から怯えつつも、絶対にこちらにとって必要な情報は話してなるものかと言う態度を見せている。

 魅了の状態異常も入っていないようだし、先程の死体の状況も合わせて考えると……そう言う事だろうか?


「そう言う事を言うなら拷問をして無理やり吐かせても良さそうだけど……」

「ひっ……」

「や、やれるものなら、やってみやがれってんだ……」

「ま、やっても無駄ね。貴方たちは月じゃなくて水面の方みたいだし」

「「は?」」

 私の言葉に二人の男はあからさまに理解できないと言う顔をする。

 だが、その反応で私には十分だった。


「やってきた方向と信仰からして貴方たちはフルムスに居る元プレイヤー」

「だ、だったらなんだ……」

「そうだ、そんな事は……」

「『Full Faith ONLine』ではフルムスにミナモツキと言うクエスト専用のモンスターが居た」

「「!?」」

 私がミナモツキと言う名前を出した瞬間、二人の男の顔にあからさまな動揺が走り……それと同時に顔の輪郭に揺れが生じる。


「アレの能力は夜空の月を水面に映すかのように、対象となった者の複製を生み出すこと。つまり、貴方たちは元プレイヤー当人ではなく複製ね」

「そ、そんな事は……がっ!?」

「なっ!?」

「ちなみに、複製体の特徴の一つは死ぬと水になって跡形もなく消え去ること。こんな感じにね」

 私は男の片方を槍で突き刺し、殺す。

 すると血も含めて全てが水になって、男の体は崩れ落ちる。


「貴方たちの反応から察するに自分が“次が無い”、“幾らでも代わりが居る”、そんな複製体と言う事も知らされずに、“本体の奴隷”として“都合のいいように”踊らされているのね。可哀想に」

「違っ……俺は……本物……」

「本当に?指の一本でも切り落として見せましょうか?それでもしも切り落とされた指が水になったら……」

「違うちがうチガウ、チガチガチガアアアアアァァァァァァ!?」

 三人目の男の体が激しくブレ始め、限界を超えたところで水になって崩れ落ちる。

 どうやら、精神崩壊を起こすと、肉体を保てなくなってしまうらしい。


「それにしても軟弱ねえ……」

 それと、今の反応からして彼らの本体が持つヤルダバオトに対する信仰は微妙な物であるらしい。

 もしも本体がしっかりとしたヤルダバオト信仰を持っているのであれば、自分が複製品である程度でブレる様な事は無いだろうから。


「ま、とりあえず剥ぎ取りと埋葬を済ませましょうか」

 私は仕留めたモンスターたちから素材を剥ぎ取ると、魔法によって土葬する。

 そして、やるべき事を終えると、私はグレジファム村へと戻っていった。

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