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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
4章:クレセート

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249:かける他なし-1

「3時間、と言うところかしらね」

 ラビネスト村までは馬で一日。

 だが、今のスリサズの脚で遭遇したモンスターと地形を一切無視するならば、3時間もあれば到達できるだろう。

 代わりにスリサズをラス・イコメクとの戦いに参加させることは出来なくなるだろうが。


『……。エオナ、私は……』

「スヴェダはクレセートでルナたちの援護をお願い。そうすれば結果的には私の救援に繋がるわ」

『分かった』

「ただ、こっちが緊急事態に陥ったら、今の召喚を強制解除して引き戻し、こっちの戦いに参戦してもらう事になる。だから常に余力は残しておきなさい」

『……。やってみる』

 スヴェダにはクレセートで全身真っ白のガリガリ鬼またはキモ白饅頭の討伐を手伝ってもらう。

 今のスヴェダならば援護に徹すれば、かなりいい働きをしてくれるだろう。


「ゴトス。視界をリンクさせるわ。呪いの核を見せて」

『分かった』

 私はゴトスと視界をリンクさせ、魔鬼王ラス・イコメクの封印を解除する為の呪いについての解析を始める。


『どうだ?』

「ラビネスト村、クレセート、それにクレセート周辺地域一帯で発生している恨みつらみに死や滅びのエネルギーを集めて蓄え、一定量以上溜まったら爆発させて封印を破壊する。と言う感じかしらね」

『で、既に最低限必要な量のエネルギーは溜まっているという感じか』

「そうなるわ。おまけに解除している時間も無いわね」

 解析にかかった時間はおおよそ一時間。

 おおよその結果は変わらない。

 だが、G35との戦闘前に少し見た時よりは詳しく分かった。

 分かった結果として、魔鬼王ラス・イコメクの復活を止めることは既に不可能な状態にあると判断する。

 何せ呪いの構造が桁違いに複雑で、私の力に諸々の協力を得ても、安全に解除するには上手くいっても数日かかるのが目に見えているからだ。

 そしてワザと起爆させても、不完全なラス・イコメクがこちらに出てくる程度の力は既に溜まっているようだった。


「ルナの体面なんて気にせず、もっと早くに手を打ち始めるべきだったかしら。ルナリド様だってクレセートがきな臭いと言っていたわけだし」

『その場合、E12とE13とやらがフルムスで大暴れした挙句に、こっちも敵が幾つかの手順を早めて結果は変わらず、なんてオチになる気がするけどな。いや、カミア・ルナたちが居ない分だけこっちの対応も遅れて、ラス・イコメクの完全復活まであるか?』

「……。普通にあり得るわね」

『なら、イフを考えずに、今に専念するべきだな。らしくもない』

 私が思わず漏らしてしまった愚痴にゴトスが今以上に悪い状況を提示する。

 そして、ゴトスの提示した状況は……普通にあり得そうだった。

 と言うか、ほぼ確実にそうなるだろう。

 ルナリド様がきな臭いと言った時点でG35の仕込みの半分くらいは終わっていただろうし。


「らしくない……まあ、相手が私の従姉妹で、私が無意識に苦手とするものをよく理解している。と言う事なんでしょうね」

『なるほどな。対処にどうしても人数が必要な状況なんかは確かに苦手そうだ』

 まあ、ゴトスの言うとおり、今はもうやるべき事をやるしかないだろう。

 過去を覆すことは私には出来ないのだから。


「ゴトス。軽口を言うだけの元気はあるようだし、私がそっちに着くまでにやっておいてほしい事をやって貰えるかしら」

『内容によるな』

 ゴトスの口調が一気に真剣みを帯び始める。


「ラビネスト村周辺のスケルトン。始末は出来る?」

『特殊能力にもよるが、相手が一体なら恐らくは。だがいいのか?アレを倒したら、確実に封印解除までの時間が縮まるぞ』

「封印解除までの時間については誤差の範囲よ。どのみち私がそっちに着いたら、場を整えるためにも始末する相手だし」

『分かった。ならやれるだけやってみる。集中するから声が漏れても会話は出来ないと考えてくれ』

「分かったわ」

 ゴトスが金毛の羊に跨って、単独行動をしているスケルトンを探し始める。

 改造されているとは推奨レベル70台のモンスター。

 金毛の羊の支援を受けたゴトスならば対処は可能だろう。


「後、到着するまでにやっておくことは……」

 私は『エオナガルド』の全域に総員戦闘令を出す。

 これによって戦える者は戦うための準備を始め、直接戦えない者であっても戦うために必要な物資の整備を始める。

 また、面会区で特別な空間の設営を開始する。

 なにせ、魔鬼王ラス・イコメクはその能力上『フィーデイ』で戦ってはいけない相手である。

 となれば『エオナガルド』に引き摺り込んで戦うのは決定事項。

 だが、『エオナガルド』で戦うにしても、被害を抑え、戦闘を停滞させるならば、それ専用の空間を用意しておくのが必要最低限の準備だ。


「ん?」

 そうして準備をしていく中で私は気づく。

 ワンオバトーのターゲッティング能力をG35に対して発動したままである事に。


「……」

 私は少しだけ悩む。


「そのままにしておくべきね」

 悩んで、エオナ=フェイス経由でルナリド様にG35について質問し、確実に滅んだと断言できるまで能力を維持し続けることにした。

 なんと言うか……非常に嫌な予感がしたのだ。

 場合によってはあの時倒したのは偽物あるいは分体のG35であり、本物または本体は何処かで悠々としているのではないかと言う嫌な予感が。


「バウ?」

「走り続けなさい。今回の貴方の役目は少しでも早く到着させる事だけよ」

 だから私は能力を維持したまま、スリサズを走らせ続けた。

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