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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
3章:エオナガルド

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144:新たな武器の為に-2

「で、話は薔薇水晶の件だけじゃないのよね」

「そりゃあね。素材の特性が見えてきたからこそ、測っておきたい部分や知っておきたい部分もあるから。と言う訳で、まずは身体測定からだね」

 ウルツァイトさんはそう言うと、道具箱の中からメジャーのようなものを取り出す。

 また、新たな書類として、私の身体データを書き記すための紙も出す。


「んー、この体のデータって要るのかしら……」

「必要だよ。アンタの側で体の部位ごとのサイズを調整するなんて真似も出来るんだろうけど、それはアタシたち職人にとっては、体に合わない道具になっていると言外に言われているようなもの。正直、気持ちのいい物じゃない。だから、基本形であろう今の体のサイズだけでも把握はさせておいてくれ」

「分かったわ」

 私としては多少の齟齬くらいはどうとでもなると言うスタンスなのだが、それはウルツァイトさんにとっては受け入れがたいものであるらしい。

 ならば、私はウルツァイトさんの言い分に素直に従うとしよう。


「えーと、身長は170cm、髪の毛は背中の中ほど……」

「エオナ様ってこうして見ると、イメージ程大きくないですよね」

「そう?」

「そうですよ。私のイメージとしては180ぐらいはありましたし」

 と言う訳で、私はウルツァイトさんとメイグイに体の各部位のデータを取ってもらう。


「えーと、服を脱いでもらって……早いね」

「脱ぐと言うよりは消すだもの。アイテム欄に収納するだけだし。代行者の衣装に至っては意志一つで出し入れできるわよ」

「防具屋と言うか服飾専門のプレイヤー泣かせだねぇ……」

「でも便利そうですね」

 身長、体重、腕の太さに股下の長さ。

 服を着たままでは測れない部位もあるので、服は脱いでいるが……別にこの場には同性しかいないので問題は無いだろう。


「胸囲が随分とあるんだね。アタシたちの体が元はゲームのアバターで作りものとは言え、このサイズは……」

「これでも小さくした方よ。これ以上小さくすると現実との差異が大きくなりすぎると言われて、止められちゃっただけだし」

「……」

「大きすぎるのも困りものですよね。動き回る時にちゃんと固定しておかないと邪魔ですし」

「そうね。サイズが合う下着や服とかも見つけづらいし、困りものだわ」

「……。アタシは何も聞かなかったことにしておくよ」

 胸については……どうやらメイグイは私と似たような状況にあったらしい。

 うんうんと頷いている。


「まあ、とりあえずこれで一通りのデータは取れたね。もう、服を着ていいよ」

「分かったわ」

 私はウルツァイトさんの指示に従って、元の服装に戻る。


「そう言えばエオナ様。代行者の衣装については意志一つで出し入れできると言っていましたけど、その衣装の装飾とか飾りつけとかの調整って出来るんですか?例えば薔薇の花の量を少なくするとか」

「んー、どうかしらね。折角だから試してみましょうか」

 ウルツァイトさんは私のデータを一通り眺めると、それを別の紙に写し始める。

 どうやら、同じデータを複数の紙で残しておくようだが……たぶん、拳甲辺りが構造上、ウルツァイトさん以外も関わるとかで、写しておく必要があるだろ。

 なので、私はその間にメイグイに言われた事が出来るかを試してみる。


「こんな感じね」

 スィルローゼ様の代行者の衣装は、貴族が身に着ける様なドレスに近い服装に、薔薇の意匠が施された物になる。

 髪飾りや装飾品の類も同様だ。

 今回はそれが出来る限り地味になるように調整。

 ドレスは中世ヨーロッパの一般女性が日常生活で身に着ける様な質素で簡単な物に、髪飾りや装飾品も手作り感がある物へ、色合いも鮮やかではなく全体的にくすんだ感じにしてみる。


「あ、駄目ですね。エオナ様だと元が煌びやかすぎて、かえって目立ってます」

「そんなに駄目?」

「駄目ですね。お前のような一般人が居るかと言う感じです」

「うーん、それは致命的ね」

 が、どうにも上手くいっていないらしい。

 メイグイは私の事を高く評価しているから、多少の贔屓目もあるかもしれないが……、ウルツァイトさんの方に視線を向けてみたところ、こちらを一瞥した後に軽く手を横に振って、誤魔化せていないと示しているので、本当に駄目なようだ。


「いっそのこと、ケバケバしい方向性でいってみた方がいいかしらね」

 と言う訳で、再度調整。

 今度はフルムス潜入時に用いた、メンシオス命名、皆封じの魔荊王ロザレスをモチーフにした衣装にする。

 具体的に言えば全体的に刺々しい茨が巻き付き、ヤルダバオト神官っぽい感じを演出。

 ドレスはボンテージ風の物に、髪飾りはベールを付けて顔を見えないようにすると共に軍帽のような雰囲気を出す。

 他の装飾品も高級感が漂うように変更。

 色合いも派手にして、傲慢な女王様と言った趣を出す。

 ただ、決して下品にはしない、それはファシナティオの領分だからだ。


「どうかしら?」

「べ、別の意味で駄目そうな予感が……」

「その格好で大通りを歩いたら、確実に通報されるね」

「うんまあ、そうよね。私もそう思うわ」

 が、私だとは分からなくても、悪い意味で目立ってしまうらしい。

 と言う訳で、これも没である。

 うん、薔薇水晶の件と合わせて、こちらも地道に『エオナガルド』で研究しておこう。

 衣装の瞬間変更は、出来て困る物ではないし。


「じゃ、そろそろ次に行っていいかい?」

「ええ、構わないわ。次は何?」

「武器を一通り扱ってみてほしい。どういう癖があるのかや、どの程度扱えるかは、オーダーメイドの武器づくりにおいては重要だからね」

「分かったわ」」

 そして、どうやら次の確認事項が始まるようだった。

 なので、私はウルツァイトさんに案内されるまま、建物の外に出た。

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