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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
3章:エオナガルド

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139:エオナの検証-4

「ふうん、中々興味深い結果になったわね」

「ええ、とても有意義な検証結果だと思うわ」

「そうですね。ターゲッティング能力への対処法として重要だと思います」

 私、サロメ、メイグイの三人は夕暮れまでターゲッティングについての検証を続けていた。

 そして、検証の結果として幾つか分かった事がある。


「まず確かなのは、物理的な実態を有する壁魔法なら、ターゲッティングの対象が誰に向いていても、壁そのものとしての利用は可能。これは一対一の戦いであっても干渉出来る数少ない手段として、非常に有用だわ」

 一つは壁や地形を生成する魔法との干渉。

 生成されたのが炎や水と言った、物理的実体を持たない、または柔らかい物である場合には、能力の対象者が作り出したものでなければ、ただすり抜けるだけだけとなる。

 だが、生成されたのが茨のようにしっかりとした実体を有する物である場合には、能力の対象者以外が作り出したものであっても、行動を阻む事が出来る。


「そうね。ダメージこそ与えられなくても、周囲が大量の壁なり網なりを生み出して、撒き散らせば、ターゲッティングの対象にされたのが非戦闘員であっても守れる。これは知っているのと知らないのとでは大きく違うわ」

 ただし、茨の壁に付随する接触者へのダメージと言った攻撃的な要素については、しっかりと無効化される。

 何処までがセーフで、何処からがアウトなのかはあいまいではっきりとしないが……少なくとも、完全な一対一の戦いには出来ないと言う事が分かっただけでも十分だろう。

 なお、ターゲッティングの能力保有者が作った壁も、行動や視界の阻害程度の影響だけならば、能力の対象外へ干渉する事が出来るので、これはこれで別に使えるかもしれない話である。


「想定外なのは、完全に束縛しちゃうと攻撃認識されるのか、すり抜けが出来ちゃうことですかね」

「ええ、アレにはビックリさせられたわ」

「……。たぶん、ハメ殺し防止なんでしょうね。それが出来ると、色々と拙いから」

 また、例外として、ターゲッティングの対象になっていない人物が生み出した壁で、ターゲッティング能力者や対象者の四方を完全に囲うと、ただの壁生成であっても攻撃として見做される事がある。

 具体例を出すと……私がサロメをターゲッティングしている時に、メイグイの四方を私が生み出した茨の壁で囲う。

 この状態でメイグイが私の生み出した茨の壁に触れると、何故か物理的な実体が無くなっていて、すり抜けられてしまうのである。


「ターゲッティング能力を利用した拘束は禁止。と言う事かしら」

「ええ、すごくゲーム的な仕様だけど……ま、対処する方としてはありがたいわね」

 ちなみに、壁を生み出す人間と囲われる人間の部分をそっくり入れ替えても、同様の事例が起きるし、抱きしめや体から生み出した茨での拘束と言った、魔法を伴わない拘束方法でもこのバグと言うか、ハメ防止の仕様のような物は発生する。

 此処まできちんとした仕様だと、『Full Faith ONLine』の時代から合ったのか、それとも『フィーデイ』になってから設定されたのか、多少気になってくるぐらいである。

 余談だが、『Full Faith ONLine』は元から異様にバグが少なく、見つかっても24時間以内に修正される確率が100%と言う化け物染みたレベルで安定していて、他のVRゲームのプレイヤーと運営からは畏怖の念で見られていたたはずである。

 まあ、今となってはスィルローゼ様がその力を認めるレベルのプログラマーであるプログラームと言う名前の神様が関わっていると分かったので、納得し、平伏する他無いのだが。


「後は……閾値が存在する可能性が見えた事ね」

「そうね。とは言え、そっちは突きたくても突けない穴だけど」

 ターゲッティング能力についてはもう一つ分かった事がある。

 それは、能力の対象者以外から能力の対象者へ、またはその逆への干渉を防げる量には限界があると言う事だ。


「えーと、エオナ様が茨の領域を広げた上で同化。その状態のエオナ様にサロメさんが本気の魔法攻撃を仕掛けて、ほんの僅かに熱を感じるレベル。でしたっけ」

「ええそうよ」

 流れとしては、私はメイグイにターゲッティング、その上で巨大なドームのように茨の領域を展開、魔法によって同化して、自分の一部にした。

 これで本来ならば、先に挙げたような全方位を覆う拘束のような行動を取らない限りは、メイグイ以外が放った攻撃は一切通らない絶対の壁の出来上がりである。

 しかし、サロメがそこに火属性の大規模攻撃魔法を放ったところ、私はほんの僅かにではあるが、本来ならば感じるはずのない、体が焼ける様な熱を感じたのである。

 此処から考えて、ターゲッティング能力には限界があると考えたわけである。


「でも、ターゲッティング能力による防御を抜けてきたのは確かよ。判定が一発ごとなのか、時間ごとなのかは分からないけど」

「だとしても、ターゲッティング能力持ちなんて、どんなに大きくても人の数倍程度。大規模攻撃魔法を使うような超大型には居ないわ」

「それはまあ、そうだけど」

 つまり、閾値は果てしなく遠い可能性はあるが……無理やりターゲッティング能力による防御を抜く方法が無いわけでもないと言う事だ。


「ぶっちゃけ、こっちの話はエオナ様が盾として動くときにだけ関わってきそうな話ですよね」

「そうね。私もそう思うわ。エオナの防御特性を考えると、金属性攻撃でも抜けるか怪しいけど」

 なお、ターゲッティング能力による防御を抜けるかどうかは、能力の使用者の防御能力全般を利用して判定していると思われる。

 現にファシナティオとの戦いではファシナティオが魅了効果のある声を撒き散らしていたが、精神系の状態異常に対して極めて高い耐性を持つ私にはまったく影響がなかったし、ターゲッティング能力の発動後は一般住民であっても全く影響を受けていない。

 このことから見ても、能力の行使者の耐性の影響を受けているとみていいだろう。


「でもまあ、有意義な検証だったのは確か。この話は出来るだけ早く、プレイヤー全体で広めておいた方がいいわ」

「そうね。それには同意。それじゃあ……」

「はい、時間もいい頃合いですし、帰りましょう」

 そうして、一先ず今日調べられることを調べた私たちはそれぞれの乗騎に跨ると、フルムスに向けて移動を始めた。

08/04誤字訂正

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