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信仰値カンストの神官、我が道を行く  作者: 栗木下
3章:エオナガルド

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136/284

136:エオナの検証-1

「さて、まずは適当にモンスターを探さないといけないわね」

「ですね」

「……」

 そう、私たちはフルムスの外に出た。

 茨で形作った狼にスリサズの意識を乗せて、それに跨る私ことエオナ。

 愛馬であるコウシンに跨り、油断なく周囲を警戒しているメイグイ。

 そして、燃える様な赤の(たてがみ)に黒い毛と言う特徴的な容姿の馬に跨る黒焔(ダークブレイズ)少女(ウィッチガール)アビスサロメことサロメ。

 と言う組み合わせで。


「とは言え、街の周囲には警備部隊とリハビリ組の狩場だし……三人とも馬持ちだってことも考えると、街から多少は離れた方がいいわよね」

「そうですね。検証で何が起きるかもわかりませんし、そう言う意味でも街から離れた方がいいとは思います」

「……」

 サロメの機嫌は……はっきり言ってよくない。

 ルナが今現在手が空いていて、しかも戦力的な意味合いで私の足手まといにならないメンバーと言う事で付けてくれたのだが……やはり私はサロメに嫌われているらしい。

 サロメの顔には、嫌々付いて来ています、そう、はっきり書いてある。


「エオナ、分かってはいるでしょうけど、アンタが馬鹿な真似をし始めたと判断した時点で私はギルマスに向けて緊急事態が起きたと言う信号弾を打ち上げさせてもらうから」

「分かってるわよ。と言うか、そんなに心配しなくても、今日はボスの類に喧嘩を売る予定とか無いから」

「どうだか……」

「信用されてないわねぇ」

 ただ、嫌いな相手であっても命令とあれば一緒に行動を出来る辺り、サロメの人となりがよく出ている気がする。

 嫌いな感情を隠せない辺りからは子供っぽさも感じるが……まあ、そこはサロメが元々未成年と言うか、恐らくは私より三つ以上下の年齢、高校生ぐらいの年齢だからだろう。

 それを考えたら、これくらいは許容範囲内だろう。


「さて、この辺りならいいかしらね」

 そうして微妙な空気のまま移動することおおよそ一時間。

 私たちはフルムス近郊の少し窪んだ土地にやってくる。

 『Full Faith ONLine』の頃から採取ポイントと少々の敵が居るだけで、それは今も変わらず、此処では幾つかの鉱物と草花、それに数体のモンスターがポップしているだけの場所であるが……今はそれがとても都合が良かった。


「はい、ご苦労様。スリサズ」

「バウッ」

「ここねぇ……」

「『ホスファシラ・ディム・ノライド=ホス=オンリ・インビンジブル・フュンフ』」

 私はまずスリサズを『エオナガルド』に戻し、茨の馬を消す。

 メイグイとサロメも馬を降り、ホスファスラ神官であるメイグイが二頭の馬に何かしらの魔法をかけて、安全を確保する。


「で、検証と言っていたけど、何をするのよ」

「そうね……」

 サロメが私の隣にやってきて、訝しむ目を向けてくる。

 私はそんなサロメを横目で捉えつつ、窪地で動き回るモンスターの一体に目を付ける。

 それはフルムスセージと言う名前の、無数の黄色い花を付けた、高さ1メートル半ほどの植物系モンスターであり、推奨レベルは20前後。

 危険な攻撃はこれと言って持たず、強いて厄介な攻撃と言えば、花の香りを撒き散らす事で自身や他のモンスターのHPを回復してくることくらいか。

 が、倒すと回復薬の素材になるアイテムを落とすと言う事で、新人からある程度慣れたプレイヤーまで幅広く狩りの対象にするモンスターである。


「とりあえずは……」

 そんなフルムスセージに向けて私は一直線に駆け出し……


「エオナ様!?」

「エオナ!?」

 武器も持たず、拳甲も身に着けずに腕を振りかぶり……


「殴る!」

 フルムスセージの頭に当たる部分である、何十と言う花がついた部分を殴る。

 勿論、ヤルダバオトの加護によって信仰を伴わない攻撃はモンスターには通用しない。

 だから、私とフルムスセージの間にあるレベルとステータスの差がどれほど圧倒的であろうとも、今の私の攻撃がフルムスセージに通じることは無い。

 それが本来である。


「ーーーーー!?」

「なっ……」

「嘘でしょ……」

 だが、私の拳に触れた瞬間。

 フルムスセージの上半分が消し飛び、フルムスセージの体はその場に倒れ込んだ。

 即死である。


「あー、うー、えいっ!エオナ!一応確認だけど、魔法無しダメージのパッシブは取ってないわよね!?」

「ええ、取ってないわ。事前に発動しておいた魔法を延長し続けていたと言う事もないわ」

 サロメが少し悩んだ後に、大きな声を出して、質問を投げかけてくる。

 なので私もそれに対して素直に答える。

 確かに『Full Faith ONLine』には全ての攻撃に常に微量の魔法を込めることによって、付与魔法を使っていなくても相手に僅かではあるがダメージを与えられるようになると言うパッシブスキルはあった。

 が、それはスィルローゼ様、ルナリド様、サクルメンテ様では取得不可能な魔法であり、当然私は修めていない。


「じゃあどうして攻撃が効いたのよ?これ、かなりの問題なんだけど」

「そうね……それに答える前に、もう一つ確認しておきたいことがあるのよね」

 私は次のフルムスセージに目を向ける。

 そのフルムスセージは抜き足差し足忍び足と言う感じで、私たちに気付かれないようにゆっくりとこの場から逃げ出そうとしているが……うん、バレバレである。


「茨と封印の神スィルローゼ様。我が祈りを貴方様に」

 私は胸の前に両手を持っていき、握り拳を作った右手を左手で覆う。

 その状態でスィルローゼ様への祈りを捧げ、私自身の魔力を右手に集める。


「せいっ!」

「ーーーーー!?」

 そうして祈りを捧げ終えると私はフルムスセージに向けて走り出し、跳躍し、青い光を僅かながらに纏った拳を振り下ろす。


「「「!?」」」

 ただそれだけ。

 ただそれだけで……


「あー、結構な威力が出るわね……」

 攻撃が直撃したフルムスセージは跡形もなく消滅し、勢い余って地面に着いた拳の周囲からは鋭い棘の生えた茨が何本も勢いよく槍のように突き出され、茨が消えた後には私の腕の長さほどの直径ではあるが、クレーターが出来てしまっていた。

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― 新着の感想 ―
火力がインフレしだしてから戦闘が単純化してワクワクもドキドキも無くなってつまらなくなったな〜
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