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不器用な僕の彼女達の助け方  作者: アツシルック
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火野 京子の大切な仲間のために

「みんな早く! 今のうちに逃げなさい、奴はまだやられていないわ」

火野 京子が遠くから、拳銃を構えて叫ぶ。


「ひ、火野さん!? な、なんでここに……」

黒戸 紅は思いもよらない人物の助太刀に呆気に取られ。


「黒戸 紅! 何ボーッとしてるの!! あなたがしっかり指示出さないでどうするの? 早くこの場からみんなを逃しなさい」

京子は倒れるジャックを警戒しつつ、紅に激を飛ばす。


「えっ!? そ、そうね……今はみんなを逃す事が先決、みんな……みんなこれは命令でも指示でもない、私からのお願い……みんな大切な仲間だから……だから今のうちに私の事はいいから逃げて」

黒戸 紅は片手、両足を重傷し痛みに耐え、必死に地面を這いみんなに叫ぶ。


「紅ちゃん……だったら私がおぶって連れていくから、一緒に逃げよう?」

雫は紅を抱えようと掴む。


「うぐっ……!? い、 痛い……雫ちゃん私はいいから置いていって、今の私じゃみんなの足手まといになるだけだから…… 」

紅は体に激痛が走り今にも叫び出しそうな声を押し殺し、雫に対して精一杯の笑顔で話しかける。


「嫌! 私が苦しい時にいつも助けてくれたのは紅ちゃんなんだよ……そんな紅ちゃんを私が見捨てるなんて出来るわけないじゃない……もし紅ちゃんがここに残るって言うなら私達も残る覚悟だよ」

雫は力強い口調で紅を背負い言い放つ。


「もたもたしないで! コイツはまだやられてないわ、だから動き出す前に今回は一時退散よ」

京子は銃をジャック・ザ・リッパーに銃口を向けながら、紅の方に歩み寄る。


「紅……貴方ではジャックに勝てないわ、こいつはね一時期世界最強の殺し屋として世界に名を轟かせていた男なんだけどある世界的な裏の大会で惨敗してね、一夜にして今まで築き上げてきた殺し屋としてのプライドや自信を失い一時期消息不明になっていた、でもここ最近になってある情報が入っていたの……」

京子は紅や雫に説明をしつつ、ジャックに近づき足で軽く蹴りを入れジャックの反応を伺う。


「骨川とジャックには色々な噂や情報が飛び交っていてね、ジャックを骨川重工業で見たとか、骨川重工業が軍事用に新たな金属や兵器を極秘に違法な手段で開発しているとか……」

京子はジャックに銃口を向け目を離さない様、前を歩く紅を背負う雫をかばう形で、後ろ向きで警戒し歩みを進める。


「それらの情報から公安が導き出した回答が、人造人間計画と伝説の金属・オリハルコン開発だと公安内部で一部の人間に発表されたのよ…… 紅? 紅、聞いてる?」

京子は後ろ向きに歩きながら紅達に話しかけていたが、全く話に対しての反応が無い事に違和感を感じ前を振り向くとそこには誰もいない。


「紅! 紅? どこ? みんなどこに行ったの? ど、どう言う事……いくらなんでもそんな早くは歩けないはず……」

京子が振り向いた時にはその場には誰もおらず、先行して逃げたはずの白愛会のメンバーも見当たらない。


京子が周りをキョロキョロと見渡していると、腰に物凄い激痛が走る。


「ぐふっ! あぁ……」

腰が砕かれる音と共にその場に崩れ落ちる京子。


「クックックッ、ヨ……ヨクもヨクもやって……やってくれたな赤髪の女」

顔面の半分が損傷し、損傷した所から機械部品の様な物があらわになり、一部火花を散らしながらも動き出したジャックがそこにはいた。


「や、やはり……まだ生きていたのね……」

京子は口から血を吐き地面を這いつくばりジャックに拳銃を構える。


「遅い! こんなおもちゃで俺に勝てると思ったか赤髪」

ジャックは拳銃の銃口を掴むと簡単に捻じ曲げ、拳銃を放り投げる。


「そ、そんな……ば、化け物……」

京子は震え絶望を感じ呆然とする。


「俺の身体は世界最強の硬さを誇り、あらゆる武器も通用しない! 俺の邪魔をした貴様は許さん……痛ぶりながら殺してやる、クックックッ」

ジャックは京子を見下し、舌舐めずりして気持ち悪い笑顔で京子の足を踏みつける。


京子の足の骨が砕ける音が響き京子は悶絶の叫び声をあげる。


「嫌ぁぁぁぁ! い、痛い……」

腰の痛みに足の痛み、今にも意識がなくなりそうになるくらいの苦痛が京子を襲う、でも京子の目はまだ死んではいなかった。


(痛い、辛い、生まれてこの方いい事なんか一度もなかった……親には捨てられ、初恋の相手には裏切られ、むしろこのまま殺された方が楽なのかも……なんて昔の私なら思ったかも知らないけど……いまは違うやっと見つけた、やっと見つけたんだ……私の幸せ……せめてもう一度だけでもあの人に……白くんに会いたい……だから私はここで死ぬわけには……)


京子は黒戸 白が不器用に巻いてくれた包帯をほどき素手になる。

(ありがとう白くん……白くんが不器用だったからこんな簡単に包帯が解けたよ)


「良いねその絶望した表情、苦痛な叫び声、殺しがいがあるってもんだ、だかその目は気に食わねえ……どこかにまだ、何か少しでも希望を持ったその目はよ」

ジャックはニタニタと気持ち悪い笑顔を浮かべ、京子を舐め回す様にながめ、その気に食わない目に指を二本突きつける。


その瞬間を狙って、素早く京子はジャックの腕を掴む。


ボキボキボキ


京子が掴んだ瞬間、凄まじい音でオリハルコン金属が砕ける音が響きわたる。


「グハァ……な、何!? お、俺の腕が……世界最強の硬さを誇る腕が……?」

ジャックは自分の腕が砕かれた事に驚愕し、瞬時に後ろに少し後退、京子から距離を置いた。


「ふっ……紅、私は一矢いっしむくえたかな……みんなどこに行ったのか分からないけど、少しは逃げる時間稼ぎは出来たのかな……」

京子はさっきまで身体中の苦痛を忘れたのかの様に笑顔で天を仰ぎ、ジャックに少しでも損傷を合わせた事に安堵し。


「き、貴様何者だ! この腕を砕くなんて……不用意に近づくと危なそうだ、だったら少し距離を置いて殺すしかねーなクックックッ」

ジャックは驚いた顔をしながら警戒を高め、さっき捻じ曲げて放り投げた拳銃を拾いに向かう。


「俺ぐらいに強くなるとな拳銃自体の本体なんかいらないんだよ、この弾丸さえあればな」

ジャックは拳銃を拾うと、中に残っていた弾丸二発を抜き取り、砕かれた手の方の握りを筒の様な形にするとその中に弾丸一発を入れる。


「俺の指を弾く威力だけで、銃を撃つ撃鉄げきてつと同じ威力が出せるんだぜ」

ジャックは砕かれた手を京子に向けて銃の様に構え、もう片方の手でデコピンをするよう形で構え。


「あれを喰らったら終わりね……あぁもう一度あの人に会いたかった……もう一度……ううん……ずーと一緒にいたかったよ……白くん……死にたくない……助けて……」

京子は涙を流し、死ぬよりも、もう二度と白に会えないそんな気持ちが悲しく辛かった。


「終わりだ赤髪、あばよ! クックックッ」

ジャックが弾丸を指ではじく……その瞬間である、銃の様に構えていた砕かれていた腕がスパッと切れ、弾いた指はくうを切った。


「えっ!? な、何が……だ、誰?」

京子が撃ち殺されるそうになった瞬間、後方から凄まじい勢いで誰かが駆けつけ物凄いスピードで手刀をジャックに打ち込み腕を切り落とし、京子の方からは逆光でその人物が影に隠れてよくわからなかった。


「貴様! な、何者だ!」

ジャックは腕を切り落とされた事に驚き後ずさり、その人物に蹴りを放つがその蹴りもその人物が拳を振り下ろし砕き、ジャックは片足を砕かれた事でバランスを崩し地面に倒れこむ。


「少し黙っていろ」

その人物はとても低い声で短い言葉を放つと、ジャックの顔目掛けて蹴りを放ち顎を砕く。


「あ、あ、その、その声は……来て、来てくれたの……」

京子は涙を滲ませその人物を眺め、嬉しそうな笑顔でその人物の名前を呼ぶ。


「し、白くん……」

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