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不器用な僕の彼女達の助け方  作者: アツシルック
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火野 京子の今日から女子高生〜後編〜

「け、刑事さん! そこに立っている男、男が……お、俺たちを……俺達を殺そうとしてきたんです……た、助けて下さい!」

倒れて動けない男子生徒の一人が怯えながら泣いて京子に訴えかけ、こんな行為を行った容疑者を手足が負傷して使えないのか京子に目でその男をしめした。


目で指し示した先を京子が振り向くとと、そこには何か虚しく悲しい表情で、優しそうな雰囲気しか感じられない黒戸 白が立っているだけだ、京子はこんな優しげな男の子がこんな事をやったとは到底思えなかった、しかし現に目の前には負傷者がおり、その被害者がその男の子にやられたと訴える以上は刑事として見逃すわけにはいかない、刑事の職務として男の子を容疑者として確保するほかなかった。


「ごめんなさいね、あなたを第一容疑者として逮捕するわ」

京子は虚しく悲しい表情を浮かべる黒戸 白に近づき、その手を取ると、いつぶりだろうか男性の手に触れたのはと過去を振り返り少し緊張し面持ちで、ポケットから手錠を取り出し容疑者であろう黒戸 白の手にめた。


白はなんの抵抗もせず素直にそれを受け入れると、京子の方に急に身体を寄せせまり、京子は突然の事に驚きバランスを崩すと、二人は押し倒される様に床に尻餅をついて倒れ、白は京子の胸に顔を埋めた。


「ちょ、ちょと!? 何してんの! わ、私はま、まだそう言う経験ないんだから、ちょ、ちょ、ちょっと離れて……」

京子はあまりの突然な白の行動に焦り、驚き、動揺を隠せなかった。


「……」

「ちょっと……きみ? ねぇったら?」

京子は白をするが、白は京子の胸に顔を埋めたまま動かない。


京子は彼の様子を観察すると、衣服の下半身が血だらけで、足元も血の池が出来るほどの大量の出血をしていた。。


それを遅れて教室に辿り着いた田中が白の方に近づき心配そうに抱きかかえる。


「な、なんでこんな事に…… 彼は……この生徒はこんな事をする生徒じゃないわ、仮にやったとしてもなんか理由があるはずよ……なのに、なのに手錠かけるなんて……あんまりだわ」

田中は白を抱えたまま、涙を流し、生徒を思う教師と言うよりも、大切な人を想う一人の女性のように京子に訴えかけた。


「田中……しょ、しょうがないじゃない! 職務なんだから……私だって……でも被害者がいる以上は仕方ないのよ!」

京子はムキになって反論したが、彼女自身もまた手錠なんてかけるのは不本意であった。


「京子……それでも黒戸くんは……」

田中は白を抱えたまま悲しい顔で京子を見つめる。


「そんな目で見ないで……分かったわ、私がなんとか頑張って彼に対して動くから、だから今は少しでも早く今やらなきゃいけない事をまずやりましょう? その後愚痴でも文句でもなんでも聞いてあげる」

京子は田中に同情する様に訴えかけ、白から離れ立ち上がると、クラスにいる関係者に向け大きな声で叫んだ。


「まず救護班が来しだい彼を優先的に搬送し、私もそれに同伴するので、教室にいる生徒含め関係者は捜査班の指示に従って、ここで何があったか分かる事を素直に事情聴取のさいはお答え下さい」

京子は現場を仕切ると、生徒や関係者に指示を出し、救護班の到着する間に白の止血に力を注いだ。


「私が責任持って彼を病院に搬送するから、田中はここの生徒の面倒をお願い……生徒も不安で動揺してるわ、だからあなたがしっかりここをまとめあげて」

止血作業をしながら横で心配そうに見つめる田中に京子は激を飛ばしお願いした。


「うん……わ、分かった、あなたが黒戸くんに同伴しなきゃならない理由はよく分からないけど分かった」

田中は京子の言った事に納得してくれたみたいだが、この男の子に京子が同伴する事に不服があるのか納得が行かないらしく。 田中の目は『私が同伴するから、お前が残れ』と訴えている様だった。


そして数分後に救護班、捜査班が数十人到着し、京子は白と共に救急車両に乗り込み桜台中央病院へと向かった。





その頃天井裏では、黒戸くろと くれない緑山みどりやま しずく一部始終いちぶしじゅうを見守り控えていた。

「どうしよう、紅ちゃん……白くんが、白くんが……」

雫は動揺を隠せずに、いつものキャラを保てないで弱々しい頃の雫になってしまっている。


「とりあえず解散よ、隠密部隊のみんなにも桜野中に戻り一時待機してもらって、私は急いで桜台中央病院に向かってお兄ちゃんの様子を見てくるわ」

紅も動揺していたが、雫ちゃんの様子を見て、指揮系統が崩壊するのを恐れて気をしっかり持つよう踏ん張った。


「えっ!? わ、私も行くよ紅ちゃん……私も白くんの側に居てあげたい」

雫は駄々をこねる。


「ううん、貴方には学校に戻って白愛会副会長としての仕事をしてもらうは、メンバーもきっと混乱すると思うし、それらをしっかりまとめて欲しいの」

紅は雫の目を見つめ真剣に頼んだ。


「で、でも……だったら私がお見舞いに行って、会長がまとめた方が……」

雫は食い下がる。


「お兄ちゃんはね、統率力があって、しっかりした女性が好きだと思うな〜、前にそんな事言ってた様な、言ってなかった様な……」

紅はとっさに適当な事を言ってみた。


「分かった! 私やるよ紅ちゃん、私が紅ちゃんが居ない間をまとめ上げて、統率力がある所をメンバーに……いや白くんに見せるわ」

雫は単純だった。



しかしこの事がやり取りがこの後に訪れる、白愛会の大問題に発展するとはこの時の紅と雫にはよしもなかった。

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