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不器用な僕の彼女達の助け方  作者: アツシルック
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緑山 雫 の告白

私、緑山みどりやま しずくには幼稚園の頃から好きな人がいた。


私は三つ編みにしたエメラルド色の髪に垂れた目、黒縁眼鏡が特徴的な女の子だった。

子供の頃から目立たなく、地味で、暗く、よく周囲の人から馬鹿にされる事も多く、幼稚園の頃もよく虐められていた。


そんな日々のある日、その日も幼稚園に通う男の子や女の子達にいつもの様に虐めにあっていた。

「おい緑山、お前って本当にブスだな」

「ブース、ブース」

「本当、緑山ちゃんブサイク」

と馬鹿にされて私はうつむいて泣いていた、すると虐めてきていた一人の男の子が遠くで遊んでいた別の男の子を呼んでこう聞いた。


「なぁ、お前も緑山はブサイクだと思うだろう?」

その男の子はわざわざ、遠くで女の子と遊んでいたその男の子をこんなくだらない質問のために呼んできたのだ。


私はもう『ブス』とか『ブサイク』とか言われるのが嫌で仕方なかった、だからまた言われるのかと思うと心が痛く、体が震えてきた。


「えっ、可愛いと思うけど、なんで? 綺麗な緑の髪だし、優しそうな目をしてると思うけど」


「えっ!?」

私は聞き間違いかと驚き、その男の子を見つめる、その子は黒戸くろと しろ君って言い、その男の子は不思議そうな顔で私を見つめる。


「あん! 空気読めよ黒戸、ブサイクなんだよコイツは」

呼びつけた男の子は黒戸君を突き飛ばし怒る。


「本当マジつまんねーの」

「みんなブサイクって言ってんだからブサイクなんだよ」

黒戸君は地面に倒れ、男の子達に罵声を浴びせられていた。


「ごめんねなんか空気読めなかったみたいで、思った事口に出したら怒っちゃったね」

黒戸君は申し訳なさそうな顔で笑顔で私に謝ってきた。


「ううん、ありがとう……ありがとう」

私は初めて人に褒められ、認められた気がして、嬉しくて涙を流しながら黒戸くんに抱きついた。


「あー白、女の子といちゃついてる、いやらしい」

白間しろま 美希みきちゃんが黒戸君を茶化す。


「ち、違うよ、べ、別にいちゃついてるわけじゃ」

黒戸君は慌てて弁解し。


「お兄ちゃん私も」

黒戸君の妹の紅ちゃんも、私の真似をして抱きつき、それならと美希ちゃんまで黒戸君に抱きつく。


「ちよっと重い離れてよ」

黒戸君は恥ずかしそうにしていた。


これが私の初恋……



小学生になり黒戸君と同じ花川はなかわ小学校になった私は告白しようと何度も声をかけようとするがなかなか勇気が出なかった、人見知りな所もあるが一番の原因は、いつも彼の側には美希ちゃんがいたからだ。


小学生の二年生になった頃、私は一通の手紙を黒戸君の下駄箱に入れようとした……その時である。


「おい、何してんだ見せろ!」

突然隣のクラスの骨川ほねかわ 糞夫くそお君が私から手紙を奪い、その場で封を破き、中身を読みだした。


読み終えた骨川君は私をコケにして笑い、何かを思いついたかの悪そうな顔をしてニヤケ、私に詰め寄って来た。


「おい緑山、お前ちょっと俺に協力しろや」

私はなんか嫌な予感を感じ、それとなく断ろうとしたが。


「い、痛い!」

骨川君は私の足を踏み私を睨みつけながら。


「なぁ緑山、俺はお前にお願いしてんじゃねーんだよ、やれと命令したんだ分かるよな」

骨川君はどんどん私の足に体重をかけてくる。


「い、痛い、痛いよ、離して!」

私は涙目になり骨川君にお願いする。


その時だ私の頬に激痛が走り、掛けていた黒縁眼鏡が吹っ飛び、地面に叩きつけられて割れた。


骨川君が思いっきりぱたいてきたのだ。


そして喉元を鷲掴みにされ、下駄箱に叩きつけられ。

「おい!やれや」

私は声にもならないうめき声を上げ、泣きながら頷く他なかった。



その後四時間目の授業が終わり昼休憩の時に、骨川グループと言う連中が隣の私の教室まで来て呼びつけた。


骨川君の教室に行くと、美希ちゃんの周りには数人の女子や男子が美希ちゃんを囲い、お喋りをしていた。


私が教室に入ると骨川君は私に近づき。

「おい緑山、言われた通りやれよ、別に一言美希に聞いてくれれば良いんだよ、別に悪いようにはしねーから」

そう耳元でささやき、私のお尻を思いっきり蹴り、美希ちゃんの方に向かわせた。


私は言われた通り震えながら美希ちゃんに質問する。

「ねぇ……美希ちゃんて、白くんと付き合ってんの?」


その瞬間、周りにいた骨川グループの連中はそれをキッカケに黒戸君の悪口を言い始め、それに骨川君本人も加わり騒ぎ始める。


美希ちゃんは何か言いたそうにするが、骨川グループはそれらの言葉をかき消すかのように黒戸君の悪口で畳み掛け。


「付きまとってんの、キモ」

と骨川グループの一人が言うと、骨川君はそれに便乗し。


「それってストーカーじゃん!」とクラス中に聞こえる大声で叫んだ。


私は怖くなりその教室から逃げ、自分の教室に戻り、給食も喉に入らないほど落ち込み。


「ごめん、ごめんなさい美希ちゃん……ごめんなさい黒戸君……」

体を震わせて心の中で謝り続けた。


その日から酷いものだった、黒戸君は骨川君や骨川グループにしつこく虐められ、妹の紅ちゃんもその標的にされていた。


私も骨川君に定期的に呼び出され。

「いいか緑山、お前も共犯だって事忘れんなよ」

と呼び出されてはお腹や足を殴られたり蹴られたりした。


「どうよ、好きな男を自分で虐めの対象にした気分はよ緑山、嬉しいか? 気持ちいか?」

骨川君のその一言が一番キツかった、黒戸君、美希ちゃん、そして紅ちゃんにつぐなっても償いきれない事をしてしまった罪悪感が私を覆い尽くしていき、私は次第に学校を休みがちになった。



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