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不器用な僕の彼女達の助け方  作者: アツシルック
23/55

沢村 礼子と見透かされた心

沢村さわむら 礼子れいこ久須くす 竜也たつやに襲われ、それを助けに来た黒戸くろと しろが重傷をった。


その後、現場に訪れた警察に久須 竜也は現行犯逮捕され即刑務所に連行。


久須に対しては警察も目を付けていた要注意人物であったため、警視庁も今回の久須への逮捕で捜査に力を注ぐ所だったが、警察内部の謎の巨大な権力派閥が動き、今回の事件への対応は慎重にならざるおえず、全国的に報道規制もかけられた。


そんな事もあり、この騒ぎは一般人のSNSで拡散され徐々に世間に知れ渡り最終的にマスメディアでも取り上げられる事となったが、久須に対しての情報は嘘や捏造、妄想、空想といった信憑性に欠ける話ばかりが持ち上がり、一部では久須を擁護、庇う信者が現れたり、被害者である黒戸 白を誹謗中傷し悪く言う声もでていた。


ーー

ーー

ーー


そんな事があった数日後の朝、礼子はいつもは簡単に髪を溶かし、軽く顔を洗い、朝食を食べて学校に向かうのが普通だった。 だが今日は違った、朝シャワーを浴びては念入りに身体を綺麗に洗い、髪も何度も鏡の前でチェックをして、ほんのり薄化粧と軽く香水を吹きかけ学校に向かった。


学校に行く途中、同じ学校の生徒が礼子の方をチラチラと見てはヒソヒソと何か話している。


学校に到着しても周囲の目がやたらと気になり、席に着くと周りのクラスメートは礼子の席に一斉いっせいに集まり、スマホで昨日の事件の動画を見せて口々に礼子に話しかけてきた。


「ねぇねぇ沢村さん、この女性ってたぶん沢村さんだよね?」「沢村さん殴られてたけど大丈夫?」「もし俺が側にいたらこんな奴なんか倒してあげたのに」

などなど色々と質疑応答をしてきた。


「さぁ……どうだろ」

礼子は軽く素気そっけなくあしらう様に答えると、少し睨む感じで集まったクラスメートを見渡す、そんな礼子の態度をどう感じたかは分からないが「そうだよね、怖い思いしたんだもんね」「なにかあればいつでも私たちを頼ってね」とちょっと距離を置く様な口ぶりで、クラスメートは礼子の席から離れていった。


礼子は少し頭にきていた、本当に被害に合っていたのは黒戸だった事、そんな黒戸に対し誰も心配する言葉を出さなかった事、そしてなによりも礼子自身が前までこんな周囲の奴ら同様に黒戸をバカにしていた事に腹が立っていた。


チャイムがなるギリギリだっただろうか、美希が遅刻ギリギリで走って教室に入ってきた。


「おはよう咲、礼子」


「「おはよう」」

美希はいつもの様に明るく沢村 礼子と姫野ひめの さきの元に来ては元気に挨拶をしてきた、二人も一緒に美希に挨拶を返す。


「美希、この前はごめん、なんか私が途中で忘れ物取りに帰った後にショッピングモールで大変な事あったなんて知らなくて……礼子も大丈夫だった? その時の動画を見たんだけど、あの被害に遭ってた男の子って黒戸君……だよね? 私が学校に忘れ物取りに行った日にね黒戸君とすれ違ったんだよ……その後あんな事に巻き込まれていたなんて思いもしなかった」

咲は同じ教室の同級生が被害に遭った事がショックだったのか、とても悲しそうな表情で話した。


「私は大丈夫、あの時に黒戸が助けに来てくれたから……黒戸がいなかったら私……ごめん」

礼子はあの時の事を思い出すと恐怖が蘇ってくる思いと、黒戸に申し訳ない事した罪悪感で、心が締め付けられ苦しい気持ちになった。


「ううん、いいよこっちもゴメンね、嫌な事思い出させる話をして」

咲は優しく礼子の頭を撫で謝った。


「ん!?  あれ……礼子なんかいつもとなんか違わない? なんか良い匂いするけど、香水つけた?」

咲がそう言い出すと、美希が突然鼻をクンクンさせて礼子の身体の臭いを嗅ぎだした。


「えっ!? いや、ほら気分転換ってやつで、たまには付けようかなって……」

礼子は少しショックだった、まさか咲に一番に匂いの事を指摘されるとは思わなかったから。


「ふ〜ん気分転換ね……」

(嘘だ! 礼子が今までそんな女の子ぽい事を嫌っていたのに、それもなんかいつもより髪もサラサラで、ほんのり薄く化粧もしてるし)

美希は表情は笑顔で話を聞いていたが、目だけは疑いの眼差しを向けて礼子を見つめていた。


「そう言う美希だって、なんかいつもより髪につやがあって、ほんのり化粧してるでしょ? 香水もいつもの匂いのやつじゃないし、どうしたの二人ともなんか気合い入ったよそおいで」

咲が美希が礼子にした様に匂いを嗅ぐ仕草で美希を茶化す。


「は、はぁ〜!? き、気合いなんか入ってねぇーし、べ、べ、別に……な、なに言ってくれてんの咲? い、いつも通りだし私」

美希は動揺して口籠もり、慌てながらも咲に平然をよそおい、咲を間に挟みながら礼子と美希は互いに睨み合い、目と目で火花を散らし合っていた。


「あっ!? そうそう昨日聞きそびれてたんだけど、美希と紅ちゃんてどう言う関係なの? 前々から美希って黒戸と知り合いだったって事?」

礼子は思い出したかの様に突然話を変えて、質問を投げかけてみた。


「えっ! なになに、紅ちゃんて誰?」

咲も興味心身に聞いてきた。


「えっ!? あ……その……紅ちゃんは黒戸の妹ちゃんで……私とね、う〜ん……黒戸とは……」

美希は口籠りながら、歯切れの悪い言葉でなんだか答え辛そうに話し出すと、教室のドアがガラガラと開き先生が入ってきた。


「あっ!? やばいホームルームが始まっちゃうね、席戻らなきゃ」

美希は答えるのをやめ、ホッと一息つくと安心したかの様にさっさと席に戻った。


「逃げたな」

「うん、逃げたね」

礼子が咲を見て笑いながら言うと、咲も笑って同意した。


ーー

ーー

ーー


〜数時間後〜


授業が終わり放課後、教室は部活に行く者、残っておしゃべりをしてる者、帰りの支度をしてる者でザワザワしていた。


「じゃあ帰ろっか? 礼子、美希」

咲が二人に話しかける。


「えっ!? あっ……ご、ごめん咲、今日はこの後に用事あるから美希と一緒に帰ってくれない?」


「あっ! そうなんだ……じゃ、美希一緒に帰ろっか?」


「あぁ……ごめん、私も行くとこあって、帰り道とは逆なんだよね」


「そうなんだ……」

咲は少し淋しそうな表情を浮かべ、その話を聞いた礼子と美希はお互いの顔を同時に見合わせると『まさか』と言った表情を浮かべた。


そんな礼子と美希が互いの顔を見合っていると、教室の前方のドアから同じクラスの女子生徒が美希の方に大きな声で話しかけ。


「美希ちゃ〜ん、田中先生がちょっと職員室寄って行ってって」


「えっ!? わ、私? これから用事あるのに……」

美希は肩を落とし物凄くガッカリした表情を浮かべた、それを見ていた礼子は周りに気づかれない様に拳を握り「よし!」と言いながら小さなガッツポーズをつくっていた


「じゃあ私は職員室寄っていくから、咲も礼子も気をつけて帰ってね」


「うん、美希もね」


「うん、バイバイ美希」


咲は優雅に綺麗に手を振り、礼子は少しニヤケた表情をしながら手を振った、すると美希はそんな礼子の顔を見るや、あっかんべーをして怒ったそぶりを見せ。


礼子と咲は校門まで一緒に向かい、校門でお互い別々の方向に別れて歩くと、礼子の後ろ姿に囁く様に声が届いた。


「ねぇ礼子……黒戸君にお大事にって伝えておいてね、どうせお見舞いに行くんでしょ?」


「えっ!? えっ……あっ……」

突然の咲の囁き声に礼子は驚き戸惑いながら一瞬固まり、バレていたならしょうがないと顔を赤くしながら咲に振り返りうなずく。


「な……なんで分かったの?」


「う〜ん……なんでだろ? まぁ礼子は黒戸君に助けてられたって言うし、礼子は一見クールだけど面倒見良いからさ、黒戸君の事を気にしてんだろうとはさっき話してて思った、私も一緒に同じクラスメイトとして行きたいけど、その時の事は何があったか知らないし、まだ怪我治ってないだろうから迷惑になると思うから」

咲は笑顔で答える。


「そ、そっか……ごめん隠してて」

礼子は少し心の内を見透かされてる様で恥ずかしがりながら咲に手を合わせて小さく謝った、すると咲は少し小さな笑い声で。


「それに……私まで行って二人の邪魔しちゃ悪いでしょ」

咲は少し悪戯いたずらな表情で私の顔を覗き込み笑いながら言う。


「えっ! はぁ!? な、な、何言っちゃってんの、バ、バカじゃないの……そ、そ、そんなんじゃないし」

礼子は顔を真っ赤にして口が回らないほど動揺して、咲に向かってほほふくらませて怒ってる風な態度をとった。


「あっはっはっはっ、良いから良いからわざわざ普段しない様な薄化粧して頑張って綺麗にしてお見舞い行くくらいなんだから……そう言えば美希もなんか気合い入ってたね、妹さんとも知り合いぽいし、やっぱり美希もお見舞い行くのかな? 美希の足止めしといてあげようか?」

なんか楽しそうに咲は話す。


「ち、違うし、そう言うじゃないし、たまたま化粧したい気分で……いいから帰れよ咲」

礼子は咲になんだかなんでもかんでも見透かされてる様で恥ずかしくなり、咲に向けて手を振るジェスチャーで帰る様に促す。


「はいはい、そう言う事にしておきますよ」

咲はそんな礼子の態度を嬉しそうに見守り微笑みながら手を振って『黒戸君によろしくね』と言付けを言い帰っていった。


礼子は咲と別れると桜台中央病院に向かって歩みを進め、咲が変なこと言うもんだから病院に近づくにつれ胸の鼓動がドンドン早くなり変に意識してきていた。


「今思えば私と黒戸とはほとんど面識もないんだっけ、この前まではただ根暗な同じクラスの男子って認識だったから、いざどんな顔してお見舞いしたらいいんだろう……それにこの前はつい勢いでキスもしてしまったし」

礼子は病院に運ばれた日の事を思い出すとだんだん顔が熱くなり、色々考えてるうちに黒戸の病室のドアの前まで来てしまった。


礼子は病室のドアの前で大きく息をして、何度も深呼吸を繰り返して緊張で震える身体を落ち着かせながらドアを軽く三回ノックする。


「はいどうぞ、開いてますよ」

黒戸の声が聞こえると礼子は自然と表情は笑顔になり「お邪魔しまーす」と黒戸の病室のドアを開けた。


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