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6話

チュンチュン


窓から朝日が差し込み、外からは小鳥の囀りが聞こえてくる。

うん、良い朝だ。俺は布団から起き上がり伸びをしてから机の水瓶とコップに気付いた。水、これに入れとけば良かった。俺はこの2つを持って、寝室を出ると、ナビはいつもと変わらず光が渦巻いていた。


『おはようございます』


「お、おはようございます」


誰かと挨拶を交わすのが久々過ぎて噛んでしまって恥ずかしいけど嬉しい気持ちが勝ったような気がする。


『昨夜はお楽しみでしたね。服、着た方が良いですよ。』


前言撤回。恥ずかしさで死にそうだ。

俺は早足で一階に降りて、浴室へ行き服を着る。そのままキッチンで水瓶に水を補充してコップで水を飲む。とりあえず林檎を齧りながら、オーブンを開くと昨日のサツマイモが残っていた。


「勿体無いから食うか。」


冷めててあんまり美味しくなかった。昨日からたまった皮とかのゴミをとりあえず庭の一角に捨てに行く。

すると偵察機鳥型が木に生ってる林檎を啄ばんでいた。


「兵器って飯必要なのか?」


『クワ?』


偵察機鳥型は俺に気付き、こちらを見ると首を傾げる。何か可愛い奴だな。見た目は完全にカラスなんだけど、愛くるしい気がする。


「鳥の巣いるか?」


『クワッ!』


「任せとけ!」


俺は残飯を捨てるのを忘れて、室内に戻ると警備兵器がワラワラと俺に集まってきた。正直ちょっとびっくりした。


『ピピッ』


何かを訴えてる気がする。


『その子たちは貴方が持っているゴミが食べたいみたいですよ?』


「そうなのか?でもゴミより、普通に林檎とかの方が良いんじゃないのか?」


『ピピッピ』


警備兵器は本体を横に振っている。多分、否定してるのだろう。


『ベースがルン◯なので、ゴミが主食ですね。』


そんなものか?と納得仕切れないままに、ゴミを警備兵器の前に置くと、三機で仲良くゴミを収穫した解散していった。何だろう…こいつらみんな可愛い。


……


司令室に戻り、鳥の巣(5)を早速カスタマイズしたら外からは偵察機鳥型が何度か鳴いてお礼を言ってきた。愛い奴だ。


カスタマイズの状況を確認するとキャタピラがまだまだかかりそうなので、作戦会議といこう。そう一人作戦会議だ。


脳内

「では議長を務める俺だ!よろしく俺!」


「「「よろしくー!」」」


「我々の最終目標はこの世界で繰り返される歴史を覆すこと、そのために何をするかだな!下準備の自宅カスタマイズはあと数時間で完了するから、その後の目標を検討しようと思う訳だが、異論はないな?」


「ないぞー!」「ある訳ないだろ!」「全員俺だからな!」


「満場一致で嬉しく思う。現状の把握として、今、我々の自宅がある場所は統合軍と連合軍の争う国境線沿いから南下した場所にある大陸最大級の森林地帯だ。この森も大きく分けると3区画に分かれていて、東側は人間が多く森を開拓している開拓村エリア、西側は獣人や亜人が暮らす里が混在する里エリア、そして森の中央部分から南の山脈までを妖精や中立の亜人などが住む深層エリアの3つだ。俺の自宅は3つの中で西側寄りの深層エリア入り口あたりに転移してきた模様だ。これはインストール情報なので間違いは無いだろう。

次にカスタマイズに必要なポイントの入手方法だが、それは何でも良い、小さくても大きくても歴史に干渉する行為に応じてポイントが入る。言わば神様の気分次第だ。そんな訳で利益予想は不可なので、臨機応変にいこう。

以上を踏まえて何を行おうか?」


「おいおい、俺よ、そんな問答に意味があるのか?昨日のカスタマイズの時から決めていたんだろう?」


「俺たちもそれに意を唱えるつもりは無い。そのための偵察機であり、突貫仕様のカスタマイズだろ?」


「さすがだな。俺のことなんてお見通しって訳か。さすがだよ。俺ら。」


「では行おうか…」


「「「「ゴブリン殲滅作戦を!」」」」


「異世界の登竜門って言ったらゴブリンだもんな!」


「そうそう!ゴブリンだろ!」


「それこそ浪漫であり、お約束だな」


「よし!解散!」


「「「「おつかれっしたー!」」」」




俺はキーボードを操作し、事前に自宅のデータベース入っていた情報を読み解くとゴブリンの里が自宅から一番近い場所にあることが判明した。悪戯の神も浪漫をわかっているであろう配置である。

ゴブリンの里の情報を偵察機鳥型に送信し、そのまま偵察任務を依頼した。偵察機鳥型は一鳴きすると空へと羽ばたいていった。


あとは座して報告を待つのみである。



………

……



夕方頃になると偵察機鳥型が帰還し、収集してきた情報を送信してきた。


ゴブリンの里はここから北西に約30キロほど進んだ少し開けた場所にあるようだ。でかいなこの森。大凡の位置や地図はデータベースにあるが採寸がないので距離は不明だったのだ。

里にはボロボロの家屋?小屋?らしきものが8軒あり、確認できた数で28体いた。出ているゴブリンや室内に居るものを予想したら50体程ではないだろうか?

里を覆うような柵もないので問題なく陸戦艦で突貫出来るだろう。武器も確認できたものだと錆びた剣や棍棒などで、身に付けているのも布切ればかりだ。


「ゴブリンの生態情報は…無しか。ラノベとかだと鍛えられた人間より少々劣る身体能力に、低い知能、高い狂暴性で…夜目が効くんだったかな?たまに魔法を使う個体がいたりするんだよな。ナビ、どう思う?」


『貴方では勝ち目がないことだけは確定です。』


「いや、俺が戦うには戦うが自宅から出ないからね?それで判断して欲しいんだけど」


『でしたら勝率は100%でしょう。ですが殲滅となると自宅には攻撃方法の選択肢が無いために成功確率は5%くらいだと試算します。ゴブリンが全員突撃してくれれば殲滅出来るといった程度ですね。』


「なるほど。それで十分だ。初陣は負けなければそれで良い。」


カスタマイズも全て完了している。準備は整った。俺は座席に取り付けてあるスイッチを押すと操作盤が左右に割れ、収納されていく。代わりに天井から操縦用のアクセルやシフトレバー、ハンドルが付いた装置が降りてきた。


「ナビ!レーダーの管理と迎撃自動小銃の操作は任せた!」


『かしこまりました。』


「陸戦艦“自宅”発進!!」


俺は起動キーを回し、シフトレバーを操作しアクセルを踏み込む。


ゴゴゴゴと振動が体に伝わり、キュルキュルとキャタピラが稼働する音が響く。俺の自宅がついに始動したのである。




「遅いな…。」


『フルスロットルで15キロですからね。装置に負荷がかかり過ぎない様にしつつ、木々を薙ぎ倒して進んでいるので、10キロくらいしか速度は出ていないです。』


「それなら仕方ない!」


ゆっくりと陸戦艦“自宅”は進行していった。



▽▼▽▼

前回残り195ポイント


使用ポイント

・鳥の巣(5)

使用合計5ポイント


残り:195-5=190ポイント



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