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3話

カシャンッと拘束具外れる音とともに俺の体はぐったりと項垂れる。


『無事にインストールされましたか?』


「情報がってことなら無事にインストールされたよ。体調的な意味なら今だに頭がズキズキしてて痛い。」


『どうやら無事に終わったようですね。一安心です』


「いや、少しは心配してくれても…」


『すぐデレる様なチョロインじゃないので、精々頑張ってください』


「あっ、はい。わかりましたよ。一応情報の擦り合わせをしたいんだけど良いか?」


『構いません。本当にインストールが完了しているのかを確認するのもナビゲーターのお勤めです。』


さっきそのナビゲーターの仕事を放棄した様な気がしたんだけど、藪蛇になりそうなのでスルーした。


重い体と頭を持ち上げて、椅子に座り直り、俺の頭にインストールされた知識と情報をナビゲーターと照らし合わせていく。

先ずこの建物についてだ。これは悪戯の神が俺を選別した際に自宅警備員だったことを考慮して付けてくれたオマケの代物の“自宅”らしい。この司令室も何となくの様式美らしい。

次にこの世界についてだが、ここは地球の歴史でいうと転生召喚系作品のお約束通り中世くらいの文明レベルで、案の定魔法が存在して魔法文化が発達しているとのことだ。

そしてこの世界の歴史は1,000年以上前からこの世界の創造神とされる光の神の使徒と人類が協力する統合軍と、この世界を乗っ取ろうと現れた邪神と魔族、獣人族、海人族の連合軍が争い続けている。邪神側に魔王が生まれ、創造神側に勇者が生まれる。魔王が倒されたらまた新たなる魔王が生まれ、勇者が倒されたらまた新たなる勇者が生まれる。

そんな変わり映えのしない歴史が続いているらしい。最初の頃は熱い戦いや、見事な策略、残酷な裏切りなどもあったがそれが1,000年ともなるとマンネリ化していたらしい。それでその歴史を見ていた悪戯の神が閃いた。


イレギュラーが搔き回したら面白いんじゃないか?


ってな。この世界も、争ってる種族も、神々にも良い迷惑だろうに。だけどそんなことは快楽と享楽を求める悪戯の神には関係ないらしい。そんな訳で俺がこの地に召喚された訳だ。


「で、合ってるかな?」


『…………』


反応がない。


「ナビゲーターさん!聞いてますよね!?」


『ただいまお掛けになったナビゲーターは電波の届かない所か、電源が入っていない為、繋がりません。』


「電波って何!?電源って何!?あんた擬似思念人だよね!?しかも俺の脳みそダイレクトアタックタイプの!その辺の情報も俺の頭にインストールされてるからね!」


『チッ』


「舌打ち!?」


『ちょっと何を言ってるのかわからないですが、どうやらインストールに問題は無いようですね。情報規制しとけば良かったわ。』


「しっかり聞こえてるからね!てか、隠す気無いでしょ!」


『それでは貴方が何を成すのか、そしてそれを成す為に私が全力でサポートさせて頂きます』


「さっきからサポートされてる感が薄いんだけど…まぁ良いや。いくつか念の為に確認させて貰いたいんだけど良いかな?」


『嫌です。面倒くさい。』


「いやいや、前言撤回早過ぎない!?サポートしてくれるんでしょ?」


『女心と秋の空って言葉知ってますか?』


「知ってるけど、ここで使うものじゃないでしょうが!」


『それで何が聞きたいのですか?』


「ツッコミ無視か!?」


『さっきから騒がしいですね?聞くのやめますよ?』


「誰のせいだよ。まぁいいや。聞きたいのは2つ。先ず1つ目なんだけど、俺って本当にチート無しな上に魔法使えないの?」


『はい。貴方は変わらず虚弱、脆弱、貧弱の魔法も使えない無能な存在で間違いないです。貴方は無能ですが、私の創造神様が授けてくださったこの自宅は、虚弱、脆弱、貧弱の貴方と違って、有能にして最強な存在に成る可能性を秘めています。』


「ごめんなさい。生まれてきてごめんなさい。」


『それで次の質問はなんですか?』


「優しさが欲しいです。」


『嫌です。無理とかじゃなくて、嫌です。以上でよろしいですか?』


「違う!さっきの質問じゃなくて願望!質問は成功報酬は何かあるのか?例えばこの世界の歴史を覆すような偉業を成し遂げたらとか?」


『…それについて私が言えることは、私と言う存在は貴方を見守り、貴方と共に在り、貴方と共に死ぬということです。そして私と言う存在は声も性格も…』


球体から光の粒子が漏れ始め、それが俺の前に集まると一人の女性がそこに立っていた。その女性の手がそっと俺の頬に触れると温もりが伝わってくる。そして言葉にすることが難しいほどの可愛くも綺麗な顔が触れそうな程近付いてくる。


『容姿も…貴方が夢に見た存在です。貴方が偉業を成し遂げたあかつきには、私は本物になりますよ。』


優しく女性が微笑むとそのまま唇が近付いてくる。俺は恥ずかしさのあまり思わず目を閉じてしまう。そして唇と唇が触れようとした時、女性は光の粒子へと変わっていく。

俺に触れていた温もりが消え、感じていた息使いが消えたことにより、目を開くとそこにはもう何もいなかった。


「ふぅ…。悪戯の神の頼み、俺が全うしよう。」


俺は覚悟を決めた。そう、この退屈で死を待つだけだった人生を使って歴史を覆すような偉業を成そうと。男なら死んでも歴史に名を刻む存在になろうと。




『私は貴方のそういう単純なところ好きですよ。ふふっ。』




今日はここまでです。感想やご指導ご鞭撻ををよろしくお願いしますm(_ _)m

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