1話
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俺は目を見開いた。どうやら悪夢をみ
「知らない天井だ…」
俺の部屋とは違う木目調の天井だった。そのままの体勢で目線だけで辺りを見回すと、蛍光灯がないことに気付いた。代わりにランプのような物が壁に立て掛けてあり、弱々しい光を放っている。
「アンティークな照明なんて買った記憶ないし、ってここ俺の部屋じゃねぇ!」
慌てて起き上がり部屋をもう一度見回す。木目調の天井に、木目調の壁。現代日本的な白い壁紙など一切ない。
「いや、これはまだ夢の続きだ。目が覚めたらまだ夢の中でしたなんてよくある話じゃないか?なぁ?ははっ」
とりあえず定番の通りに頬を抓ると痛い。けどこれは俺が痛いと認識しているだけで痛くないのかもしれない。そんな訳で思いっきり頬を叩いてみた。とっても痛かった。どうやら現実みたいだ。
部屋には質素なシングルサイズのベット、テーブルとイス、水瓶とコップ、照明、30センチ程の正方形の窓、あと扉が1つか。
とりあえず俺は窓から外の景色を見てみるとした。
「とても緑豊かな自然だ。」
全く見たこと無い景色だし、木々が生い茂っている所為で見渡すことも叶わなかった。残るは扉の向こう側…もしこれが監禁などならこの扉は開くことは無いだろう。けど怖いな…どうする?勇気を振り絞って扉を開けるか?
「よし!寝よう」
え?物語が進まない?知るか!俺はヒキニートだ!先送りと現実逃避が一番の得意技だ!そんな訳でおやすみないzzz
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全然眠れない。眠れないアル。ってやつだ。頭が覚醒したかのようにスッキリしている。そりゃ久々にこんな頭をフル回転させて現状を考えてたら眠れる訳もないよな。
布団でゴロゴロと無駄に寝返りをしつつ思考する。
俺が目を覚ます前に何があったか。それはいつもと変わらない薄暗い部屋で目を覚まし、家族に合わないように部屋でコソコソして、人工の灯の下でPCとスマホの液晶ばかりを眺めるいつもと変わらない日常を過ごしていたはず。そして意味もなくただ本音を羅列した言葉を検索したら…そうだ!真っ黒な空間に居たんだ。見た事もない美少年が狂気染みた笑みを浮かべたまま何か言ってて気付いたら落ちてて、気付いたらここか。
「うん。さっぱりわからん。ん?でも何か言ってたな?詳しいことはナビに聞けとか?ナビって何?カーナビ的な?それともアプリ的な何かか?」
ベットから起き上がりもう一度部屋を確認してもそのようなモノは見つからない。多分、この部屋は寝る為だけの部屋、所謂“寝室”と仮定しよう。そうなるとやはり答え、もしくはヒントはこの扉の向こうにあるのか。
俺は部屋から出るという行為に恐怖と緊張をしながらドアノブに手をかける。
「南無三!」
ギィ…
古びた扉の音とともに扉は俺の意思に従ってゆっくりと開いていく。ドキドキと心臓が煩く鳴り響く。そして恐る恐る扉の向こう側を俺は覗いた。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁあっ!!??」
そこには寝室の雰囲気とは正反対の近未来的な光景が広がっていた。