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奴隷について

 さて、予め言っておきたいことは、今回の話は非常に胃がムカムカする内容だろうな、ということです。実際書いてる本人がそうなのでそれは結構な部分で間違いないだろうとは思います。

 ただ、自分の作品で扱っている以上はいずれは触れておかねばと思いで書きました。その辺りのことを予めご了承いただくようお願いします。

 「はい、マイマスター」(http://t.co/bsjaXNDtn1)では奴隷の売買なんて話があって、実際エルトマルトのメイドとして奴隷が登場しますが、取り敢えず男の奴隷は登場の予定はないです。


 そもそも男の奴隷の絶対数が少ないのでお値段が高い。力仕事でもするのでなければわざわざ高い奴隷を買うこともないだろうと。クリティアのキャラバンを出せばもしかしたら男の奴隷も出るかもですが……


 この世界では「奴隷」自体はルールさえ守れば特に制限がありません。そのルールというのが


1.満16歳以上

2.主人となる者本人の意思による承諾

3.奴隷となる者とその家族の意思による承諾


……みたいな。


 取り敢えずこれら3つの内1つでも欠ければ奴隷とできなくなります。そしてこの過半数以上の条件が満たされていないと奴隷としての契約は破棄されます。だから話の中でカイルが話しているように二人の同意を得て契約を破棄すればエミリアとエイダは復権し奴隷でなくなるというわけです。



 奴隷になるには本人と家族の意思がなければならないのですが、これは詰まるところ口減らしの公認です。殺害による口べらしは当然殺人として罪になります。だからと言ってそれをしなければ立ち行かなくなることがある世界ということです。


 それ、つまり口減らしのための殺人を防ぐために困窮した家族は殺す代わりに奴隷に出し金を得て、主人となった者は奴隷を養う義務が発生します。家族はその子の一生分の稼ぎを得ることで取り敢えずの飢えは凌げ、多少は辛いが奴隷になる子は死なずに生きることができる。ちょっとした罪悪感の軽減ですね。



 まあ売買という形であるせいで心ない主人も少なくないのだけれども……



 残す優先順位としては1話「わかっています」(http://t.co/nLH724OlY9)で触れていますが、家を継ぐ長男とその兄弟、玉の輿に乗れれば儲けものと長女となり消去法で一番下の女の子から出されることになります。


 言い方は悪いですが、男なら長男が何かで絶命した場合に跡取りの予備となりますが、女の場合は嫁として家を出てしまう。婿を迎えるにも口減らしが必要なところに先にも述べたように跡取りとして必要になるかも知れない男の子をわざわざ出すわけがないので結局男より女の子の方が優先的に奴隷として出されてしまいます。


 そういうわけで男は余程別の兄弟との折り合いが合わないとかで家系を断絶する可能性のないかぎりは最後にどうしようもなくなって出されるので絶対数が少なくなるわけです。

 ただそんな理由で出される男の奴隷は当たり外れも激しく、単に折り合いが悪いだけならまだしも嫁に出る娘よりも使えないから出されることもあるので、稀少で値が張るけど満足に働けるのかが怪しいということもあり男の奴隷は必然的に更に少なくなります。




 ……と、ここまで書いといてアレですが、これは飽くまでも正規ルートでの奴隷の話です。つまり安く手に入るなら当たり外れも許容の範囲に収まりますし、非正規というのはそのために育てた奴隷なので外れを引きにくい。

 カイル達の行動範囲上こういった奴隷産業の話は多分作中で触れることはないと思います。そもそも本来は産業となるほど定期的に一定量の奴隷の確保はできないので彼等にしてみれば考えもしないことなんです。

 奴隷となる条件の一番目にある満16歳以上というのは基本教育課程、現実に於ける義務教育に当たるものが修了した年齢なのですが、その年齢まで育てた我が子を余程生活に困ったとはいえほいほいと売りには出さないし(まあそれができそうな親はいなくもないですが……)産業となるくらいに人そのものが生産性の良い動物じゃあないですからね。

 じゃあそれをやってる業者はどうしてるかと言えば奴隷に奴隷を生ませてまた別の奴隷に奴隷となるべく育てさせるなんてことを村規模の集落を作り行っています。当然初期投資としてはアホみたいにかかりますが軌道にのれば親となる奴隷も自分のところで賄えますし元手さえあれば……その元手も他の業者を使えば更に安くできます。実際おおまかなところではルールには反してないのでできますが、基本的にそれが許容される地域は狭いです。


 エレィニアに於いて奴隷の子は奴隷ではありません。奴隷の子でも他の子と同じ権利が認められます。主人は奴隷を養う義務がありますが、奴隷に子が生まれたらその子を育てる(育てさせる)義務もあります。そして将来その主人の奴隷となるかはその親子の意思に因るものです。そのため奴隷にするための教育というのは本来は否定的なものになっています。


 この辺、然るべきところに訴え出れば当然是正させられますが、人はそれが当たり前と思ったらなかなか間違いに気付きにくいので結局誰も訴え出ない。例え外部の人間が間違っていると正してやっても本人達に自覚が持てない以上は「なに言ってんだこいつ?」で終わってしまいます。結果として親も子も奴隷になるのが当たり前になり子が必要年齢に達したら「奴隷となる者とその家族の意思による承諾」もクリアできるので買い手さえ付けば何の問題もなく奴隷として売れるし、そういった奴隷の買い手も欲しい労働力が安く手に入ればそういうことを気にしない者達なので問題にならない。


 そんなわけでカイルやそういうことに縁のない者はが知らないだけで奴隷産業はこれからもなくならないし、一部で奴隷を物扱いする考えはなくならないというわけです。


(8月28日のツイート+α)

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