第八話 ドラゴンと小悪魔たち その三
「うわぁーーーー! アイツおきあがったぁー。すげえー!!」
「ちょっと~! イーヴィル! ほんきでやらなかったでしょ?」
「黙れ!! うるせえー!! お前ら、ちょっと大人しくしろ!!」
不意打ちの攻撃を受けて倒れたドラゴンが、起き上がって怒り狂って暴れている様子を見て小悪魔たちがキャッキャと騒いでいると、魔王が二人を押さえつけて怒鳴りつけていた。
「父さま~。なんでおこってるの? アイツとたたかっていいっていったのにィー!」
「そうだよ! 父さま! はやくアイツをやっつけようよ~!!」
「わかった!! オレ様が先にアイツに攻撃してアイツが怯んでる間にお前らが攻撃しろ!! わかったな!?」
口を尖らせてミーアが魔王に詰め寄りねだるように駄々をこねると、魔王は頭を掻きながらもその手に魔力を作り出して、炎を口から吹き上げながらそこら中を焼き尽くしているドラゴンに向かって攻撃を仕掛けて戦闘態勢に入った。
「イーヴィル! こんどはぜんりょくでやっちゃうよ!!」
「ミーア! まえにですぎてるよ! ちゃんとよこにならんで!!」
「お前ら! 今度はしっかりやれよ! そろそろアイツもふらついてきてるからな!」
魔王の攻撃を受けてヨロヨロとふらついているドラゴンに向かって、小悪魔たちは容赦なく頭の上に作り出した大きな魔力の玉をぶち込んでいた。
「ウギャーーーー!! グワァーーーーーー!!」
さすがにドラゴンも、魔王の攻撃の後に続けて小悪魔たちの攻撃をまともに受けて立っていられなくなったようで、声を上げて倒れ込んでしまった。
「すぐに拘束して闇の谷の牢獄へ連れて行け!!」
「はい。魔王さま!!」
「父さまーー! あのドラゴンどうなるの?」
「ミーア! アイツはろうごくにとじこめられちゃうんだよ!!」
「そうだ。二度と暴れられないように闇の谷の牢獄へ閉じ込めるんだ!」
力尽きたドラゴンを見て、ミーアは少し顔を曇らせて何かを考えているようだった。
「よぉーし! お前ら、少しの間ならこの辺りで好きに走り回って遊んできて良いぜ! あんまり遠くへは行くなよ!!」
「やったーーー♪ ミーア! あのいわやまのむこうへ行ってみようよ!」
「うん♪ そうだね。行ってみよう~!」
魔王に許しをもらって、しばらくドラゴンの谷を散策し始めた小悪魔たちは目の前にある岩山を軽々と登ると、その向こうにあるものを見て声を上げていた。
「キャーーー! 父さまーー! 何これ? これもドラゴン?」
「すげえー! 父さまーー! ちっちゃいドラゴンがいるよ!!」
「なんだ? ちっせえドラゴン? さっきのドラゴンに子供がいたのか!?」
小悪魔たちが岩山へ登って、その向こう側で見つけたのはさっきまで暴れていた赤いドラゴンの子供のようでミーアが両手で大事そうに抱えていた。